自宅で手軽に行なえて、運動が苦手な方もチャレンジしやすい「ストレッチ」。体への負担が少ないため、ついつい「もっと負荷を上げてもいいかも?」と思いがちですが、ストレッチのやりすぎは思わぬ怪我を招く原因にもなります。

そこで今回は、過度なストレッチのリスクや、ストレッチのやりすぎを防ぐ方法、おすすめのストレッチなどを解説します!

ストレッチをやりすぎるとどうなる?

過度なストレッチを行うことを、「オーバーストレッチ」と呼びます。

ストレッチの目的は、硬くなった筋肉を伸ばし、体の柔軟性を高めること。しかし、過剰なストレッチを行うと炎症が起こり、かえって筋組織が硬くなってしまうこともあります。早く効果を出したいからといって、ストレッチの負荷を高め過ぎるのは逆効果!

悪化すると痛みや腫れ、肉離れなどを引き起こす恐れもあるため、ストレッチを行う際は十分注意が必要です。

これってやりすぎ?オーバーストレッチの判断基準

ストレッチ

以下のような症状が表れた場合は、オーバーストレッチを起こしている可能性があります。

  • ストレッチ後に身体がしびれる
  • 筋肉痛のような症状がある
  • ストレッチの翌日に痛みがある
  • ストレッチをした部位に激しい痛みがある
  • ストレッチ中に「プチッ」という音がした
  • 痛みのある部分に、くぼみや変色が見られる

痛みや腫れなどの症状がひどい場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

ストレッチのやりすぎを防ぐ方法

ストレッチ

オーバーストレッチを防ぐためには、とにかく「無理をしないこと」が大切。以下のポイントに気をつけながら、無理のない範囲で体を動かしましょう。

ストレッチの強度に注意

ストレッチの強度が強すぎると、筋組織に損傷が起こる恐れがあります。ストレッチの強度は、「痛気持ち良い」と感じるくらいがベスト。痛みや不快感を覚えず、筋肉が引っ張られている状態を数秒間維持できるポイントをキープしましょう。筋肉に緊張を感じたり、自分の限界を超えて筋肉を伸ばしたりするのは絶対にNGです。筋肉や筋膜、靭帯を無理に引き伸ばすと、伸張反射が働いて、逆に筋肉が縮んでしまう場合もあります。

ストレッチの時間に注意

強度が低いからといって、ストレッチの時間を伸ばしすぎるのはNG。ストレッチの負荷は、「強度」と「時間」の掛け算で決まります。筋肉を引き伸ばす時間があまりに長すぎると、たとえ強度が低くてもオーバーストレッチにつながってしまうんです。

ストレッチの時間に明確な基準はありませんが、一般的には15~20秒×4セットが目安といわれています。ただし、強度が低い場合は1分程度行なってもOKですが、強度が高い場合はたとえ10秒程度でも注意が必要です!なお、ストレッチ効果が増すのはだいたい1分までで、それ以上行っても大きな差はないといわれています。

反動を使わない

体の反動を使ってストレッチを行うと、筋肉をしっかり伸ばせて「効いている」感じがあるでしょう。しかし、反動を使ったストレッチは負荷が大きく、筋肉や靭帯を痛める原因にもなりかねません。

反動を使うことが必ずしも悪いわけではありませんが、初心者のうちは控えたほうが無難。自分にとっての「ちょうどいいライン」がわからないうちは、反動を使わずストレッチしましょう。

呼吸をとめない

ストレッチ

ストレッチ中はできるだけ、深い呼吸を心がけましょう。

試しにいま、その場でゆっくりと深呼吸をしてみてください。自然と体の緊張がほどけて、リラックスできる感じがしますよね。このように、「呼吸」は心身の緊張をゆるめてくれるため、ストレッチ中はなるべく呼吸を止めないことが大切です。呼吸を止めると体が力んでしまい、体に余計な負荷がかかってしまいます。

特定の部位に集中しすぎない

特定の部位のみストレッチを行なっていると、負荷が集中してしまうオーバーストレッチにつながります。ストレッチを行う際は、特定の部位に集中せず、全身をバランス良く動かすことが大切です。筋肉に効かせるためには、ある程度狙いを定めることも重要ですが、あまり負荷が偏りすぎないように注意しましょう。

服装や環境に気を配る

きつい服装でストレッチを行うと、体の動きが制限され、ふとしたときに筋肉を傷めてしまう恐れがあります。ストレッチを行う際は、できるだけ伸縮性のある服を選ぶようにしましょう。ただし、あまりダラっとしたゆるい服装でストレッチを行うと、動きの妨げになる場合があります。ピタピタすぎないTシャツ+ジャージなど、動きやすい服装を心がけましょう。

また、マットを敷く、障害物をどけるなど、ストレッチをする環境に気を配ることも大切です。

ウォーミングアップからはじめる

ダイエットや筋トレ効果を期待できるような「強度の高いストレッチ」を行う場合は、まず軽いウォーミングアップからはじめましょう。ストレッチの前に少し体を動かしたり、もっと強度の低いストレッチからはじめたり、体を温めてから取り組むのがおすすめです。

