高くなった中性脂肪値を下げるために、魚を取り入れたいと考える人は多いですよね。魚のアブラに含まれている「EPAやDHA」が中性脂肪にいいのは有名です。

しかし、魚がいいと知っていても、どの食べ方がいいのかが分からないとの声はよく聞かれます。
また、どの魚にEPAやDHAが多く含まれているのかが分からないという人も。

本記事では、魚と中性脂肪の関係性を徹底解説していきます。ぜひ最後までチェックしていただき、魚を取り入れた中性脂肪を下げる食生活を手に入れてください。

中性脂肪が増える3つの原因

中性脂肪が増える原因には「食生活の乱れ・アルコールの飲み過ぎ・運動不足」の3つが挙げられます。

中性脂肪は、血液中に存在する脂肪の一種で、体内でエネルギー不足が起きた時に使われます。つまり、消費するエネルギーよりも多くのエネルギー摂取を行った際に、中性脂肪が増えてしまうのです。
中性脂肪が増えてしまう3つの原因を、1つ1つ解説していきます。

①偏った食生活

中性脂肪は、脂の取り過ぎだけでなく糖質の取り過ぎでも増えてしまいます。中性脂肪はブドウ糖不足の時にエネルギーとして使われますが、エネルギーが豊富にあると使いきれませんよね。使いきれなかった糖質や脂質は、中性脂肪として体内に蓄えられます。

中性脂肪が高くなってしまう人は、食事内容が脂質と糖質ばかりになっている可能性が高いです。脂質や糖質ばかりを取っていると、必然的に高カロリーの食事となりエネルギー過剰を引き起こします。

脂質過剰になる人の多くは、脂の多いお肉や揚げ物などを取り過ぎています。
一方の糖質過多になる場合は、炭水化物(主食)の食べ過ぎだけではなく、お菓子やジュースの取り過ぎなど、原因は多岐にわたります。中性脂肪が高くなってしまったなら、自分の食生活を見直してみましょう。

②アルコールの飲み過ぎ

お酒の飲み過ぎも中性脂肪を増やしてしまいます。
アルコールの適量はビールなら500ml・日本酒1合・ワイン2杯程度に抑えましょう。これは純アルコール量で20g程度の量となり、健康診断では「アルコールの適量」と指導される量です。

また近年の研究では「アルコール量は週に100gまで」と発表されています。これは1日20gとして週5日分ですので、週2日は休肝日を設ける計算です。
1日20gの純アルコール量は、5%のビールロング缶(500ml)1本の計算です。中性脂肪が高い人は、休肝日を設けながら、適量のお酒を嗜んでください。

③運動不足

運動不足も中性脂肪値を上げてしまう原因です。中性脂肪は脂質や糖質のエネルギー過多が主な原因ですが、脂質や糖質のエネルギーを余らせないようにするためには、適度な運動は必須です。

運動を行う際は、有酸素運動だけではなく筋トレを必ずセットで行ってください。消費カロリーを増やすには、筋肉量を増やすのが必須です。筋トレと言ってもジムで高負荷をかける必要はありません。自宅で行う自重トレーニング(自分の体重で行うもの)で十分効果を得られます。

有酸素運動は1日30分以上を週3回程度を目安に行いましょう。定期的な運動を継続するとエネルギー消費を促進し、中性脂肪値を下げられます。

中性脂肪を下げたい人に魚がおすすめの理由

中性脂肪値を下げたい人に魚がおすすめなのは、EPAやDHAが効率的に摂取できるからです。魚のアブラは「不飽和脂肪酸」に分類され、体内では作れない成分のため食事から取るしかありません。

不飽和脂肪酸は、魚だけではなくオリーブオイルやえごま油も該当します。つまり中性脂肪値を下げるためには、体にいいアブラを取るのが重要です。不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やさず、中性脂肪を減らして動脈硬化リスクを下げてくれます。中性脂肪値を下げる不飽和脂肪酸が含まれていることが、魚がおすすめな理由です。

魚のアブラとお肉のアブラの違い

魚と肉のアブラは、体への影響が大きく違います。お肉のアブラは中性脂肪を増やしたり、コレステロールを増やしたりする「飽和脂肪酸」を多く含んでいます。一方の魚のアブラは中性脂肪を下げる「不飽和脂肪酸」が豊富です。

