玄米に中性脂肪を下げる効果があると知っているけれど、もそもそとした食感が苦手で食べずにいる、という方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では玄米ご飯が中性脂肪を下げる理由や食べやすい玄米を紹介しています。

参考にして玄米食にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

中性脂肪とは

中性脂肪とは人の体内に蓄積している脂肪を指し、体脂肪や皮下脂肪、内臓脂肪などと呼ばれています。

人が身体を動かすときにエネルギー源としてブドウ糖を消費していますが、ブドウ糖が不足した時に代わりの働きをするのが中性脂肪です。

脂質を含んでいる食品を摂取すると体内に脂肪が蓄積し、エネルギーとして使われなかった分はそのまま中性脂肪として肝臓や血液の中に残ります。

脂肪は人が身体を動かすためになくてはならない成分ですが、中性脂肪が過剰になると生活習慣病になるリスクが高まります。

逆に極端な食事制限や過度な運動で中性脂肪が少なすぎても、低体温になったり免疫力の低下を引き起こすことがあります。

中性脂肪は年齢と性別に応じて適切な数値を保つことが大切です。

発芽玄米には中性脂肪を下げる効果がある

玄米にはいくつか種類があり、中でも「発芽玄米」を食べ続けると体脂肪率と中性脂肪の値が下がるという研究結果があります。

肥満やメタボとその予備軍の男女20人を対象に食事の主食を「白米」「玄米」「発芽玄米」のうち一つだけを3ヶ月間摂取し続けた結果を測定した研究です。

このうち、発芽玄米を摂取した人のみ中性脂肪値が平均で21%の減少が見られ、白米または玄米を摂取した人の中性脂肪は減少しませんでした。

発芽玄米は白米と比較して、中性脂肪を下げる効果がある成分の食物繊維ビタミンなどが多く含まれています。

また、玄米と比較してもGABA(アミノ酸の一種)を多く含んでいるので発芽玄米を食べた人のみ中性脂肪が減ったと考えられます。

発芽玄米の種類

私たちが普段食べている白米は、稲の種子を包んでいる籾(もみ)と呼ばれる殻やぬか層を取り除いて精米しています。

一方、玄米は稲の種子の籾殻部分を取り除いただけのお米のため、胚芽やぬか層が残っているので白米よりも身体に良い栄養が豊富です。

玄米は精米方法によって複数の種類に分かれています。

ここでは、中性脂肪を減らす効果がある発芽玄米をはじめとした玄米の種類や特徴などを紹介していきます。

発芽玄米

発芽玄米とは、玄米を水に浸して少しだけ芽を出させたお米のことです。

玄米が発芽するのに必要な栄養素を生成して内側に溜め込むため、発芽していない玄米と比較すると栄養価が高くなります。

中でも、発芽玄米は食物繊維を豊富に含んでいます。

食物繊維は食後のコレステロールや脂肪の吸収が緩やかになるように働く成分のため、発芽玄米を主食にすると中性脂肪を下げる効果があると言われています。

玄米のぼそぼそとした食感を苦手に感じる方もいますが、発芽玄米は玄米よりも柔らかい食感で食べやすいのが特徴です。

健康な食生活にしたいと健康志向が高い人におすすめです。

分づき米

分づき米とは、玄米からぬか層と胚芽を少しずつ除去したお米を指していて、3分づき、5分づき、7分づきと段階があります。

「分づき」の前の数字が大きいとぬか層や胚芽の除去量が多く白米に近いお米になります。

ぬか層や胚芽が残るように精米しているので、分つき度合いが少ないほど玄米の栄養素が多く残ります。

玄米特有の食べにくさが軽減されるため、玄米は苦手だけど健康のために摂取したいとお考えの方や小さいお子さんにもおすすめです。

玄米は身体が成長している途中の小さいお子さんが食べるとお腹がゆるくなることがあるため、3歳になる前のお子さんには食べさせないようにしましょう。

健康のために玄米食にしたい場合は、お子さんの成長のスピードに合わせて7分づきの玄米から始めるのがおすすめです。

ロウカット玄米

通常玄米は、防水性がある硬い「ロウ層」に包まれています。

ロウカット玄米とは、このロウ層だけを除去したお米のことです。

ロウ層が玄米の保水性を下げていたことが独特な固くてぼそぼそとした食感の原因だったため、ロウカット玄米は同じ玄米でも柔らかくて食べやすくなっています。

玄米としての栄養素を残しつつ、白米よりも糖質が少ないため血糖値が気になるという方におすすめです。

玄米や発芽玄米に含まれている成分

玄米と白米100gあたりに含まれている成分は次の表に示すとおりです。

栄養成分玄米白米
カロリー 349kcal356kcal
脂質2.7g(飽和脂肪酸 0.6 g含む)0.9g(飽和脂肪酸 0.3g含む)
ナトリウム1mg1mg
カリウム230mg88mg
炭水化物74g
(水溶性食物繊維 0.7g  不溶性食物繊維 2.3g含む)
77g(水溶性食物繊維 0g 不溶性食物繊維 0.5g含む)
タンパク質7g6g
カルシウム9mg5mg
2.1mg0.8mg
ビタミンB60.5mg0.1mg
マグネシウム110mg23mg
リン290mg34mg
亜鉛1.8mg0.6mg
0.27mg0.10mg
マンガン2.06mg0.35mg

