うぐっ…!ゲホゲホッ……はぁはぁ……
ふとし君!大丈夫?
教頭先生
お酢がダイエットに良いって聞いて、飲んでみたらムセちゃいました
お酢の飲み方についてアドバイスした方がいいようね~
教頭先生
ふとし君の相談リスト
お酢はどうしてダイエットに良いの?
お酢(酢酸)には「内臓脂肪を減らす効果がある」と言われています。
内臓脂肪と言えば、体脂肪のなかでも健康に悪影響を及ぼすことでよく知られていますよね。内臓脂肪が多くて、血糖値や血圧などに異常があれば、メタボリックシンドロームと診断されてしまいます。メタボは、いつ脳卒中や心筋梗塞になってもおかしくない危険な状態です。
お酢には、内臓脂肪を減らす効果に加えて、血糖値や血圧を上げにくくする効果もあることが報告されています。そのため、メタボ対策として注目される食材なのです。
お酢が内臓脂肪を減らす理由
では、なぜお酢が内臓脂肪を減らしてくれるのでしょうか?
その理由は、酢酸には細胞に働きかけて「脂肪を作らない」「脂肪を燃やす」という方向に持っていく作用があると考えられているからです。
「脂肪を作らない」作用についてもう少し詳しく説明します。食べ過ぎや、運動で消費されなかったために体内で余った糖質は、肝臓において脂肪に作り変えられます。この作り変える作業を、お酢は邪魔するのです。その結果、体内で脂肪が作られにくくなります。
「脂肪を燃やす」作用については、体内で脂肪を分解してエネルギーにするための仕組みを、お酢が手助けしてくれるのです。そのため脂肪がエネルギー源として使われやすくなり、体脂肪の減少につながります。
ふとし君の相談リスト①への回答
へぇ~、やっぱりお酢ってダイエットに良いんだ!頑張っていっぱい飲もうっと!
いやいや…飲み過ぎるとかえって健康に悪いわよ……
教頭先生
じゃあ、どのくらい飲むのがいいんですか?
では、次はダイエットに適したお酢の量について考えてみましょう!
教頭先生
どのくらいお酢を飲めばダイエットになるの?
ダイエットに良い作用を及ぼすのは、お酢の中に含まれる「酢酸」という成分です。
肥満気味の日本人を対象とした試験※によると、1日あたり酢酸として750mgを含有する飲料を12週間継続して飲んだところ、飲んでいない人と比較して内臓脂肪や体重が少し減ったそうです。この750mgというのを一つの目安にすれば良さそうですね。
では酢酸750mgというのは、一般的な調味料のお酢ではどのくらいの量になるのでしょうか。計算してみました。
・穀物酢(100gあたり酢酸4200mg含有)⇒酢酸750mgで約18g
・米酢(100gあたり酢酸4400 mg含有)⇒酢酸750mgで約17g
・黒酢(100gあたり4000 mg含有)⇒酢酸750mgで約19g
・りんご酢(100gあたり4700 mg含有)⇒酢酸750mgで約16g
・ぶどう酢(100gあたり4800 mg含有)⇒酢酸750mgで約16g
お酢の種類によって酢酸の割合が少し異なりますが、だいたい18gくらいと考えておけば良さそうですね。お酢の重さ(g)と容量(mL)はほぼ同じと考えて構わないので、18mL(大さじ1.2杯に相当)となります。
すなわち、ダイエットのためにお酢を摂るなら、1日あたり大さじ1.2杯を目安にすれば良いでしょう。
ふとし君の相談リスト②への回答
だいたい1日で大さじ1杯と少しのお酢を摂ればいいみたいね。
教頭先生
思っていたより全然少ない量でいいんですね!
とはいえ、お酢を原液のまま飲むのは、のどや食道を荒らすことになるから注意よ!
教頭先生
確かにさっき原液飲んでムセてました……
お酢を飲みやすくして、無理なく続けるには?
