テレビを見ていると、「中性脂肪を下げたいならウーロン茶がオススメ!」というCMをよく目にします。
ウーロン茶は脂肪の吸収を抑える効果がありますが、その効果を最大限に発揮するためには適切な飲み方が重要です。

ここでは、ウーロン茶を効果的に使って中性脂肪を抑える方法を解説します。

中性脂肪がつくメカニズムとリスク

中性脂肪とは、グリセリン脂肪酸エステル(※1)を指します。いわゆる皮下脂肪や内臓脂肪など、体内に蓄えられる「脂肪」全般のことです。

中性脂肪は生体内でエネルギーを貯蔵し、炭水化物で足りない分のエネルギーを血管経由で体全体に供給する役割を担います。健康診断などで数値として現れる「中性脂肪」は血液中に含まれる中性脂肪の量を表したものです。

(※1)グリセリンが持つヒドロキシ基と脂肪酸が持つカルボキシ基がエステル結合したもの。グリセリンは3つのヒドロキシ基を持つため、エステル結合の数により、モノグリセリド(エステル基1つ)、ジグリセリド(エステル基2つ)、トリグリセリド(エステル基3つ)が存在するが、血液中に含まれる中性脂肪のほとんどはトリグリセリドであるため、中性脂肪とトリグリセリドを同義とする場合もある。

中性脂肪が多い場合のリスク

中性脂肪が体内に過剰に存在する状態がいわゆる「肥満」で、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の原因となります。また、放置すれば血管が傷つき、もろくなることで、心筋梗塞や脳卒中などの深刻な疾患に繋がります。

中性脂肪がつくメカニズム

中性脂肪が蓄積されるプロセスは主に2つ。脂質(脂っこい食品)を摂取して体内に吸収される場合と、ごはんやパン、麺類などの糖質を原料として肝臓や小腸で合成される場合です。

中性脂肪を減らすためには、脂質や糖質の摂取を減らす、または運動して脂肪を燃やすことが一般的な解決方法になります。

ウーロン茶の効果

中性脂肪の増加を抑えるにあたって、ウーロン茶の効果は広く認められています。

ウーロン茶の脂肪吸収抑制効果

ウーロン茶に含まれる「ウーロン茶重合ポリフェノール」は脂質の吸収を妨げる効果があります。つまり、脂っこい食事を摂る際、ウーロン茶を一緒に飲めば、ウーロン茶を飲まなかった場合に比べて体内に吸収される脂質の量が減るため、中性脂肪が増えません。
もちろん、脂質の吸収の全てを抑制するわけではないことには注意が必要です。つまり、ウーロン茶を飲んだからといって、どれだけ脂っこい食事をしても大丈夫、というわけではありません。また、糖質の吸収を抑えるわけではないので、体内で糖質から合成される中性脂肪の量は変わりません。

ポリフェノールは、ウーロン茶以外でも、緑茶、カカオ、赤ワイン、リンゴなどに多く含まれる渋味成分です。これらの中でも、ウーロン茶は特にポリフェノールの含有量が多く、他の食品より高い脂肪吸収抑制効果が期待できます。

ポリフェノールとは、フェノールという有機化合物が複数個結びついた物質の総称で、元となるフェノールの種類や、その結合方法により何千種類ものポリフェノールが存在し、その効果も様々です。ウーロン茶に含まれるウーロン茶重合ポリフェノールも1種類だけではなく、何種類ものポリフェノールが含まれています。

ウーロン茶の脂肪燃焼効果

あらゆる食品に共通することではありますが、ウーロン茶の効果も完全に明らかになっているわけではありません。中には、脂肪吸収抑制効果だけでなく、脂肪燃焼効果も期待できる、という研究報告もあります(※2)。

ただし、脂肪を燃焼させたいなら、他にも脂肪燃焼を促す飲料が存在するため、そちらを使った方が確実です。こちらはあくまで副次的な効果であると考えられます。
(※2)ウーロン茶を飲むと「脂肪燃焼」が促される 肥満の抑制効果を期待

その他の効果

上記以外にも、ウーロン茶には血糖値の低下、がん抑制、美肌、老化防止などの効果が期待されます。これらの効果に関しても明確なデータを示すことは難しく、飲料メーカーの宣伝としての側面も強いので、あくまで参考程度と考えるべきでしょう。

中性脂肪を下げるための効果的なウーロン茶の飲み方

ここまでにも少し触れましたが、脂質の吸収を抑えるためには、脂っこい食事と一緒にウーロン茶を飲む必要があります。ウーロン茶の飲みすぎで健康に影響が出ることはほとんどありませんし、安価なので常用しても特段問題はありませんが、「中性脂肪を減らしたい」という目的ならば、最適なタイミングは「脂っこい食事と一緒に」ということになるでしょう。

