皮をむくだけで手軽に食べられるバナナは、日本人にとって身近な果物の一つ。甘いバナナはダイエットに不向きと思われがちですが、実はダイエットや健康にうれしいさまざまな栄養素を含んでおり、中性脂肪やコレステロールの数値が気になる人にもおすすめなんです。

一方で、バナナは「中性脂肪が気になる人は控えたい食品」の一つとして紹介されることもあります。果たしてバナナは中性脂肪を下げるのか、中性脂肪を上げるのか……この記事では、バナナに含まれる栄養素からその真相を解説していきます。

意外と知らない?バナナの栄養価

バナナのカロリー

甘くて腹持ちの良いバナナは高カロリーなイメージがありますが、実は1本(100g)あたりのカロリーは約86kcal。ごはんが100gあたり168kcal、食パンが1枚(80g)あたり211kcalと考えると、低カロリーな部類に入ります。

思いのほかカロリーが低くて、びっくりした人も多いのではないでしょうか?

バナナの糖質

バナナの糖質は1本あたり21.1gと、食品のなかでは比較的多めです。

しかし、バナナに含まれるショ糖やでん粉は、果糖やブドウ糖などと比べて、食後ゆるやかに吸収されるという特徴があります。食後血糖値の上昇速度を表すGI値を比較しても、ご覧のとおり。

 食品 GI値
 白米 77
 白パン 74
 バターロール 59
 ドーナッツ 76
 クッキー 59
 バナナ 51
 りんご 37
※血糖の反応には個人差があり、複数の食材を組み合わせて食べることでも変化します。

ごはんやパン、お菓子などと比べると、バナナのGI値は思いのほか高くないことがわかりますね。

血糖値の急激な上昇は肥満の原因になるだけでなく、血管を傷つけたり、糖尿病のリスクが高まったりと、体にとってさまざまな悪影響をおよぼします。バナナは比較的GI値の低い食品なので、適量であれば血糖値の気になる方やダイエット中の方にもおすすめです。

バナナのタンパク質

バナナには、1本あたり1.1gのタンパク質が含まれています。含有量がとりわけ多いわけではないものの、体のエネルギー源となる糖質をはじめ、豊富な栄養素とタンパク質を同時に摂取できるのはうれしいポイントです。

バナナの脂質

バナナには脂質がほとんど含まれておらず、1本あたりの含有量は約0.2gです。

チョコレートやクッキーと比べてとても低脂質で、ダイエット中のおやつにもぴったり。腹持ちも良いので、食べ過ぎも防止できます。

まだまだある!体にうれしいバナナの栄養素

バナナにはビタミンやミネラル、食物繊維など、さまざまな栄養素がバランス良く含まれています。ここからは、バナナに含まれる栄養素についてさらに詳しくご紹介しましょう。

ビタミンB群

バナナには、ビタミンB1やナイアシンをはじめとするビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB群は代謝に関わるものが多く、ダイエット中は積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンB1

ビタミンB1には糖質の代謝を助ける働きがあり、甘いもの好きな人は積極的に摂取したい栄養素です。食事から摂取した糖質を効率的にエネルギーに変換し、ため込みにくい体へと導いてくれます。

また、ビタミンB1は水溶性なので調理の過程で失われてしまうことが多いですが、バナナは生のまま食べられるので、栄養をまるごと摂取できるのもポイントです。

ビタミンB2

ビタミンB2には脂質の代謝を助ける働きがあり、油っぽい食事が多い人は積極的に摂取したい栄養素です。また、髪や皮膚、ツメなどの成長にも深く関わっています。

ビタミンB2は乳製品などに多く含まれていますが、やはりダイエット中はカロリーが気になるもの。バナナは比較的低カロリーな食材なので、罪悪感が少ないのもメリットです。

ビタミンB6

ビタミンB6にはタンパク質の代謝を助ける働きがあります。また、アミノ酸の再合成をサポートする働きもあるため、美しい体づくりにも役立つとされているんです。

ダイエットやボディメイクに取り組んでいる人は、タンパク質と併せて積極的に摂取しましょう。

ナイアシン(ビタミンB3)

ナイアシン(ビタミンB3)はエネルギー代謝に深く関わっており、さまざまな酵素の働きをサポートしてくれます。

特に、同じくバナナに含まれるビタミンB1やビタミンB6とは互いに助け合う関係にあるので、同時に摂取することでより良い効果を期待できるでしょう。皮膚を健やかに保つ働きも期待できます。

葉酸

葉酸は赤血球の生成を助けるほか、お腹にいる赤ちゃんの発育にも良い影響を与えると考えられています。葉酸は熱に弱いため、バナナのように生のまま食べられる食材から摂取するのがおすすめです。

カリウム

バナナに含まれるカリウムには、体内のナトリウム(塩分)を排出する働きがあります。余分な塩分の排出をサポートしてくれるので、むくみや血圧が気になる人におすすめです。

マグネシウム

マグネシウムは、骨の健康を保つために欠かせない栄養素です。バナナは野菜や果物のなかでも特にマグネシウムの含有量が多く、カルシウムが豊富な牛乳と一緒に摂取することで骨の健康に良い効果を期待できます。