ストレッチの前に、学校の体育のような準備体操を行うのもよいでしょう。筋肉や関節をほぐすことで、オーバーストレッチや怪我のリスクを軽減できます。

起き抜けは軽いストレッチにとどめる

数時間眠っていた体は、カチコチに固まっている状態です。起き抜けにいきなり体を動かすと、筋肉を傷めてしまう恐れがあります。朝、起床したばかりのときは、本格的なストレッチはなるべく避けましょう。前述のように、まずは準備体操程度の軽めのストレッチからはじめるのがおすすめです。

【初心者向け】負担が少ない!おすすめストレッチ

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ここからは、体への負担が少ないおすすめストレッチをご紹介します。初心者でも簡単にできるものばかりなので、ぜひトライしてみてください!

1.寝ながらできる!おやすみストレッチ

一日の疲れを解消し、体をリラックスさせるストレッチです。自律神経のバランスが整うことで、心地よい眠りへと誘ってくれます。

【手順】

①仰向けに寝転び、膝同士をくっつけます。このとき、両手は体の横に置いておきます。

②膝同士をくっつけたまま、膝を左右にゆっくりと倒します。呼吸を止めないように注意しながら、何度か繰り返して腰をしっかり伸ばします。

2.美脚を目指す!ふくらはぎのストレッチ

「夕方になるといつもふくらはぎがパンパン……」とお困りの方へ!むくみの解消に効果的なストレッチをご紹介します。

【手順】

①仰向けに寝転び、つま先を天井に伸ばします。このとき、腰が浮かないように注意しましょう。

②次に、かかとを天井へ向けて押し出します。

③①、②の動きを15回ほど繰り返します。

④つま先で円を描くように、足首を回します。内回り、外回りそれぞれ10回程度まわしましょう

3.朝、起き抜けにおすすめのストレッチ

朝、ベッドの上で行うのにぴったりのストレッチです。体に血が巡り、布団からスッと出られるようになります。

【手順】

①仰向けの状態で片膝を抱え、股関節をぐるぐる回します。時計回り、反時計回りに両方回しましょう。

②反対側も同様に行ないます。

③仰向けのまま両膝を立て、膝を左右それぞれに倒します。

4.デスクワーカーにおすすめ!肩まわりのストレッチ

ストレッチ

肩こりに悩むデスクワーカーにおすすめのストレッチです。

【手順】

①両肘を曲げ、肩よりも上に持っていきます。(肩が上がらない場合はできるところまででOKです)

②息をゆっくりと吐きながら、両肘を後ろに引き、肩甲骨を中心に寄せます。

③そのまま肘を下げ、力を抜きます。

5.体側を伸ばす「腸活」ストレッチ

体側とは、体の側面のこと。腸へほどよい刺激を与えてくれるため、「腸活」にもぴったりのストレッチです。

【手順】

①両足を肩幅に開いて立ちます。

②両腕を頭の上に上げて、右手の先で左手をつかみます。

③息を吐きながら上半身を左に倒し、右半身の側面を伸ばします。

④息を吸いながら上半身を戻し、体を上のほうへぐーっと伸ばします。

⑤反対側の手をつかみ、同様に②~④を繰り返します。

6.腰痛持ちにおすすめのストレッチ

猫のように背中を丸め、牛のように背中を反らせる、その名も「キャットアンドカウ」というストレッチです!ヨガのポーズを取り入れたストレッチなので、呼吸をしっかり意識しながら行ないたいですね。

【手順】

①マットなどの上で、四つん這いの姿勢になります。

②息をゆっくり吐きながら、猫のように背中を丸めます。

③息を吸いながら、牛のように背中を反らせて、目線を前に持っていきます。

④②~③を繰り返します。腰痛がひどいときは、無理のない範囲でOK!

7.代謝アップ!肩甲骨ストレッチ

肩甲骨の周りには、脂肪燃焼に深く関わる「褐色脂肪細胞」があります。肩甲骨まわりの凝りをほぐすと代謝がアップし、脂肪をためにくい体に!

【手順】

①マットなどの上であぐらをかき、体の前で手を組みます。

②手のひらを頭の上にぐーっと伸ばします。

③そのまま背中を丸めます。

③次に、両手を頭の後ろに持っていき、肘と胸を広げます。

④最後に、両手を後ろにつき、背中を中心に寄せるようにします。このとき、顎を上げ、目線は上をキープしましょう。

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ストレッチをやりすぎたときの対処法

痛み

初心者のうちは自分の限界がわからず、ついついストレッチをやりすぎてしまう場合も多いでしょう。

オーバーストレッチは怪我につながる可能性もあるため、早めの対処が大切!少しでも「おかしいな?」と感じたら、以下のような方法を試してみてください。

安静にする

ストレッチの最中や直後、翌日に痛みを感じた場合は、とにかく安静にしましょう。患部を激しく動かしたり、負荷をかけたりするような作業は禁物です。また、「筋肉がほぐれそうだから」といって、患部をマッサージするのも絶対にNG。炎症が起きているときに患部をもんだり、押したりすると、かえって炎症が広がってしまう恐れがあります。治癒までの時間も長引いてしまうので、患部は「触らず・安静に」が鉄則です。

