「なんだか急にお腹の調子が……」

トイレへ駆け込むと、下痢。
「どうして急に?」と頭を抱えるかもしれませんが、下痢はお腹の不調の代名詞。
誰にでも、不意に訪れてしまうものなのです。

「下痢」という言葉は一般的によく聞かれますが、実際に知っていることは意外にも少ないのではないでしょうか?

この記事では、そんな下痢の原因やメカニズムと、下痢に負けない腸をつくる「腸活」のポイントを抑えて紹介していきます。

下痢が習慣化されている人、下痢予備軍の人、下痢とは全く無縁だと思っている人も、下痢について学び、強く丈夫な腸をつくりましょう。

下痢とは?腸活との関係は?

まず、改めて下痢はどんなもので、どういうメカニズムでつくられるのか見ていきましょう。

下痢はどんな状態か

下痢とは、便の水分量が多い状態のことをいいます。
便には水分が含まれており、健康的な状態の便でも70%以上の水分量を含んでいます。

この水分量によって、便の状態が変化します。
水分量が80%以上だと、通常より少し柔らかい状態の「軟便」。
水分量が90%以上で、液状またはそれに近い状態の「下痢便」となります。
「下痢便」は、非常に水分量が多いため、水の様な便(水様便)になってしまった状態です。

そうして、とても緩い水のような便として下痢は外に排出されるのです。

下痢のメカニズム

便の水分量が調節できないなど、腸の働きが異常な状態になったときに下痢は起こります。

正常な腸では「ぜん動運動」という腸管を収縮させながら、肛門(こうもん)側へ腸管内の内容物を先へ押し出す運動をします。
通常だと、内容物が腸を通過する際に、水分を吸収しながら進むため適度な水分量の便になります。

しかし、下痢の状態では「ぜん動運動」が異常に活発になり、水分量の調節機能に障害が起こります。
このことが、便中の水分を増加させ下痢の状態をつくり出す大きなメカニズムです。

また、腸の異常で増加して、悪い働きをする腸内細菌の「悪玉菌」も下痢を長引かせたり、下痢をしやすい体質に導く要因です。

下痢は深刻な病気の場合も

腸の働きの異常で引き起こる下痢ですが、その腸の異常の裏に実は深刻な病気が隠れていたということも珍しくありません。

下痢に関係する病気の一例を見てみましょう。

感染性胃腸炎

代表的な病原体は、ノロウイルス。激しい下痢と嘔吐(おうと)に悩まされる。

潰瘍性大腸炎

下痢や血便の症状が併発。長期化すると大腸がんを合併することがある。定期的な大腸内視鏡検査が必要。

大腸がん

兆候として「繰り返す便秘と下痢」の症状がある。

過敏性腸症候群(IBS)  

下痢と便秘の症状を繰り返すことが多く、精神的なストレスから発症する場合もある。
便通異常が慢性的に続いている場合、過敏性腸症候群が疑われる。

これらは下痢との関わりが大きい病気の一例ですが、重大な病気と下痢に関わりがあるとわかります。
それほど、下痢は甘く見てはいけないものなのです。
下痢がひどい場合や長引く場合には、早めに医療機関で受診することを勧めます。

下痢と腸活の関係

下痢は腸内環境の悪化が、深く関係していることがわかりました。
つまりは、腸内環境を良くすることが下痢を改善・予防に繋がるということです。

「でも、何をすれば良くなるの?」という方に提案したいのが「腸活」。

ですが、「最近よく耳にするけど、腸活って具体的にどんなもの?」という方も多いと思います。
そんな腸活については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

腸内環境を整えて、腸の強さを引き出す「腸活」こそ、下痢の改善の大切な一手。
腸活の知識を合わせて取り入れてみましょう。

下痢の原因は?