飽和脂肪酸は体内で生成されるため、滅多に不足しません。反対に魚に多く含まれる不飽和脂肪酸は、体内で生成されないため食べ物から取るしかない栄養素です。

中性脂肪値を上げるお肉のアブラに対して、お魚のアブラは中性脂肪値を下げます。お魚とお肉のアブラは、体に対しての役割が違っているので、健康を意識するならお魚を積極的に取ってください。

EPAとDHAそれぞれの効果を紹介

EPAとDHAは共に中性脂肪値を下げるアブラとして有名です。どちらも必須脂肪酸の一種ですが、その違いが分からない人も多いのではないでしょうか。
イワシやサバなどの青魚に多く含まれている2種類のアブラが体内でどのような働きをするのかを解説します。

EPA|大人の中性脂肪対策により効果的

EPAは血液をサラサラにする効果があり、血栓をできにくくする効果が確認されています。

EPAが発見されたのは1960年代です。高脂血症によって血液がドロドロになってしまうのを防いだり、血液をサラサラにして動脈硬化や心筋梗塞を予防してくれます。

EPAが血液をサラサラにできるのは、EPAが赤血球の膜に取り込まれて赤血球自体を柔らかくするからです。赤血球が柔らかくなると、血液の流れが良くなるため、さまざまな病気の予防に効果的だということが分かっています。

DHA|脂肪燃焼や神経系の発達に効果的

DHAは「頭の働きがよくなる」として有名になった成分です。

DHAが注目されたのは1980年代で、受験勉強をする子どもたちに推奨されていました。DHAがEPAのサポート成分となるかどうかはまだまだ研究段階で、現時点でサポート効果は確認できていません。

純度100%のEPAを使った実験ができているのに対して、DHAはどうしてもEPAが少し入ってしまう関係上、純度100%のDHAを使った実験はされていません。そのため、DHAが脳神経以外にどのような働きがあるのかは分かっていないのです。
中性脂肪値にどのような影響があるのかは未知数ですが、DHAはこれから脳を作っていく子ども世代におすすめの成分です。

魚のアブラ1日の摂取量

厚生労働省の発表によるとお魚のアブラは1日2gが推奨されています。1日2gを取るためには、下記の量が必要です。

  • マグロ(トロ)……刺身4切れ
  • サバ……塩焼き2切れ(90g程度)
  • サンマ……1尾(90g程度)

このようにアブラがのったお魚なら1食分で摂取可能です。お魚のアブラは、調理方法で摂取効率が変わるので、お魚のアブラを効率よく取るための方法を紹介します。

魚のアブラを効率よく取る方法

EPAやDHAを効率よく取るためには、やはりお刺身が一番です。火を通してもアブラの性質自体は変わりません。ただ、焼き魚の場合はせっかくのアブラが落ちてしまいますし、揚げ物なら取りたくないアブラを一緒に取ってしまいます。

お魚のアブラだけを効率よく取るためには、お刺身で食べるのがおすすめです。もし煮魚にするなら、煮汁にとろみを付けてアブラを逃がさない工夫をしてください。

EPAやDHAを効率よく摂取できる魚の種類

EPAやDHAが多く含まれている魚と言えば、アジやサバなどの青魚が有名ですが、青魚だけにEPAやDHAが含まれているわけではありません。EPAやDHAは「アブラの乗った魚」に多く含まれているため、旬のお魚を食べるのがおすすめです。

季節のお魚にはたっぷりとアブラが乗っています。タイのようなさっぱりしたお魚であれば、お刺身で20切れ程度必要です。
しかし、マグロのトロのようにアブラたっぷりのお刺身なら4切れで基準値を満たします。効率よくEPAやDHAを摂取するなら、アブラの乗ったお魚を選びましょう。

中性脂肪を減らす食事方法4選

中性脂肪値を減らすためには、魚だけでなくバランスのいい食生活を心がけましょう。食事は「何を食べるのか」も大事ですが、「何から食べるのか」も大事です。食べる順番を意識した食生活にするだけで、中性脂肪値を下げられます。4つのポイントを順に解説していくので、中性脂肪値を下げたい人は取り入れてください。

