「疲労がなかなか抜けない」「最近、疲れやすくなった気がする」とお悩みの方はいませんか? 疲労感が抜けない原因は、単なる“忙しさ“だけではないかもしれません。
今回は、疲労が抜けない原因や、疲労を効果的に回復する方法を解説します。イキイキとした毎日を過ごすためにも、できるものから取り入れてみてください!
疲労がたまっているときの主な症状
疲労がたまると、心身にさまざまな不調が起こります。普段の生活を振り返って、当てはまるものをチェックしてみましょう。
- 集中力が落ちた
- 気分が落ち込みやすい
- 寝ても疲れが残っている
- すぐに座りたくなる
- 耳鳴りや腰痛、頭痛などがある
- 体がだるい
- 立ちくらみや、めまいがすることが多い
- 眠りが浅い
- 手足がむくむ
- 食欲が落ちた
- 胃がもたれる
- よくのどが渇く
- 足がつる
1つでもあてはまった場合は疲労が溜まっているもしくは抜けていない可能性があります。ではなぜ疲労が溜まる・抜けないのでしょうか。
疲労が抜けない原因
疲労感が抜けない原因は、「がんばりすぎ」だけではないかもしれません。以下のような要因によって、疲労がたまりやすくなっている可能性もあります。
運動不足
運動不足が続くと、筋肉量が低下し、筋肉の細胞内のミトコンドリアの量が減ってしまいます。ミトコンドリアは、エネルギーの産生で重要な役割を担う細胞内の小器官です。運動不足によって筋肉細胞内のミトコンドリアが減ると、エネルギーがきちんと作られなくなり、疲れやすい体質になってしまうんです。また、すぐに疲れてしまうと体を動かすのが億劫になり、さらに筋肉量が低下して疲れやすくなる……という悪循環に陥るおそれもあります。
体調不良
風邪やインフルエンザなどの体調不良が引き金となって、体が重く、疲れたように感じる場合もあります。風邪のひきはじめの症状は、主に以下の5つです。
- くしゃみ、鼻水
- せき、のどの痛み
- 発熱
- 頭痛
- 筋肉痛、関節痛
だるさ(倦怠感)と一緒に上記のような症状がある場合は、風邪やインフルエンザにかかっている可能性があります。症状が続く場合は、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。
睡眠不足
睡眠中に分泌される「成長ホルモン」には、疲労回復を促す働きもあります。慢性的な睡眠不足が続くと、日中の疲労を回復しきれず、疲れがたまりやすくなるでしょう。また、成長ホルモンが分泌されるのは、深い睡眠である「ノンレム睡眠」の時間です。そのため、単に睡眠時間を増やすだけでなく、深い眠りにつけるよう睡眠の質を向上させることも重要です。
過度なストレス
仕事や家事・育児、人間関係やSNSなど、現代人は日々さまざまなストレスを抱えています。実は、過度なストレスも、疲労が抜けない原因の一つ。私たち人間の体は、過度なストレスを受け続けると免疫機能の低下や、ホルモンバランスの乱れなどさまざま不調を引き起こします。さらに、ストレス過剰な状態が続くと脳の自律神経が乱れ、心身の疲労を感じやすくなります。ときにはふと立ち止まって、「最近がんばりすぎていないかな?」と自分に問いかけてあげましょう。
食生活の乱れ
私たちは日々、食事からさまざまな栄養素を摂取しています。とくに、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルは「5大栄養素」と呼ばれ、私たちが生きていくうえで欠かせない栄養素です。