様々なウーロン茶の種類

ウーロン茶は発酵の途中で加熱して発酵を止めた半発酵茶で、茶葉の種類や発酵方法により様々な種類があります。長い歴史を持つウーロン茶ですが、近年では健康増進を目的として改良が加えられるようになりました。ここでは、特に健康を志向して開発されたウーロン茶をいくつか紹介します。

黒烏龍茶

中性脂肪を抑えるという文脈でよく登場するのが、黒烏龍茶です。黒烏龍茶は2006年にサントリーが発売を開始したウーロン茶の商品名で、特定保健用食品(トクホ)の表示が認可されています。

黒烏龍茶の特徴は、ウーロン茶重合ポリフェノールが普通のウーロン茶より多く含まれているということです。そのため、普通のウーロン茶よりも中性脂肪の増加を抑えてくれます。普通のウーロン茶と黒烏龍茶を比較し、食後の中性脂肪値の変化を追った調査では、中性脂肪の上昇が約20%抑制されるという結果が得られました(※3)。
(※3)黒烏龍茶とは?| SUNTORY

台湾烏龍茶

台湾茶は、中国から持ち込まれた苗木によって栽培が始まりましたが、中国とは気候や土壌が異なるため、独自の方法で生産されるようになったものです。台湾茶の中でも有名なのが「台湾四大銘茶」と呼ばれる種類で、「凍頂烏龍茶」「東方美人茶」「文山包種茶」「木柵鐵觀音茶」などがあります。凍頂烏龍茶はビタミンCが豊富で、コラーゲンの生成のサポート、メラニン色素の抑制、抗酸化作用、免疫力向上作用など健康的な美肌作りの効果が期待できます。

ウーロン茶が適切でない場合

脂っこい食事と一緒に摂ると効果的なウーロン茶ですが、あまり適していない場合もあります。

ダイエット中

脂質や糖質を制限するダイエット期間中にはそもそも脂っこい食事を摂ることが少なく、ウーロン茶の最大の利点である、脂肪吸収抑制効果が発揮されません。

また、ダイエット中には水を多量に(2L程度)摂取することが必要になります。これは代謝を上げ、体内の老廃物を排出するためですが、お茶全般に含まれるカフェインには利尿作用があるため、過剰に摂取するとトイレが近くなり、生活に支障が生じます。もちろん、ダイエット中であっても、コップ1杯程度のウーロン茶ならば何の問題もありません。

カフェインには睡眠を妨げる効果もあります。総じて、ダイエット中であればウーロン茶より水の方が無難です。

殺菌作用

ウーロン茶に含まれるカテキンは殺菌作用があり、病気の原因となるウイルスや細菌が体内で増殖することを防いでくれます。また、この殺菌作用により美肌効果、老化防止効果を生みます。一方で、過剰にカテキンを摂取すると消化器系のバランスを保つために必要な体内の細菌まで死滅させてしまい、下痢を引き起こします。こちらは個人差もありますので、元々お腹がゆるいという方は特に注意が必要です。

ウーロン茶に含まれるカフェインの量

カフェインは適度に摂取することで頭が冴え、眠気を覚ます効果がありますが、過剰に摂取した場合は、めまい、頭痛、不眠症、下痢などをもたらすこともあります。

内閣府の食品安全委員会ファクトシート「食品中のカフェイン」(※4)によると、ウーロン茶に含まれるカフェインは100mLあたり20mgほどで、コーヒーの1/3、緑茶の1/8程度です。世界保健機構(WHO)は、妊婦に対して1日のカフェイン摂取量が300mgを超えないように注意喚起しており、このあたりが安全基準と考えられますが、ウーロン茶のみでカフェイン300mgを摂取する場合、1.5Lが必要になります。もちろん、1日に1.5L以上のウーロン茶を飲むことですぐに健康に影響が出るわけではありませんので、あくまで目安とお考え下さい。何事も、どの食品も摂りすぎには注意しましょう。

(※4)ファクトシート(科学的知見に基づく概要書)| 内閣府

まとめ

ウーロン茶は脂肪の吸収を抑える効果があり、食事中に飲むことで中性脂肪の増加を抑えることができます。大量に飲むことで健康に悪影響が出ることはほとんどありませんが、他のお茶と同じように、カフェインやカテキンなどの成分が含まれ、利尿作用、覚醒作用、殺菌作用があることにはご注意ください。

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