①中性脂肪を増やしやすい食べ物・飲み物を控える

中性脂肪値を下げるには、中性脂肪を増やしてしまう食べ物や飲み物を控えましょう。

  1. お菓子やジュース
  2. バターやお肉のアブラ
  3. 揚げ物
  4. クリームやチーズ

上記のように、脂質と糖質が多くカロリーの高い食べ物はできるだけ控えてください。お菓子やジュースは糖分が多いのはもちろんですが、体に吸収されやすい糖を加工したものが含まれているため、体に脂肪がつきやすくなります。

動物性のアブラは体内で余ってしまいやすい「飽和脂肪酸」が豊富に含まれていて、エネルギー過剰を引き起こしやすいです。飽和脂肪酸を控えることが、体にアブラをためない食生活となり中性脂肪値を下げられます。

②食べ過ぎを防ぐため必要量を知る

中性脂肪値を下げるためには、食べ過ぎないように気を付けてください。1日に必要な推定エネルギー量は基礎代謝量×身体活動レベルで計算ができます。基礎代謝量は、年齢に応じた基礎代謝基準値×年齢に応じた平均体重で算出可能です。
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例えば、30代の女性の場合だと基礎代謝基準値(21.9)×参照体重53kg=1160Kcalとなります。ダイエットをしたい人は参照体重の部分を目指している体重で計算してみましょう。今の体重を維持したい場合は、自分の体重で計算をしてみてください。

この計算に応じたカロリーを摂取すると、太ることなく体形をキープできます。

③食物繊維から食べる

中性脂肪値を下げるためには、食物繊維から食べるのを心がけましょう。食物繊維には、腸内でコレステロールや中性脂肪の吸収を妨げる働きがあります。特に水溶性の食物繊維には、コレステロールを減らす働きがあるため、意識的に取るのがおすすめです。

  • 納豆
  • インゲン豆
  • きな粉
  • ライ麦
  • 玄米

上記のような食品を積極的に取ると、中性脂肪を下げられます。
特に白米を玄米にする、食パンをライ麦パンに変えるといった、主食を変えるのが理想です。
糖質の摂取量も下げられて血糖値が上がりにくい食生活を作れます。

④体にいいアブラを取る

中性脂肪を下げるためには、体にいいアブラを取ってください。体にいいアブラの不飽和脂肪酸には、複数の種類があります。

  • オメガ9系……オリーブオイル
  • オメガ6系……べに花油・ごま油・グレープシードオイル
  • オメガ3系……えごま油・アマニ油

上記のような植物オイルは中性脂肪を下げてくれるので、魚と合わせて摂取したいアブラです。
特にオメガ3系オイルは、血液中の中性脂肪値を下げ、血栓ができるのを防ぐ効果があります。
中性脂肪値を下げるなら、オメガ3系を中心に摂取してください。

中性脂肪を下げたくても絶対にやってはいけない食事方法

中性脂肪値が高いからと言っても、絶対にやってはいけない食事方法は下記の通りです。

  • 厳しい糖質制限(1日70~130g程度は必要)
  • 厳しい脂質制限(1日20~40g程度は必要)
  • 医師の指導がない断食

脂質と糖質は人間が生きていくうえで絶対に必要な栄養素です。
一昔前から糖質制限が当たり前のように言われていて、糖質を絶対に取らない食事を続ける人が増えています。
糖質を取らないとエネルギー不足を引き起こしてしまうため、健康的な食生活とはいえません。

中性脂肪値を下げるためには、脂質と糖質のコントロールは絶対に必要です。
だからといって、脂質と糖質を排除するのは逆効果です。糖質の排除は低血糖を引き起こしますし、脂質不足になると、ホルモンバランスが狂ってしまいます。健康的でバランスのいい食生活を心がけて中性脂肪を下げましょう。

まとめ|魚をうまく取り入れて中性脂肪を下げよう

魚のアブラは「不飽和脂肪酸」と呼ばれる、中性脂肪を下げてくれるものです。魚のアブラに含まれるEPAが特に中性脂肪に効果があるため、1日1食は魚を取り入れたメニューにすると、効率よく魚のアブラを取れます。

またメインを魚にすることで、お肉のアブラを減らせるため健康的な食生活を作れます。中性脂肪値を下げるためには、バランスのいい食生活を心がけてください。

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