ここからは、下痢の原因について詳しく見ていきます。
下痢を引き起こす腸内環境の悪化には、様々な事が影響しています。
自分が、その原因に当てはまっていないかチェックしてみましょう。

1.飲食を原因とするもの

腸は食べ物の消化や水分、栄養の吸収を行う場所。
そのため、飲食したものの影響を腸内はダイレクトに受けるため、飲食に関係する以下の行動は要注意です。

暴飲暴食
食べすぎ飲み過ぎは腸に大きな負担を与え、腸機能の低下に繋がり腸内環境を悪化させ下痢の原因にもなります。

消化不良
刺激が強い食べ物(にんにく・唐辛子・スパイスを含むもの)、脂肪分が多い食べ物、炭酸飲料、アルコールなどは摂取のしすぎには注意が必要です。
消化酵素の分泌を乱し、腸を刺激して下痢を引き起こしやすくします。

食あたり・水あたり
飲食物の保存状態・調理方法・衛生管理環境が良くないものを食すことで、細菌やウイルスといった有毒物質に感染して下痢や嘔吐が引き起こされます。

水分の過剰摂取
下痢は水分量の過剰な便の状態。水分の摂りすぎは大きく下痢に影響します。
また、水分量を多く排出するアルコール飲料の摂取も強く影響します。

2.ストレスを原因とするもの

ひどい場合、強いストレスで腸に穴が空いてしまうなど、ストレスも腸機能を低下させます。

消化器官は「自立神経」によってコントロールされています。
つまり、自分の意志とは関係なく機能しています。
もちろん腸も、この自律神経によってコントロールされているのですが、ストレスを強く感じると自律神経が乱されるため、腸内環境も影響を受けて乱れてしまうのです。

腸の動きには脳も関係しており、脳が自律神経を介して腸にストレスを与えていると共に、腸内環境が悪化すると脳内でも不安感が募るなど、腸と脳には相互に影響を及ぼしていることも研究されています。

ストレスを感じたら休むなど、ストレスを回避、軽減することが大切です。

3.その他

最近では、お腹の不調や腸内環境の改善を目的とした整腸剤やサプリメントがドラッグストアなどで市販され、誰でも手に入れることができます。
腸内環境を整えるサポートをしてくれるので、取り入れてみるのも良いでしょう。

しかし、一方で体質に合わなかったり、摂取のしすぎで逆効果になり下痢を引き起こす原因になりうることもあります。

使用の際には、使用法を守り、不調が出た場合には使用を止めるほか、使用前に医師に相談するなど安全な方法で使用しましょう。

下痢に負けない腸をつくる腸活

ここまで、下痢についてひも解いてきました。
下痢の原因になることは多く、無意識に行ってしまっている習慣もあったはず。

でも、まだ遅くありません!
原因を回避して、下痢に負けない腸をつくる腸活法を実践してみましょう。

今の自分の腸と向き合う

まずは、自分の腸の状態を知ることから始めましょう。
状態のチェック方法として分かりやすいのが、便の状態を見ることです。

健康な状態の便は、バナナ状の黄褐色のソフトな固さの便とされています。
それを基準に、硬くひび割れがあったり、コロコロとした便は便秘。
そして、水分量過多になり、泥状や水のような状態の便が下痢です。

健康状態の便でないときは、腸内環境を見直し腸活を始めるサイン。
食生活、ストレス、生活習慣を見直し、前項で紹介した下痢の原因となる行動に注意しましょう。

食事

食事は腸をつくる大事な要素。
下痢の改善、予防の手助けとなるものを紹介します。

下痢の改善に期待される食べ物
下痢のときには、腸内の刺激が少なく消化に優しいものを選びましょう。
エネルギー源となる炭水化物は、おかゆ、よく煮込んだうどんなど。
傷ついた腸内を回復させるのに大事なたんぱく質は、卵、鶏のささみ、豆腐など。
その他、消化吸収がよいヨーグルト、野菜を煮込んだスープ、すりおろしたリンゴ、バナナもおすすめです。

下痢の予防に期待される食べ物
下痢の予防として肝になるのが「腸内フローラ」です。
腸内フローラは腸内細菌の集まりで、主に大腸に存在しています。
多様な腸内細菌がバランスを取りきれいな腸内環境を保ち、その様子がまるでお花畑(フローラ)のように見えることから腸内フローラと呼ばれています。

