健康診断の結果を見て、中性脂肪値の高さにため息をついた方もいるのではないでしょうか。ご飯は美味しく食べたいのに、中性脂肪を気にしながら食事をしたらどこに入ったのかが分からなくなってしまいそうですよね。
そこで本記事では、中性脂肪を下げる効果があると言われているチーズを食べるメリットとデメリット、中性脂肪値の減らし方を解説していきます。
チーズの食べ方を知れば効率良く中性脂肪を減らせるようになります。我慢せずに好きなチーズを食べながら中性脂肪を減らしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
チーズに含まれている栄養成分
チーズはタンパク質と脂質を特に多く含んでいますが、ほかにも多くの栄養成分が含まれています。種類ごとにチーズに含まれている栄養成分の含有量を表にまとめました。
【チーズ100gあたりに含まれる栄養成分】
同じチーズでも種類によって、栄養成分の含有量が大きく違っていることが分かります。
乳製品の中性脂肪への影響
乳製品は脂肪を含んでいるため肥満に繋がるイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、中性脂肪の増減に大きく影響しないと言われています。それどころか、種類を選んで摂取すれば中性脂肪を下げる効果があると分かってきています。
ダイエット食として紹介される機会が多いチーズやヨーグルトを食べ続けると、中性脂肪にどう影響するか詳細を見ていきましょう。
チーズは中性脂肪を下げる?
チーズを食べる量が多い人ほど中性脂肪値が低い、という研究結果があります。
チーズやバターなどの乳製品に含まれている脂質は主に「脂肪酸」という成分です。この脂肪酸は体内でほかの物質と結びついて人が活動するためにさまざまな働きをします。
脂肪酸の中でも乳製品に多い「飽和脂肪酸」は人が活動する際のエネルギーになるので、脂肪として蓄積しにくいです。よって、チーズには中性脂肪を下げる効果があると言えます。
ただし、モッツァレラチーズは動物性脂質が主成分なので過剰に摂取すると中性脂肪が増える可能性があるため注意が必要です。
ヨーグルトを食べると中性脂肪が上がる?
「難消化性デキストリン」や「ガセリ菌SP株」を含むヨーグルトには、中性脂肪を下げる効果があると言われています。これらの成分が小腸での脂質の吸収を緩やかにする働きをするのが中性脂肪を増やさない理由です。
以下に記載する3点を意識すると、2つの成分に効率良く働いてもらえます。
- 食前または食事と一緒に摂取する
- 1日の摂取量は100~200gにする
- 砂糖などは脂肪を増やすため甘味料は入れない
一方で、「難消化性デキストリン」「ガセリ菌SP株」を含まないヨーグルトは中性脂肪が上がる可能性もあるため、購入時は成分表をよく確認するようにしましょう。
チーズを食べる4つのメリット
チーズを継続して食べると、効率良くカルシウムを吸収できたり美肌効果があったりなど健康面で嬉しい効果があります。美味しくて身体にも良いとなったら、チーズを食べないわけにはいきません。
それでは、チーズを食べて得られるメリットについて詳しく見ていきましょう。
①カルシウムの吸収率が高い
チーズに含まれているタンパク質が体内で消化される過程で「カゼインホスホペプチド」という物質が生まれます。カゼインホスホペプチドはカルシウムの吸収率を上げる働きをする成分のため、チーズを食べると効率良くカルシウムを吸収できると言われています。
チーズが唾液中のカルシウムを補給して歯を再石灰化することも分かっており、WHO(世界保健機関)が虫歯の危険性を減らす食品と認めているほどです。食事の最後にチェダーなどハードタイプのチーズをひとかけら食べて、10分程度時間をおいてから歯磨きをすると虫歯のリスクもなく再石灰化の効果が得られるでしょう。
②ストレスを抑制する効果がある
チーズに多く含まれているタンパク質とカルシウムには、ストレスを抑える効果があると言われています。
【タンパク質による抑制効果】
- ストレスが大きいと疲労を強く感じることがある
- 脳内で「セロトニン」という物質が増えると疲労を感じやすい
- ストレスを感じるとセロトニンが増殖する
- タンパク質はセロトニンの増殖を抑える働きをしている
【カルシウムによる抑制効果】
- 血液中のカルシウムが不足すると神経が高ぶりやすくなる
- チーズはカルシウムの吸収率が高いためストレス抑制に繋がる
そこまで活動していないのに疲労を感じる場合はストレスがかかっている可能性もありますので、チーズを食べて一息ついてみると良いかもしれません。
③ダイエット食になる
チーズは、ダイエットで糖質制限をしているときの大きな味方です。糖質を制限するとカルシウム、ビタミン、タンパク質などが不足しがちですが、これらの栄養素をチーズで手軽に補えます。
また、カルシウムが体重の増加を抑える働きをすることも分かっており、カルシウムの吸収率が高いチーズを食べればダイエット効果も期待できます。特にカッテージチーズはカルシウムの含有量はやや少なめですが、低脂質でタンパク質を多く含んでいるためダイエット期間の間食におすすめです。
④美肌効果がある
肌を健康に保つ働きをするビタミンAやビタミンB2を比較的多く含むチーズを食べると、美肌効果が期待できると言われています。
ビタミンは体内で合成されない成分のため、食事から摂取が必要です。マスカルポーネチーズはビタミンAを、パルメザンチーズはビタミンB2を特に多く含んでいます。
ただし、ビタミンAは体内に蓄積しやすく過剰摂取してしまうとになると頭痛や皮膚が剥がれ落ちる皮膚のはげ落ちなどの原因になりかねません。