お酢をダイエットに活かすには、継続することがとても大事です。
実は先ほど紹介した日本人での試験※では、お酢を飲んでいる期間(3か月間)は体重やBMIが減っていましたが、飲むのをやめた1か月後には元に戻ってしまっていました(内臓脂肪は減った状態がわずかながらキープされていました)。
ですから、お酢のパワーを継続させるには、できる限り長く飲み続けるのがポイントです。ここでは、無理なく・美味しく飲める方法をご紹介していきます。
商品(機能性表示食品)を活用する
最も楽な方法は、すでに商品として売っている「飲むお酢」を購入して使うことです。なかでも「内臓脂肪が気になる方に適した食品」と記載してある機能性表示食品がおすすめです。パッケージに効果的かつ安全な飲み方が紹介されているので、その指示を守っておけば安心ですし、色々な味が出ていて飽きずに続けやすいよう工夫されています。
自分でお酢を希釈して楽しむ
とはいえ、飲むお酢系の商品はやや値段が高く感じるかもしれません。要は1日750mgの酢酸(≒大さじ1.2杯のお酢)が摂れればいいので、家にある普通の調理料のお酢を使えば安上がりです。
原液のお酢の種類や個人差(酸っぱさの感じ方)によって異なりますが、大さじ1杯強のお酢なら、300mLくらいの水で割れば飲みやすく感じる人が多いのではないでしょうか。
しかし、調理用のお酢を単に水で割るだけでは味気ないものです。そのため、味わい深い黒酢やフルーティーな風味が楽しめる果実酢(りんご、ぶどうなど)を選んだり、水ではなくジュースで割ったり、甘み(はちみつ、オリゴ糖など)を入れたりして飲む方法がよく提案されています。
飲みやすさを考えたとき、これらの工夫はとても重要です。けれど、こちらの記事(本当は怖い炭酸飲料)で紹介した通り、飲み物で甘みを足す場合、想像以上に糖分を摂ることになってしまいがちです。
ダイエットのためにお酢を飲んでいるのに、そのために糖分をいつもより多く摂ってしまうというのは本末転倒ですよね。甘みを足すとしても必要最小限に抑えるとか、ノンカロリーの砂糖を使うとかの工夫をしてください。
お酢を飲むタイミングは?
お酢は特に飲むタイミングは決まっていません。
強いて言えば、のどや食道に負担をかけないように、1日何回かに分けて、食前や食中に飲むことをおすすめします。また、酢酸の「脂肪を作らない」「脂肪を燃やす」という作用から考えると、朝食や昼食のときに飲むと良いのではないでしょうか。
料理の中にお酢をうまく組みこむ
お酢は何も、飲むことだけにこだわる必要はありません。とにかく何らかの形で1日大さじ1杯強のお酢を摂れればいいので、食事として摂ることも併用してください。
例えば、もずくやキュウリなどの酢の物は非常に良い食べ方です。食材自体も食物繊維が多いヘルシーなものが多いですよね。また、ラーメンなどの麺類を食べるときにお酢をかけるのも、罪悪感が少し減って(?)いいかもしれません。
ただし、食事からお酢を摂る場合は、どれだけお酢が摂れたのか分かりにくかったり、調理で火を入れると揮発して酢酸が減ってしまったりする弱点があります。
お酢を飲むだけだと、どうしても飽きてきてしまいます。食事でお酢をたくさん摂った日はお酢を飲むのはお休みするとか、逆に食事でお酢を摂れていない日は飲むお酢でカバーするとか、そのときの状況や気分でいろいろ試してみてください。1日2日お酢が摂れなくても、すぐに効果がなくなるということはないですから、気軽に取り入れましょう。
ふとし君の相談リスト③への回答
そっか!飲むことだけにこだわる必要はないんだ!
私はお酢が好きだから、けっこういろんな料理にかけちゃうのよ
教頭先生
さっそくマネしてみます!
お酢でお手軽にダイエット&健康づくり!
お酢は内臓脂肪を減らし、血糖や血圧にも良い影響を及ぼします。しかも身近で手に入りやすい食材ですので、健康的に痩せたいダイエッターの大きな味方になってくれるでしょう。
ただし、お酢そのものは飲みにくいものです。はちみつや砂糖など甘みを加えて飲む方法もありますが、糖質の摂り過ぎには注意してください。食事としてお酢を積極的に取り入れると続けやすくなりますよ。
どう?お酢をダイエットに活かす方法が分かったかしら?
教頭先生
はい!お酢といってもいろんな種類があるんですね。いろいろ試してみます!
参考までに、今回のアドバイスをざっくりまとめておくわね!
教頭先生
ふとし君の相談への回答まとめ
※T Kondo et al. Vinegar intake reduces body weight, body fat mass, and serum triglyceride levels in obese Japanese subjects. Biosci Biotechnol Biochem 2009; 73,1837-1843.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bbb/73/8/73_90231/_pdf