食物繊維

食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類がありますが、バナナには両方の食物繊維がバランス良く含まれています。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維はその名のとおり、水に溶けやすい性質を持つ食物繊維です。水分を含むと粘性を持ち、お腹のなかに長くとどまります。胃腸をゆっくりと移動するので腹持ちがよくなり、食べ過ぎ防止にも◎

また、粘性を持ちネバネバになった食物繊維が腸内に張り付き、脂肪や糖質の吸収をゆるやかにする効果を期待できます。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維とは、その名のとおり水に溶けにくい性質を持つ食物繊維です。

水分を吸収して便のかさを増やし、お通じを良くする効果を期待できます。便のかさが増えることで腸の蠕動運動が活発になり、排便をスムーズにするのもポイントです。腸内の不要な物質を吸着し、便と一緒に体外に排出する働きもあるとされています。

さらに、不溶性食物繊維を含む食品を摂取すると、自然にそしゃく回数が増えるので満腹感を得やすくなります。

ポリフェノール

赤ワインや緑茶、チョコレートなどに多く含まれるポリフェノール。実は、バナナにもポリフェノールが含まれており、優れた抗酸化作用を期待できます。

抗酸化作用とは、生活習慣病や肌トラブルなどの原因となる「体の酸化」を抑える働きのこと。ポリフェノールを積極的に摂取すれば、さまざまな健康リスクの低減をサポートしてくれるでしょう。

バナナは中性脂肪を下げる?上げる?

ここまでの内容から、バナナは中性脂肪を下げるのか、中性脂肪を上げるのか……結論を出したいと思います。

バナナは中性脂肪が気になる人におすすめ!

上記のとおり、バナナには美容や健康にうれしいさまざまな栄養素が含まれています。

バナナに含まれる水溶性食物繊維には、糖質や脂質の吸収をゆるやかにする働きが期待できます。中性脂肪は糖質や脂質の取り過ぎによって増加すると考えられているため、中性脂肪が気になる人は積極的に摂取したい栄養素です。

また、ポリフェノールの抗酸化作用は、動脈硬化や生活習慣病の予防にも役立つとされています。生活習慣病や動脈硬化は、中性脂肪の増加にともなうリスクとして、まっさきに挙げられる疾患です。

さらに、ポリフェノールにはHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やす働きもあるとされているため、中性脂肪やコレステロールの数値が気になる人にぴったり。

食物繊維とポリフェノールを含むバナナは、中性脂肪を下げたい人におすすめの食品といえるでしょう。

ただし、バナナの食べ過ぎは禁物

バナナは、中性脂肪やコレステロールが気になる人にうれしい効果を期待できますが、食べ過ぎは禁物です。

バナナは比較的GI値の低い食品とはいえ、糖質を豊富に含むことには変わりありません。バナナを一度にたくさん食べると血糖値が上がり、中性脂肪の増加を助長する恐れがあります。バナナに限らず、どのような食品でも食べ過ぎはカロリーオーバーにつながります。

朝食や間食にバナナを選ぶ場合は、適量を守るようにしましょう。

中性脂肪を下げるには?バナナの上手な食べ方!

一日1~2本を目安にする

バナナの摂取量は、一日1~2本が目安です。グラムで考える場合は、だいたい200g以内を目標にするとよいでしょう。

栄養バランスに気を付ける

バナナにはさまざまな栄養素が含まれますが、人間に必要な栄養をすべて摂取できるわけではありません。

例えば、バナナはタンパク質や脂質の含有量が控えめです。バナナは腹持ちが良いとはいえ、一食をバナナだけで済ませると栄養バランスが偏ってしまいます。

バナナに限らず、特定の食品だけを食べ続けるのはダイエット失敗のもと。できるだけ幅広い品目の食品を摂取しつつ、バランスの良い食事を心がけましょう。

飽きずに楽しめる!バナナのおいしいレシピ5選

バナナは皮をむくだけで手軽に食べられるのがメリット!でも、毎日バナナをそのまま食べるだけでは、さすがに飽きてしまいますよね……。

そこで最後は、おいしくバナナ習慣を続けられるおすすめレシピを紹介!朝食にぴったりなスムージーから自然な甘さのおやつまで幅広くピックアップしました。

①ミキサーいらず!バナナ牛乳

あらかじめバナナを凍らせておけば、たったの3分でバナナ牛乳が完成!時間がない日の朝食にもおすすめです。

【材料(1人分)】

  • 熟したバナナ 1本
  • 牛乳 100ml

【作り方】

  1. よく熟したバナナの皮をむき、ジップ袋などに入れた状態で手で揉んでつぶします。
  2. 袋に入れたまま冷凍させておきます。
  3. バナナが完全に凍ったら冷凍庫から取り出し、揉みほぐします。
  4. 硬すぎて潰れない場合は、電子レンジで10秒ほど温めましょう。
  5. 袋に牛乳を加えてよく混ぜ合わせたら、グラスに注いで完成です。