患部を冷やす

ストレッチによる痛みが生じた場合は、氷などで患部を冷やすのも有効です。このように患部を冷却することを「アイシング」といって、患部の血管を収縮させることで出血を抑えつつ、代謝を抑えることで細胞の破壊を防ぐ効果が期待できます。アイシングは、異常が起きたら“なるべくすぐに“行うことが大切。氷をすぐに用意できない場合も、遅くとも48時間以内には患部を冷やすようにしましょう。なお、氷を使用する場合はタオルやビニールなどに入れて、低温やけどが起きないよう注意してください。

ストレッチの再開は、痛みがなくなってから

ストレッチの再開は、炎症が治まり、痛みが完全になくなってからにしましょう。中途半端に治った状態でストレッチを再開すると、炎症の再発や、さらにひどい怪我にもつながりかねません。また、痛みがなくなった場合も、体の様子を見つつ、強度の低いストレッチからはじめましょう。必要に応じて医師に相談しつつ、再開の判断はくれぐれも慎重に行なってください。

ストレッチのやりすぎでしびれが出たときの対処法

医療

ストレッチをしていると、手や足などに「しびれ」が起きることがあります。実は、ストレッチ中のしびれは危険サイン。オーバーストレッチの一歩手前なので、そのまま続けると神経を損傷してしまう恐れがあります。

ストレッチ中にしびれが起きた場合は、以下のような対処法を試してみましょう。

すぐにストレッチを中止する

しびれを感じたら、すぐにストレッチを中止しましょう。そのまま続けるとオーバーストレッチにつながり、神経を損傷し、しびれが増す恐れがあります。また、痛みや炎症、力が入りにくくなるなどの症状を引き起こすこともあるため、少しでもしびれを感じたら、すぐさまストレッチをストップして様子を見てください!

ストレッチの内容や負荷を見直す

ストレッチ中にしびれを感じるということは、筋肉や神経に負荷がかかりすぎているということです。そのまま続けると神経を損傷する恐れがあるため、ストレッチの内容や負荷を見直しましょう。時間や回数の見直しはもちろん、実践していたものよりも、少し軽めのストレッチに切り替えるのもおすすめです。「物足りない」と感じる場合は、体の様子を見ながら、時間をかけてじわじわと負荷を上げていきましょう。

しびれが続く場合は病院を受診

ストレッチを中止したあともしびれが続く場合は、すでに神経を損傷してしまっている可能性があります。多くはそのまま回復に向かいますが、後遺症として感覚障害が残る恐れもあるため、なるべく早めに病院を受診しましょう。手足のしびれは、神経内科や整形外科が窓口となるケースが一般的です。「ストレッチ中にしびれが出たこと」「それが◯日間続いていること」を伝え、ストレッチの再開についても医師の判断を仰ぎましょう。

ストレッチのやりすぎで身体がだるいのは「好転反応」?

疑問

好転反応」とは、東洋医学における施術や治療のあとに、一時的に起こる不調のこと。おもに鍼灸マッサージや漢方薬の治療のあとに起こるとされ、「体の巡りが改善されたことにより起こるもので、体が健康を取り戻そうとしている証」といわれています。

好転反応はストレッチでも起きるとされているため、「ストレッチ後に体がだるいのは好転反応かも?」と考える方もいるでしょう。では、実際のところ、ストレッチ後の倦怠感はそのまま放置しても問題ないのでしょうか?

好転反応に医学的、科学的根拠はない

実は、好転反応には医学的根拠がありません。厚生労働省からも「科学的根拠がないため、商品説明等で“好転反応“を謳うものには十分注意してください」と注意喚起がなされています。西洋医学と東洋医学では考え方が異なる部分も多いため、あくまで「そういう説もある」程度に受け取るのがおすすめです。

症状が続く場合は医療機関へ相談を!

東洋医学で「好転反応」とされる症状は、倦怠感眠気発熱かゆみ肌荒れなど多岐に渡ります。しかし、上記の通り好転反応には医学的、科学的な根拠がないため、症状が2~3日続く場合は、医療機関の受診がおすすめです。「体の調子が悪いのは好転反応だから!」といって症状を放置していると、症状が悪化してしまうリスクがあります。また、2~3日経たずとも、症状がだんだん重くなってくる場合は必ず医師に相談しましょう。

まとめ

ストレッチ

適度なストレッチには「代謝アップ」や「冷え、むくみの改善」などさまざまなメリットがありますが、負荷を上げすぎると、体に大きな負担がかかってしまいます。もしも痛みや腫れ、倦怠感などの症状が表れた場合は、すぐにストレッチを中止して、適切な処置を行ないましょう。

ストレッチに限らず、何事もやりすぎは禁物。体の声に耳を傾けながら、無理のない範囲で行うことが大切です。ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、「気持ちが良い」と感じるストレッチを、毎日少しずつ続けてくださいね。

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