睡眠中はどれだけカロリーを消費するの?

睡眠がダイエットに良いって聞いたんですけど、寝ている間にカロリーが消費されるって本当ですか?

ふとし君

睡眠中だって脳や身体は活動しているから、もちろんカロリーは消費されるわよ。

ダイエット小学校
教頭先生

も、もしかして寝ているだけでダイエットができるのでは……!

ふとし君

では、まずは睡眠中に消費するカロリーについて教えるわね。

ダイエット小学校
教頭先生
【いきなり結論!】
ふとし君の場合、睡眠中に消費するカロリーは500kcalくらい。
※体格や性別によって異なります

生きているだけで消費するカロリー(基礎代謝量)から睡眠時の消費カロリーを推定

睡眠中に消費するカロリーを推定するために、生きているだけで消費するカロリー、すなわち「基礎代謝量」を使って考えてみましょう。

基礎代謝量は、半日以上絶食したうえで、快適な室温の部屋で安静にして仰向けに横たわっているときに消費するカロリーのことです。覚醒状態で計測したデータをもとに設定された数値なので、睡眠状態とは異なりますが、「人が生きていく上で必要な最小限のエネルギー」を評価するためにつくられた指標ですから、睡眠時のカロリー消費はこれよりも少しは多いだろうと想定されます(寝返りを打ったりしますからね)。

あなたの基礎代謝量(≒睡眠時の消費カロリー)を推定してみよう

基礎代謝量(≒睡眠時の消費カロリー)は、体重・身長・年齢・性別により異なります。下記から自動計算できますので、ぜひあなたの基礎代謝量を確認してみてください。
基礎代謝量を自動で計算したい!(ダイエット計算ドリル④-2)

ちなみに、ふとし君(体重80kg、身長171cm、30歳男性)の基礎代謝量は1675kcalと推定されます。この数値は1日での消費カロリーなので、睡眠時間に応じて割ってください。

仮にふとし君が7時間睡眠を取ったとして単純計算すると、1675kcal÷24時間×7時間=約489 kcalとなります。睡眠中に500kcalくらい消費しているようですね。

ダイエットと睡眠の深い関係!睡眠不足は肥満の原因に

たった500kcalか~。そんなにたいしたカロリーじゃないな。

ふとし君

そうね。寝ているよりは起きて活動した方がカロリー消費はできるわね。

ダイエット小学校
教頭先生

ダイエット中はあまり寝ないで、夜更かしした方がいいの?

ふとし君

いやいや、それじゃかえって太っちゃうわよ!

ダイエット小学校
教頭先生

え~?どういうことですか?

ふとし君
【いきなり結論!】
睡眠不足は食欲を亢進させ、摂取カロリーが増えます。また、疲労感や眠気などにより消費カロリーが低下します。実際に、睡眠時間が短い人ほど肥満になりやすいという研究があります。

睡眠時間が短い人ほど肥満になりやすい

睡眠時間が短いと肥満になりやすいことが分かっています(特に男性)。

2005年に発表された米国での研究では、睡眠時間が7時間の人と比較して、4時間の人は肥満になる確率が約70%高いことが分かりました。また、睡眠時間が7時間に近づくほど、肥満になる確率は低くなっていきました。

また、2010年に発表された北里大学の研究でも、睡眠時間が7~8時間の人と比較して、5~6時間の人は1.5倍、5時間未満の人では1.9倍肥満になりやすいことが分かりました。ただし、これは男性のみでみられた傾向であり、女性では関連していませんでした。

この他にも多くの研究で、睡眠時間が短いと肥満になりやすいことが示されています。ダイエットしたい人は、7~8時間を目安に睡眠を十分にとるようにしましょう。

睡眠時間が短いと太りやすい理由

なぜ睡眠時間が短いと太りやすいのか、その理由は3つあります。

睡眠不足が肥満の原因になるメカニズム

1つ目の理由は、睡眠不足により下記のような食欲関連ホルモンの分泌が乱れるからです。

睡眠不足により起こるホルモン分泌の乱れ
  • 食欲を亢進させるホルモン「グレリン」や「オレキシン」の分泌が増える⇒食欲亢進
  • 食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減る⇒食欲が抑えられない

このように、いずれも食欲を増す方向に持っていってしまいます。しかも、睡眠不足の状態だと、糖質の多い食事を摂ってしまう人が多いことも知られています。

しかも、睡眠時間が短く、起きている時間が長いということは、食べる機会も多くなります。夜更かししていると何となくおやつや夜食が欲しくなってしまいますよね…。食欲が亢進している状態ですから、我慢できずについ……なんてこと、よくあると思います。

