「完全栄養食って、手軽に栄養が摂れて便利だし、それさえ食べていればOK!」と思っていませんか?

現代人は忙しく、健康的な食事を摂りたいと思っても、「時間的に無理」「余裕がない!」という人も多いですよね。

確かに、食事を抜いてしまうくらいなら、完全栄養食で補う方が良いかもしれません。しかし、完全栄養食だけを食べて健康を保つことはできないのです。

なぜなら、ひとつの栄養素を過剰に摂り過ぎてしまうこともあるからです。大切なのは、理想の栄養バランスを知り、完全栄養食を上手に取り入れること。

そこで今回は、完全栄養食を生活の一部に取り入れる方法を解説します!

完全食・完全栄養食についてのおさらい

完全食とは、「健康を保つために必要な栄養素がすべて含まれた食品や食材」のこと。かつては玄米や卵、バナナといった天然の食材を「完全食」と呼んでいました。

しかし現在では、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に基づいた必須栄養素を含んでいる食品を、「完全食」あるいは「完全栄養食」と呼ぶことが多くなっています。

最近の完全栄養食には、パン、麺類、カレーなどさまざまな種類があり、これらは必要な栄養素を計算して作られているのが特徴です。

また、手軽に栄養を摂れるだけでなく、食事としての満足度も高いのが魅力といえます。

ダイエットも健康な食生活にも!完全食(パーフェクトフード)とは

最近の食生活の乱れや食事への意識

忙しい日々を送る現代人は、ゆっくり食事をする時間がないのが現状ではないでしょうか。手早く済ませるために、コンビニ弁当に頼ったり、ファーストフードで済ませる人も少なくないかもしれませんね。

中には、仕事が忙しくて食事を抜いてしまう人もいることでしょう。そんな忙しい現代人に向けて、世間では時短にフォーカスした1品弁当や1品ダイエットの風潮が高まっています。

1品弁当とは、もともとお弁当作りに疲れた主婦向けに提案されたもの。朝の忙しい時間に無理なく作れるお弁当として、複数のおかずは作らず、1品だけでもOKとされたお弁当のことです。

例えば、冷凍チキンライスを使った「オムライス弁当」や冷凍うどんにレトルトのパスタソースをかけた「ナポリタンうどん」などがあります。

また、手作り弁当だけに限らず、コンビニでも「ごはん+ミートボール」「ごはん+ウインナー」といったシンプルな1品弁当もブームになっているんです!

しかし、これらのお弁当に共通していえることは、栄養バランスが偏ってしまうこと…。野菜不足でビタミンやミネラルが摂れなくなるため、結局は他の食事で足りない栄養を補わなければなりません。

栄養不足が続くと、心身の不調につながってしまいます。加えて、りんごだけ、バナナだけといった1品ダイエットも、栄養バランスが崩れ、基礎代謝量が低下するため、避けた方が良いでしょう。

基礎代謝量が低下すると、反対に太りやすい体質になり、リバウンドしやすくなります。このようなことから、健康維持やダイエットの成功を目指すならば、1品弁当や1品ダイエットはおすすめできません。

完全栄養食の上手な生活への取り入れ方

栄養バランスが整った食事が良いとわかっていても、1日3食、栄養に気にかけて食事をするのは難しいですよね。そこでおすすめなのが、完全栄養食を上手に取り入れることです。

では、具体的にどのようにして取り入れたら良いのでしょうか。

まずは、栄養バランスの良い食事として、「PFCバランス」を覚えておきましょう。

PFCバランスとは

P=プロテイン(タンパク質)
F=ファット(脂質)
C=カーボン(炭水化物(糖質))

つまり「タンパク質、脂質、炭水化物(糖質)」の栄養バランスのことです。このPFCバランスを1日の食事全体を通して考えていきます。

昼食で食べ過ぎてしまったら夜は控えめにする、反対に、夜に外食の予定がある場合には昼食の量を少なめにするなどして、1日の食事量や栄養素を調整していきましょう。

理想のPFCバランスは、

P(タンパク質)=15%(13〜20%)、F(脂質)=25%(20〜30%)、C(炭水化物)=60%(50〜65%)といわれています。

※個人の年齢や体格差、活動量によって多少異なるため、()内は範囲を示しています。

ちなみに、タンパク質と炭水化物は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを持ちます。

例えば、理想のPFCバランスをもとに、1日の摂取カロリーを2000kcalにする場合、タンパク質300kcal、脂質500kcal、炭水化物1200kcalで摂取するとします。これを重量に換算すると、タンパク質75g、脂質55g、炭水化物300gとなります。

1日のPFCバランスをこの数値を目安に調整することで、栄養の偏りやエネルギー不足を防ぐことができるというわけです!加えて、糖質制限している場合は、炭水化物を減らし、その減らした分をタンパク質や脂質で補うことができます。

では、PFCバランスを考えながら、完全栄養食を取り入れた食事例を見ていきましょう!