食生活の乱れから栄養バランスが崩れてしまうと、エネルギーの代謝が低下し、疲れがたまりやすくなってしまいます。過度な糖質制限ダイエットなど、特定の栄養素を極端に減らすのは控えましょう。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れも、疲労感の原因になります。ホルモンバランスが乱れると、自律神経が不安定になり、疲れを感じやすくなってしまうのです。とくに、女性は生理前後や更年期など、ホルモンバランスが乱れるタイミングで疲れやだるさを感じることがあります。
また、「動きたいので体が重い」という焦りや不安から、精神的に疲弊してしまうのも大きな要因です。生理前後や更年期はただでさえ不調を感じやすいため、できるだけ心身を休めてあげましょう。
病気の可能性
慢性的な疲労感には、睡眠時無呼吸症候群や自律神経失調症、糖尿病など、思わぬ病気が隠れていることもあります。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中、一晩に30回以上または1時間に5回以上無呼吸の状態があることです。当然、睡眠の質が低下してしまうため、「寝ても疲れがとれない」といった自覚症状が現れます。また、自律神経のバランスが乱れると血流が悪くなり、疲労感や倦怠感などの症状が現れることがあります。糖尿病の場合は免疫力が低下しやすく、風邪やインフルエンザなどの疾患にかかることで、疲れやすくなるケースもあるようです。
疲労感が長く続く場合は、医療機関を受診してみましょう。
疲労が抜けないときの対策①十分な休養をとる
疲れがたまっているときは、「休憩」以上に「休養」が大切です。ただ座ったり、横になるだけではなく、体と心をリフレッシュできるような時間をつくりましょう。趣味を思いきり楽しんだり、おいしいものを食べたり……以下のようなリフレッシュ方法もおすすめです。
- お風呂にゆっくりつかる
- スポーツやストレッチで体を動かす
- アロマの香りでリラックス
- ウィンドウショッピング
- 友達や家族とおしゃべり
- 動物とふれあう
- 新しい髪型やメイクにチャレンジ
- 映画鑑賞や読書
- 天気の良い日に散歩する
- 瞑想や深呼吸
なかでもとくにおすすめなのが、お風呂にゆっくりつかること。血行が促進されることで、自然とリラックスできます。
疲労が抜けないときの対策②睡眠の質を向上させる
疲労回復には、質のよい睡眠が欠かせません。今日からすぐにでも実践できる、睡眠の質を向上させるコツをご紹介します。
スマホやパソコンは寝る1時間前まで
液晶画面から発せられるブルーライトには、太陽光と似た作用があります。そのため、夜寝る前にスマホやパソコンを眺めていると、脳が「朝だ!」と錯覚して、眠りの妨げになってしまうのです。寝る1時間前になったら、スマホやパソコンには極力触らないよう心がけましょう。「寝る1時間前になったらパソコンの電源を切る」「ベッドにはスマホを持ち込まない」など、自分なりのルールを決めるのもおすすめです。
湯船にしっかり浸かる
人間は、体温が下がるときに眠気を感じやすくなります。「体温が低下する」という状況をつくり出すためには、まず深部体温を上げることが重要!夜は湯船にしっかりつかるなどして、体を温めましょう。入浴のタイミングとしては、寝る2~3時間前がベストです。なお、お湯の温度が熱すぎるとかえって目が覚めてしまうため、38~40度程度のぬるめのお湯がおすすめです。
十分な睡眠時間を確保
いくら睡眠の質を向上させようと思っても、そもそもの睡眠時間が不足していたら効果が半減してしまいます。必要な睡眠時間は人それぞれ異なりますが、成人であればだいたい1日7時間は確保したいですね。夜、寝る時間から逆算して、夕食や入浴、趣味や勉強の時間などを決め、自分だけのナイトルーティンをつくりましょう!