さらに、睡眠不足だと疲れていたり眠かったりして、あまりアクティブに活動しようと思いませんよね。そうすると日中の運動量が減り、カロリーの消費量が少なくなります。

睡眠不足は、食欲の亢進、食べる機会の増加、カロリー消費の減少により、肥満しやすくなる状況を作り出す原因となっているのです。

質の良い睡眠で効果的なダイエットにつなげるためのアドバイス

なんてこった!睡眠不足はダイエットの大敵じゃん!

ふとし君

そうなのよ。長時間睡眠も良くないから、ほどほどに質の良い睡眠をとりましょうね。

ダイエット小学校
教頭先生

質の良い睡眠って、どうすればいいですか?

ふとし君
【いきなり結論!】
1日7~8時間を目安に睡眠をとりましょう。日中に眠気を感じるようなら睡眠の質が悪い可能性があります。日中にしっかり活動し、睡眠に適した環境を作ることで質の良い睡眠をとりやすくなります。

1日7~8時間を目安に睡眠時間を確保する

上で紹介したように、睡眠時間は平均で7~8時間の人は肥満しにくいことがわかっています。逆に、9時間以上の長時間睡眠では活動時間が減り、1日全体での消費カロリーが減ってしまうので、肥満しやすくなります。ですから、ダイエットしたい人は7~8時間を目安に睡眠時間を確保するようにしましょう。

ただし、人によって適切な睡眠時間は異なります。7~8時間はあくまでも目安であり、次に説明するチェックリストが当てはまるようなら問題ありません。

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睡眠の質が良いかどうかを確認する

睡眠の質が良いかどうかは、下記のようなことからチェックできます。

睡眠の質を確認するチェックリスト
  • だいたい決まった時間に起床・就寝している
  • 寝起きがよく、スッキリと目覚める
  • 日中に眠気を感じることがない
  • 寝床に入ってからそれほど時間がかからずに入眠できる
  • 一度寝たら朝までグッスリ

このような睡眠がとれることを目指して、生活習慣を見直していきましょう。

睡眠の質を高めるための取り組み

睡眠の質があまり良くない場合は、下記の点を生活のなかで見直してみましょう。

睡眠の質を改善するポイント
  • 睡眠に適した環境を整備する(温度、湿度、光、音、寝具、寝間着)
  • 眠りへの準備を整える(自分にあったリラックス法)
  • 質の良い睡眠を阻害する要因の排除(スマホ、寝酒、喫煙、カフェイン)
  • 目覚めを良くする(朝の光を浴びる、朝食)
  • 日中に適度な運動を行う
  • 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない

このような改善を行ってもなお、寝つきの悪さや中途覚醒、よく寝た気がしない、昼間の強い眠気などで困るようなら、不眠外来などを受診することをおすすめします。あまりに「寝られない」ことを気にし過ぎるとかえって眠れなくなりますので、専門家のサポートを得て改善していきましょう。

ダイエットと睡眠の関係まとめ

質の良い睡眠をとることも、ダイエットの一部なんですね。

ふとし君

それを知ってもらって良かったわ。今日からさっそく取り組んでみてね!今回お話ししたことをざっとまとめておくわね!

ダイエット小学校
教頭先生
ダイエットと睡眠まとめ
  • 睡眠時間が短い人ほど肥満になりやすい。
  • 睡眠不足は食欲を亢進させ、摂取カロリーが増える。
  • 疲労感や眠気などにより消費カロリーが低下する。
  • 1日7~8時間を目安に睡眠をとろう。
  • 日中に眠気を感じるようなら睡眠の質が悪いかも?
  • 日中にしっかり活動し、睡眠に適した環境を作ることで質の良い睡眠にしよう。
参考文献:
田中茂穂:エネルギー消費量とその測定方法. 静脈経腸栄養 2009: 24(5); 1013-9.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/24/5/24_5_1013/_pdf
Gangwisch JE,et al:Inadequate sleep as a risk factor for obesity: analyses of the NHANES I. Sleep 2005 Oct;28(10):1289-96.
M Watanabe,et al:Association of short sleep duration with weight gain and obesity at 1-year follow-up: a large-scale prospective study. Sleep 2010 Feb;33(2):161-7.
厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針 2014