食事例(朝食の場合)

食パン1枚しか食べていない場合。

  • 6枚切りの食パン1枚(60g)158kcal+ゆで卵1個(50g) 76kcal

例えば、ゆで卵1個をプラスするだけで、タンパク質が補えます。卵は糖質が控えめなので、糖質の摂り過ぎも防ぐことができますよ。

食パン1枚(60g)とゆで卵1個(50g)の栄養素は以下の通りです。

食パン1枚(60g)あたり
  • エネルギー 158kcal
  • タンパク質 5.2g
  • 脂質 4.3g
  • 糖質 24.6g
ゆで卵1個(50g)あたり
  • エネルギー 76kcal
  • タンパク質 6.4g
  • 脂質 5.2g
  • 糖質 0.2g

参考:https://calorie.slism.jp/101026/

忙しい朝でも、食パン1枚だけでなく、ゆで卵1個をプラスするだけで、PFCバランスの良い食事に近づけることができます。

また、ゆで卵に限らず、市販の完全栄養食を1品加えるなどして、タンパク質を補うのも良いでしょう。

ただし、その際には、タンパク質の摂り過ぎなど、栄養が偏ることがないよう、他2回の食事で調整するようにしてくださいね。

もっといろいろなPFCバランスの計算はこちらから

栄養バランスを良くすることで改善される不調たち

栄養バランスを良くすることで、心身の不調が改善されることがあります。ここでは、栄養バランスを良くすることでどんな改善が見られるかを確認していきましょう!

体調が良くなる

栄養バランスを良くすることで、体調が良い方向へと改善されます。なぜなら栄養素が人間の体を作り出しているからです。

特に、5大栄養素と呼ばれる炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルは、体を動かすエネルギー源となったり、体の組織を作ったり、機能を調整する働きをします。

これらの役割を果たす栄養素をバランス良く摂ることで、体の機能が正常に働き、体調が良く、健康な状態を保つことができるのです。目覚めが良くなり、肌の調子も良くなるなど、嬉しい効果が期待できますよ。

免疫力を維持し、病気に掛かりにくくなる

栄養バランスを良くすることで、免疫力を維持し、病気に掛かりにくくなるといわれています。

免疫力とは体内で発生するガン細胞やウイルスや細菌などの外敵から、体を守る仕組みのことです。

特定の栄養素に偏らず、バランス良く摂ることで免疫機能が維持されますが、免疫機能に働きかける栄養素を摂ることで、より効果を高めることが期待できるでしょう。

例えば食物繊維は、免疫細胞が最も多く存在する腸の環境を整える効果が期待できます。しかし、特定の栄養素を過剰に摂取すれば良いというわけではなく、あくまでもバランス良く栄養を摂ることが大切です。

イライラなどのストレスが軽減し、メンタルが整う

栄養バランスを良くすることで、ストレスが軽減し、メンタルが整うといわれています。心の不調は、食生活や栄養不足が大きく関わっていることが明らかになっています。

特に、タンパク質、食物繊維、ビタミンC、鉄分、葉酸などは心の不調に影響すると考えられています。タンパク質に含まれるアミノ酸は、気分を安定させるセロトニンなどの神経伝達物質をつくるもとです。

また、ビタミンCはストレスホルモンであるコルチゾールを抑制する働きがあるといわれています。

このような栄養素をバランス良く摂ることで、イライラなどのストレスが減り、メンタルの改善が期待できますよ。

完全栄養食を上手に取り入れて理想の食事バランスを目指そう!

最近流行りの1品弁当や1品ダイエットは、時短でお腹を満たすことができますが、栄養バランスが崩れ、心身に不調をきたしたり、基礎代謝が低下したりする恐れがあることがわかりました。

ダイエットの成功や健康を維持するためには、PFCバランスを考えながら食事メニューを組み立てていくことが大切です。忙しくて毎回の食事が不規則になりがちな人は、完全栄養食を上手に取り入れて、理想の食事バランスを目指していくと良いでしょう。

卵や納豆、バナナといった天然の食材なら、全体の食事バランスを見ながら、1食につき1品取り入れても構いません。しかし、パンや麺といった、いわゆる最近の完全栄養食は、毎食置き換えるのではなく、1週間に2〜3回程度取り入れるのが良いでしょう。

何より、素っ気ない食事にならないようにするのがポイントですよ。食事時間も人生の楽しみのひとつです。理想の食事バランスを目指しながら、健康な体を作っていきましょう!