寝る前に軽くストレッチする
ストレッチには血行を促進する効果が期待でき、深部体温が上がることでスムーズな入眠へ導いてくれます。1回5~10分程度でも体がポカポカするので、入浴時間をしっかりとれない方にもおすすめです。また、体を伸ばすことで筋肉がほぐされるので、リラックス効果も期待できます。
疲労が抜けないときの対策③食事内容を見直す
食事の栄養バランスが偏ると、エネルギーの代謝が悪くなり、疲労が抜けない原因になります。以下のポイントを参考に、食事の内容を見直してみましょう。
1日3食、適量を食べる
朝食を軽く済ませたり、抜いたりすることが習慣になっていると、栄養が不足しがちになってしまいます。1日のエネルギーをチャージするためにも、朝食はしっかりとりましょう。一方で、夕食の量はほどほどにすることも大切。夕食を食べすぎると胃が休まらず、睡眠中にも負担がかかってしまいます。1日3食を適量ずつ、バランスよく食べることが大切です。
夕食は寝る3時間前までにとる
夕食は、できるだけ寝る3時間前までに済ませましょう。夕食の時間が遅くなると、胃に未消化の食べ物が残ったままベッドに入ることに。すると、寝ている間も胃が働くことになり、睡眠の質が低下してしまいます。
また、心身の疲労回復を促すためには、深い眠りのときに多く分泌される「成長ホルモン」が不可欠です。ところが、夕食の時間が遅いと、睡眠中に血糖値が上がり、成長ホルモンの分泌が低下してしまいます。どうしても夕食が遅くなってしまうときは、糖質が控えめで、消化によい食べ物を選びましょう。
よく噛んで食べる
食事の際は、しっかりと噛んで食べることも大切です。よく噛まずに食べ物を飲み込んでいると、消化不良を起こし、胃の負担が増してしまいます。また、同様に早食いもNGです。食事の噛む回数は、「1口につき30回以上」が理想とされています。噛みごたえのある食材をチョイスするなど、自然と噛む回数が増えるような工夫をしましょう。
ビタミンB群をとる
ビタミンB群とは、ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの総称です。これらビタミンB群には、ミトコンドリアのエネルギー代謝を助け、疲労回復を促す作用があります。炭水化物やタンパク質をしっかりとっていても、ビタミンB群が不足していると、体の代謝力が低下してしまうのです。
疲労が抜けないときは、そのなかでも、ビタミンB1・B2・B6の3種類の栄養素を積極的に摂取するのがおすすめです。それぞれの栄養素の働きと、代表的な食材をご紹介します。
<ビタミンB1:糖をエネルギーに変換する。食欲不振や集中力の低下にも効果を期待できる。>
【代表的な食材】
豚ヒレ、豚モモ、そば、マグロ、カツオ、玄米など
<ビタミンB2:脂質の代謝に関わる。ストレス疲労に効果を期待できる>
【代表的な食材】
豚レバー、うなぎ、モロヘイヤ、ほうれん草、アーモンドなど
<ビタミンB6:イライラを抑え、精神を落ち着ける>
【代表的な食材】
マグロ、カツオ、豚ヒレ、鶏ささみ、バナナ、さつまいもなど
カルシウムや鉄分をとる
カルシウムは、骨を強くするのに欠かせない栄養素です。それにもかかわらず、多くの日本人はカルシウム不足に陥っています。というのも、日本の食生活は牛乳やチーズといった乳製品の摂取量が少なく、土壌の関係で水や野菜にもカルシウムがほとんど含まれていないんです。また、女性は月経があるため、鉄分も不足気味とされています。
カルシウムと鉄分は、どちらも不足すると体の運動機能が低下し、疲労がたまる原因に。以下のような食品を積極的に摂取して、カルシウムと鉄分の不足を補いましょう。
【カルシウムを多く含む食品】
牛乳、乳製品、小魚、大豆製品など
【鉄分を多く含む食品】
レバー、あさり、大豆製品、砂肝、赤貝、マグロなど
クエン酸をとる