腸内フローラは、消化できない食べ物を身体に良い物質につくり変え、腸内の免疫細胞を活性化させ、病原微生物から身体を守る効果を担っています。

この腸内フローラを整えておくことも下痢の予防につながります。
そのために摂るべきものとしておすすめなのが、良い腸へと導く「善玉菌」を含む食べ物と善玉菌のエサとなり成長させる食べ物をバランス良く摂取することです。

■善玉菌を含むもの

発酵食品(ヨーグルト、ぬか漬け、納豆、キムチ、味噌(みそ)、チーズ)
整腸剤 ※摂取のしすぎには注意

■善玉菌のエサとなるもの

水溶性食物繊維を多く含む食品(ごぼう、にんじん、芽キャベツ、おくら、ブロッコリー、ほうれん草、豆類、さといも、こんにゃく、海藻、きのこ類、果物)
オリゴ糖を多く含む食品(玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナ、大豆)

摂取を控えたほうが良いもの
ついつい摂取しがちな脂肪分の多い肉や魚、そば、ラーメン、生野菜、海草、菓子パン、ケーキ、コーヒー、炭酸飲料、アルコール類は、おなかに刺激を与えるので控えましょう。
他にも、自分の体質に合わないと感じた食べ物は控えましょう。

腸に良いとされている食べ物でも、食べすぎはよくありません。
自分の体調に合わせて、腹八分目を心がけた食事をしましょう。

運動

腸を動かす「ぜん動運動」の働きを活性化させるのには、運動は欠かせません。
しかし、難しい運動はしなくても大丈夫。

■体をひねる運動

肩幅に立つ、または椅子に腰掛けてゆっくり上半身をねじり左右に向ける。
腸が刺激されやすくなります。

■腹筋をする

少ない回数でOK。腹筋を意識することが大事。
腸の近くの筋肉も刺激されます。

■歩く

全身の血液の流れを上げて代謝をあげると腸も活性化します。
歩きやすい服装、靴を選んで歩きましょう。

これだけでも、日常にちょっと取り入れるだけで腸に刺激を与えてくれます。
小さなことからはじめて、少しずつレベルを上げていくなど負担がないやり方を見つけましょう。

生活習慣

腸内環境に影響を与えるストレスを多く生み出すのが、生活習慣です。
生活習慣を見直すことは、腸活においての最重要ポイント。
ささいな心がけが、ストレスの緩和に繋がるので取り組んでみましょう。

睡眠
脳と腸の調子が互いに影響を与えているため、脳を休める行動である睡眠の質が上がると腸内環境の質も上がります。
スマートフォンなどが発するブルーライトの光を寝る前に浴びない、寝やすい寝具を使う、アロマでリラックスして寝付きを促すなど、よい睡眠習慣を心がけましょう。

入浴
冷えは下痢の強い敵です。
季節を問わず、体を温めて代謝を良くすることはとても大事。
そのためにも、夏場や面倒なときでも、シャワーで済ませずに湯船に浸かること。
睡眠時間の1時間前を目安に、ぬるめの温度38〜40℃程の湯で30分前後の入浴をすることが推奨されています。(体調に合った入浴方法を選びましょう)

その他
最近では、腸活が注目され、整腸剤やサプリメントなど様々な腸活グッズが販売されています。
紹介した食事、運動、生活習慣にプラスアルファで取り入れてみるのも良いでしょう。
しかし、頼りすぎると逆効果になる場合もあるので適度に使ってみましょう。

また、下痢の改善、腸活には3ヶ月以上の長期的な継続が大事です。
たくさんの事に挑戦するよりも、1つでもいいので続けることを目標にしましょう。

まとめ

今回は、知っているようで知らないことの多い下痢について紹介しました。
様々な原因で引き起こされる下痢は、他人事ではなく誰でも陥ってしまうものです。

しかし、腸活に取り組み腸内環境を改善すること、調子を整えて予防に努めることで、下痢に負けない丈夫な腸をつくることができます。

この記事で紹介したものを全て行う必要はありません。
腸活の効果が出るのは、早くても3ヶ月以上かかるといわれています。
まずは、1つでも継続できることを見つけてしっかりと効果を感じることが大切です。

これからも一緒に生きていく腸を見つめ直し、楽しい日々を過ごしましょう。

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