皮の表面に黒いポツポツ(シュガースポット)ができている、よく熟したバナナを使ってくださいね。お好みで豆乳やオーツミルク、アーモンドミルクなどで代用するのもよいでしょう。

②小松菜とバナナのスムージー

小松菜×バナナ!冷蔵庫によくある材料でつくれる簡単スムージーです。

【材料(1人分)】

  • バナナ 1本
  • 小松菜 50g
  • 牛乳 2分の1カップ
  • はちみつ 小さじ2分の1

※はちみつを使用したレシピです。1歳未満の子どもには与えないでください。

【作り方】

  1. バナナや小松菜はおおよそ一口大にカットします。
  2. すべての材料をミキサーやジューサーに入れて撹拌し、グラスに注いで完成です。

より自然な甘みに仕上げたい場合は、完熟バナナを使用するのがおすすめ。はちみつナシでもほんのり甘く、ほっとするおいしさです。

③果物どっさり!バナナスムージーボウル

材料をミキサーにかけて注ぐだけのおしゃれで簡単なスムージーボウルです!

【材料(1人分)】

  • バナナ 1本
  • プレーンヨーグルト
  • オートミール 50g
  • お好みの果物(いちご、ブルーベリー、キウイなど)
  • お好みのトッピング(果物、グラノーラなど)

【作り方】

  1. バナナをはじめとする果物は、撹拌しやすい大きさにカットします。
  2. トッピング用の果物を残して、すべての材料をミキサーやジューサーに入れて撹拌します。
  3. スムージーをボウルに注ぎ、果物やグラノーラをトッピングして完成です。

果物はお好みのものでOKなので、アレンジの幅は無限大です。冷凍フルーツを活用すれば、思い立ったらすぐつくれます。バナナとオートミールが入っているのでボリューミーで、お腹にしっかりたまりますよ。

④混ぜて蒸すだけで簡単!バナナ蒸しパン

【材料(つくりやすい分量 約16カップ分)】

  • ホットケーキミックス 150g
  • バナナ 1本
  • たまご 1個
  • 水 50ml
  • プレーンヨーグルト 大さじ2
  • 砂糖 大さじ1

【作り方】

  1. ボウルに卵を割り入れ、溶きほぐします。
  2. ホットケーキミックスを加えて混ぜ合わせます。
  3. ボウルに少しずつ水を加えながら混ぜ合わせ、ヨーグルトと砂糖を加えてよく混ぜます。
  4. つぶしたバナナを入れて混ぜ合わせたら、アルミカップや耐熱容器などに生地を注ぎます。
  5. フライパンに1cmの深さまで水(分量外)を入れ、容器を並べて蓋をします。
  6. 弱中火で5分程度蒸し焼きにします。竹串を刺して生地がついてくるようだったら、追加で1分ずつ蒸し焼きにします。

⑤糖質オフ!バナナパウンドケーキ

アーモンドパウダーでつくる、バナナパウンドケーキです。

【材料(21cmパウンド型1台分)

  • アーモンドパウダー 120g
  • ベーキングパウダー 小さじ1
  • きなこ 小さじ1
  • 熟したバナナ 2本
  • たまご 2個
  • グラニュー糖 50g
  • サラダ油 20g
  • くるみ、アーモンド お好みで

【作り方】

  1. オーブンは170℃に予熱しておきます。金属製の型を使用する場合は、大きさに合わせたクッキングシートを敷いておきましょう。
  2. ボウルにアーモンドパウダーとベーキングパウダーを加えて、混ぜ合わせます。
  3. 別のボウルに熟したバナナを入れて、フォークや泡立て器などでつぶします。
  4. バナナがなめらかになったらグラニュー糖を加えて、混ぜ合わせます。
  5. 溶きほぐしたたまごと、サラダ油を加えて混ぜます。
  6. アーモンドパウダーとベーキングパウダー、きなこを加えて全体をさっくりと混ぜます。お好みで、くだいたくるみやアーモンド、レーズンなどを加えます。
  7. 型にクッキングシートを敷いた場合は、上からサラダ油(分量外)を薄くのばします。型に生地を流し込み、型の底を台に打ち付けて空気を抜きます。
  8. オーブンの予熱が完了したら、35~45分程度焼きます。焼き時間はオーブンによって異なるので、ご自宅のオーブンに合わせて調整してください。表面の焦げが気になる場合は、アルミホイルをかぶせます。
  9. 生地の中心に竹串を刺し、べたっとした生地がついてこなければOKです。熱いうちに型から外し、粗熱を取ったらラップで包んで常温で一晩保存します。

アーモンドパウダーときなこをプラスすることで、香ばしい仕上がりになります!お好みでくだいたくるみやアーモンド、レーズンなどを加えてもおいしいですよ。

まとめ

食物繊維やポリフェノールを含むバナナは、中性脂肪やコレステロールが気になる人におすすめの食品です。バナナは意外と低カロリーかつ低GIで、ダイエット中も罪悪感なく食べることができます。ただし、バナナには糖質が含まれるので、食べ過ぎは禁物。

一日あたりの適量を守りながら、おいしく楽しくバナナ生活を続けましょう♪

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