100gあたりのカロリーに大きな違いはありませんが、脂質や食物繊維、鉄、マグネシウム、リン、亜鉛、マンガンなどは含有量に大きな差がみられます。

では、玄米の種類によって含まれている成分がどのように違うのかを見ていきましょう。

発芽玄米の成分

発芽玄米100gあたりに含まれている成分の一覧です。

栄養成分発芽玄米
カロリー 339kcal
脂質3.3g
ナトリウム3mg
カリウム160mg
炭水化物74.3g
(食物繊維総量3.1 g)
タンパク質6.5g
カルシウム13mg
1mg
ビタミンB60.34mg
マグネシウム120mg
リン280mg
1mg
亜鉛1.9mg
0.23mg
マンガン2.07mg

脂質の含有量が玄米よりもやや高めですが、ほとんどの項目において玄米と大きな差がないことが分かります。

分づき米の成分

分づき米150gあたりに含まれている成分の一覧です。

栄養成分3分づき米5分づき米7分づき米
食物繊維3.5g2.6g0.8g
タンパク質7.2g8.7g6.9g
脂質2.3g2.0g1.7g
カルシウム7.0mg7.0mg6.0mg
0.8mg0.7mg0.6mg
ビタミンB10.41mg0.33mg0.20mg

分づき米では、取り除く糠(ぬか)と胚芽の量が多いと食物繊維やタンパク質、脂質など全ての栄養成分が減少してしまいます。

ロウカット玄米の成分

続いて、ロウカット玄米100gあたりに含まれている成分の一覧です。

栄養成分ロウカット玄米
食物繊維3.5g
カルシウム6mg
ビタミンB10.36mg
ビタミンE1.4mg
ナイアシン3.1mg
γ-オリザノール33mg

ロウカット玄米に含まれている食物繊維は白米の7倍になります。

γ-オリザノールは、米ぬかに含まれている成分でコレステロールを減らす効果があると言われています。

玄米と合わせて食べたい中性脂肪を下げる食べ物

玄米の中でも特に発芽玄米に中性脂肪が下がる効果があることが分かりました。

しかし、ただ主食を発芽玄米に置き換えるだけでは効果が薄いかもしれません。

そこで、玄米の中性脂肪を下げる効果を更に高めるために一緒に食べたい食品や飲み物を紹介していきます。

中性脂肪を減らしたいとお考えの方は、次の食事から取り入れてみることをおすすめします。

中性脂肪を下げる食べ物

中性脂肪を下げると言われている食べ物は玄米以外にもたくさんあります。

おすすめの食材と得られる効果などを次に示す表で紹介します。

食品摂取すると得られる効果
魚介類(特に青魚)いわしやあじなどの背が青い魚に含まれている「EPA」や「DHA」に中性脂肪を減らす効果があります
オリーブオイル(植物油)オリーブオイルや植物油に含まれている「オレイン酸」に中性脂肪を減らす効果があります
野菜野菜の中でもキャベツや大根に含まれる食物繊維の整腸作用には中性脂肪を下げる効果があります
きのこ類きのこ類に含まれている「エリタデニン」という成分に中性脂肪を減らす効果があります
大豆製品大豆、豆腐、納豆に含まれている食物繊維やタンパク質には中性脂肪を下げる効果があります

どの食品も含まれている栄養素は異なりますが、中性脂肪を下げる効果のある食べ物なことが分かりました。

バランス良く積極的に食べるようにしましょう。

中性脂肪を下げるフルーツ

中性脂肪を下げると言われているフルーツもあります。

摂取すると中性脂肪を下げられる果物は3つです。

フルーツの種類摂取すると得られる効果
グレープフルーツグレープフルーツには特にビタミンCが豊富で、ほかにも糖質、カリウム、食物繊維などの栄養成分が含まれていて中性脂肪を下げる効果があります
キウイフルーツキウイフルーツは、小さい1個の中にとても多くの栄養素を含んでいて、継続して食べ続けると中性脂肪が減る効果があることが分かっています
りんごりんごを摂取すると腸内環境が整えられるため、中性脂肪を減らす効果があります

果物は糖質も含んでいるため、過剰な摂取は避けて適量を食べるようにしましょう。

中性脂肪を減らす飲み物

飲み物にも中性脂肪を減らす効果があるものがあります。

中性脂肪を減らす飲み物のランキング上位を紹介します。

飲み物摂取すると得られる効果
緑茶緑茶に多く含まれている「カテキン」に内臓脂肪を減らす効果があります
ウーロン茶ウーロン茶の渋みになっている成分の「ウーロン茶重合ポリフェノール」が脂肪の吸収を抑える効果があるため脂質が多い食事と一緒に摂取すると効果が大きいです
紅茶紅茶にも「カテキン」が含まれているため内臓脂肪を減らす効果があります
コーヒーコーヒーに含まれている「クロロゲン酸」に食事で摂取した脂肪の吸収を抑える効果があります
お酢ドリンクお酢の主成分である酢酸には内蔵脂肪を減少させる効果があります

紅茶やコーヒーは飲みやすくするために砂糖やミルクを入れたくなりますが、カロリーが高くなるのでなるべくストレートやブラックで飲むと良いでしょう。

また、緑茶やコーヒーにはカフェインも多く含まれているので飲み過ぎないようにし、水や白湯も飲むようにすることをおすすめします。

まとめ

ここまで、玄米が中性脂肪を減らす効果について説明してきました。

同じ玄米でも種類があり、特に発芽玄米には豊富に食物繊維が含まれているので中性脂肪を減らすのを助けます。

とはいえ、玄米だけでは中性脂肪を劇的に減らせないため、適度な運動や禁煙、アルコールを飲み過ぎないなどの生活習慣の改善も必要です。

本記事を参考にして、毎日の食事に玄米を取り入れて健康な食生活への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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