クエン酸は、昔から疲労回復に効果があるとされている栄養素の一つ。実際に、クエン酸にはミトコンドリアのエネルギー産生を助ける働きがあります。
クエン酸は、レモンや梅干しなどの酸っぱい食べ物に多く含まれています。そのままでは酸っぱくて食べにくいので、レモン水やレモンのはちみつ漬け、梅干し和えなどに調理して無理なく摂取してくださいね。
また、普段の料理にお酢をプラスするのもよいでしょう。酢の物やマリネなど、お酢を使った副菜を常備しておけば、いつでも手軽にクエン酸を摂取できます。
鶏むね肉を積極的に摂取する
鶏むね肉に含まれるイミダペプチドには、疲労改善効果があるとされています。イミダペプチドの1日の推奨量は、250~400ミリグラム程度。鶏むね肉にすると、1日100グラム程度の摂取が推奨されています。
鶏むね肉は安価で手に入りやすいので、家計にも優しい食材です。サラダチキンを作り置きしておけば、いつでも手軽に摂取できます。
【レンジで簡単!サラダチキンの作り方】
- 鶏むね肉(200グラム程度)の皮をとり、フォークで穴をあけます。
- ポリ袋に鶏むね肉と料理酒(大さじ1)、ハーブソルトを適量入れ、揉み込みます。
- 耐熱皿に移して、ふんわりとラップをしたら600ワットで6分程度加熱します。
※カットして火が通っていなければ、様子を見ながら30秒程度ずつ再加熱してください。
飲酒量を控えめにする
お酒を飲むと、アルコールを分解するために肝臓が働きます。飲酒量が多いと、その分肝臓への負担が増すため、疲れを感じやすくなってしまいます。お酒の適量や飲み方には個人差があるため、自分の体質としっかり相談することが大切です。体に負担がかからない範囲で、ほどほどにお酒を楽しみましょう。
疲労が抜けないときの対策④適度な運動を習慣化する
体が疲れたときは、休息をしっかりとることが大切。しかし、ただゴロゴロするよりも、適度に体を動かしたほうが、疲労が早く回復する場合もあります。というのも、運動によって体に蓄積された乳酸は、適度に体を動かすほうがスムーズに排出されるからです。また、運動にはリフレッシュ効果もあるため、精神的疲労も緩和できるでしょう。
疲労回復におすすめの運動
疲労回復のために体を動かすなら、負荷が少なく、気分転換になるような運動がおすすめです。たとえば、広い公園や川沿いを散歩したり、リラックスできる音楽をかけてヨガを楽しむのもよいでしょう。
疲労が抜けないときの対策⑤姿勢に気を付ける
姿勢が悪いと体に負担がかかり、疲労がたまりやすくなります。疲れやすさを感じる場合は、仕事中や移動中の姿勢に気をつけてみましょう。
デスクワーク中の正しい姿勢
①腰の最下部にある「坐骨」が座面にあたるよう、深く腰掛ける。
②パソコンのモニターと目線の高さを合わせる。
③ヒザは楽に曲げて下ろす。
歩くときの正しい姿勢
- 頭のてっぺんから糸で引っ張られているイメージで、上半身を引き上げる。
- 目線は少し上げ、顎を引く
- 重心は後ろに置き、かかとから着地する
- やや広めの歩幅で歩く
- 腕はまっすぐ伸ばし、後ろ側にだけ振る
スマホをさわるときの正しい姿勢
本来、首の骨はゆるやかなS字カーブを描いています。しかし、下を向いた状態でスマホを操作していると、首がまっすぐになる「ストレートネック」を招きかねません。ストレートネックは眼精疲労や肩こり、頭痛の原因にもなるため、スマホを操作するときは、画面を目線の高さに合わせるようにしましょう。
まとめ
なかなか抜けない疲労感には、運動不足や睡眠不足、栄養バランスの偏りなどさまざまな原因が考えられます。「がんばりすぎ」に注意しながら、日々の生活習慣を見直してみましょう。
また、思わぬ病気が隠れているおそれもあるため、疲労感や倦怠感が続く場合は、病院を受診するのもおすすめです。疲れたときは無理せず休憩して、自分を労ってあげてくださいね。