とはいえ、ビタミンB2と比較してもビタミンAの含有量は非常に少ないので過剰摂取になることは考えにくいですが、サプリメントを服用している場合はチーズを食べ過ぎないようにしましょう。
チーズを食べる4つのデメリット
美肌効果やダイエット食になるなど嬉しいメリットがあるチーズですが、過剰に摂取するとデメリットの部分が大きくなってしまいかねません。チーズを食べすぎた場合のデメリットは4つあります。
それでは、チーズの過剰摂取が身体にどのような悪影響を及ぼすのか、詳細を見ていきましょう。
①コレステロールが増える
チーズは牛乳などを原料として作られるので動物性の脂質を豊富に含んでおり、過剰摂取してしまうとになるとコレステロールが増える原因になります。
動物性脂質に含まれている飽和脂肪酸が、血液中に悪玉のLDLコレステロールを増やす働きをするのがコレステロール値を上昇させる理由です。
LDLコレステロールが血液中に多くなると血管壁に蓄積して血栓の原因になり、病気のリスクが高まります。
コレステロール値が正常な場合はチーズを食べても大きな影響はないと言われていますが、医師から摂取を制限するように言われている方は指示に従って食べる必要があります。
コレステロールを増やさないためにはチーズを食べ過ぎないように注意し、食物繊維を多く含む食事がおすすめです。
②高血圧症の原因になる可能性がある
チーズは食塩を多く含む食品のため、食べすぎると塩分の過剰摂取になってしまいます。
塩分の摂取量が多いと血圧が上がり、高血圧症の原因になると言われています。高血圧症は食生活が原因で明確な自覚症状がないまま気が付いたら進行していた、となる病気です。濃い味付けが好きな方は塩分過多の可能性があるので、チーズを食べ過ぎないように気を付ける必要があります。
一方でカマンベールチーズには高血圧を予防する効果があるとも言われていますが、塩分の含有量が多いことに変わりないので過剰な摂取は避けたほうが良いでしょう。
③動脈硬化に繋がる可能性がある
チーズを過剰摂取すると高血圧症の可能性があることを一つ前の章で説明しました。血圧が高くなると動脈硬化を引き起こす可能性があります。
動脈硬化はチーズを食べすぎて高血圧になることだけが原因ではなく、喫煙や肥満、高コレステロール、運動不足などの要因も重なった場合に発症しやすくなると厚生労働省が公表しています。生活習慣を見直したり、肥満を解消したりすれば動脈硬化を防げるでしょう。
④肝臓や腎臓の病気になる可能性がある
チーズに多く含まれているタンパク質が、肝臓や腎臓の病気の原因になる可能性があります。過剰摂取したタンパク質が体内で消化されてから体外に排出されるまでは、概ね次のような流れです。
- タンパク質が体内で窒素に変化
- 窒素は人の身体に有毒なアンモニアに変換される
- アンモニアは肝臓で尿素になる
- 尿素は腎臓で尿になる
このアンモニアから尿素を経て尿に変換する量が多いと肝臓や腎臓が酷使されるため、内臓疲労が起きて病気のリスクが高くなります。内臓に負担をかけないようにチーズの食べすぎには注意しましょう。
中性脂肪を減らす方法
中性脂肪を下げる効果があることが分かったチーズですが、単体で食べるだけではそこまで大きな変化は得られません。定期的な運動が一番中性脂肪を減らす効果が高いと言われており、食生活やほかの生活習慣の改善も必須事項です。
それでは、具体的にどのようにして中性脂肪を減らすのかを説明していきます。
チーズは間食にする
チーズは脂質を含んでいるので腹持ちが良く、小腹が空いたときの間食にすると少量でも満足感があります。
間食には、カロリーや脂質が少ないカッテージチーズがおすすめです。リコッタチーズもカロリーは低めですが、カッテージチーズと比べると脂質が3倍近くあるのであまりおすすめできません。
また、夕食後にチーズを食べる場合は就寝の30分〜1時間前までには食べ終わるようにして、体内に脂肪が蓄積しないようにしましょう。
バランスの良い食事を心がける
チーズは中性脂肪を下げる効果のある食品ですが、食物繊維やビタミンC、炭水化物などの栄養素が含まれていません。このため、ほかの食品でこれらの栄養を補う必要があり、中性脂肪を増やさない食材を選んでバランス良く食べることが大切になります。
中性脂肪を減らす効果があると言われている主な食品は、以下の5つです。
- 青魚
- 野菜(大根やキャベツなど)
- きのこ類
- 大豆製品
- 良質な油
上記以外にも、主食を玄米にすれば中性脂肪を下げる効果があります。玄米に含まれている食物繊維が糖質の体内への吸収を緩やかにする働きをするので、肝臓に中性脂肪が貯まりにくいと言われています。
適度な運動を習慣にする
中性脂肪を大きく減らすためには、適度な運動が必要不可欠です。
特に有酸素運動は脂肪を燃焼しやすいと言われています。また、筋トレをしてから有酸素運動をすると代謝が上がり効率良く脂肪を燃焼できます。食事前の空腹時に運動をするのも効率良く脂肪を燃焼させるために有効です。
運動は1回あたり30分程度、週2〜3回の頻度を目安に行いましょう。ウォーキングや軽いジョギングなら、ジムに通ったり専用の器具を購入したりしなくてもすぐに始められるのでおすすめです。
まとめ
ここまで、チーズの中性脂肪を下げる効果について解説してきました。
チーズに含まれている飽和脂肪酸は人が活動する際のエネルギーとして消費されやすいので、チーズの摂取量が多い人でも中性脂肪が少ない傾向があります。
ただし、チーズを過剰摂取するとさまざまな病気のリスクもあるため摂取量には注意が必要です。
チーズを間食に取り入れて、健康的な食生活と適度な運動を心がければ効率良く中性脂肪を減らせます。
ぜひ本記事を参考にして、おいしくチーズを食べながら中性脂肪を減らす取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。