特に体調不良というわけでもないのに、食事をするのが億劫だったり食べたくなかったりすることは誰でもありますよね。
このような食欲不振はどうして起こるのか、代表的な5つの原因を紹介していきます。
また食欲不振の改善が見込まれる食べ物や、作りやすく食べやすいレシピもまとめましたので、ぜひこの記事を参考にして食欲不振から脱却しましょう。
この記事でわかること
・「内臓の不調」「病気」「ストレス」「生活習慣の乱れ」「気温」などが要因になりやすい
・ヨーグルトなどの発酵食品や唐辛子などのスパイス、レモンなどの酸味のあるもの、山芋などの粘り気があるものが役立つ
食欲不振の5つの原因
食事の時間になっても食べたくない、さほど飲食していないのに食事をする気にならないといった状態のことを「食欲不振」といいます。
1日や2日程度の事ならよいですが、食欲不振が長く続くと充分な栄養が得られず健康を害してしまいます。どうして食欲不振となってしまうのか、その主な原因としては次の5つが考えられます。
1.内臓の不調
食事に使い関わり合いがある内臓が不調になると食欲不振に陥りやすくなります。特に食べたものを消化するための食道、胃、腸、などの消化器の不調は食欲不振の原因となります。
お腹に痛みを感じたり、吐き気や下痢気味だったり、そこまでではなくともお腹に不快感があるといった場合は内臓の不調が原因かもしれません。
2.病気によるもの
風邪をひいていたり、インフルエンザなどのウィルス性感染症にり患していたりするときにもやはり食欲不振を感じやすくなります。
風邪や感染症にり患している場合、身体は免疫機能を活性化させるために発熱したり倦怠感が起こったりします。同時に消化機能も低下するため、食事をしても上手く消化できなくなるので食欲不振状態になるのです。
病気の治療のための薬を飲んでいる人も食欲不振が起こりやすくなります。特にがん治療のために抗がん剤を服用している人は薬の影響で消化管の機能が低下しやすく、さらに抗がん剤の影響で脳にある摂食中枢が働きにくくなることが原因です。
3.ストレスなど精神的なもの
ストレスを感じていたり、心の病気にかかっていたりするときにも食欲不振が起こります。
これは食事をしたいと感じる摂食中枢の働きが鈍くなることが原因です。
摂食中枢は食欲を制御する働きがあります。摂食中枢があるのは脳内にある視床下部と言う場所で、同じところに葉自律神経などがあります。
ストレスや心の病気にかかっているときには自律神経が乱れるため、摂食中枢にも影響が出てきます。
4.生活習慣の乱れ
暴飲暴食や夜更かしが続くなどの生活習慣の乱れは自律神経を乱れさせる原因の1つです。
これはストレスなどの精神的なもので紹介した自律神経の乱れによる食欲不振と同じような原因といえるでしょう。
もちろん運動不足や睡眠不足も生活習慣の乱れの1つです。運動が苦手な人や在宅ワークなどで家にこもりがちな人の中には、動かないからお腹が空かないのだろうと思っている人がいるかもしれません。
ですが、自律神経の乱れによる食欲不振が続いている可能性もあります。
もちろん適度な運動は身体を疲れさせ食欲を増進させる効果があるので、運動不足を自認する人は適度な運動を取り入れることが必要です。
5.気温など外的要因
季節の変わり目になると食欲が減退する、調子を崩すという人は多いでしょう。
気温や気圧、湿度などの急激な変化はやはり自律神経の乱れに繋がります。
代用的なのが「夏バテ」と呼ばれる症状です。急激な気温の変化に身体を適用させようとすると、相当なエネルギーを消費するのです。その結果消化に使うエネルギーなどが不足し、消化器の不調なども引き起こします。
夏バテ以外にも気圧の変化に敏感な方は天気が崩れるタイミングで食欲不振が現れることがあるでしょう。
食欲不振の味方
滋養強壮・肉体疲労・病中病後・発熱性消耗性疾患・栄養障害・妊娠授乳期などの場合の栄養補給・虚弱体質の人にもおすすめです。
食欲不振時の改善が期待できる食べ物とその効果
食欲不振が続くと栄養不足となってしまいます。できれば食欲不振は早めに改善したいですよね。
ここからは食欲不振状態の改善が期待できる食べ物を紹介し、その効果について解説します。
発酵食品(ヨーグルト・味噌・甘酒など)
発酵食品は微生物によりたんぱく質やでんぷんといった栄養素を細かく分解されている食べ物なので、消化器に過度な負担をかけることなく消化、吸収できるといった特徴があります。
また発酵することで元の食材よりも栄養素が増えることも多く、少ない量でもたくさんの栄養が取れるのです。発酵食品には胃腸の働きを助け、免疫力を高める乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌も含まれ、腸内環境を整える効果も期待できます。
中でも甘酒(米麹から作るもの)は飲む点滴と呼ばれるほど消化吸収がよい飲み物です。夏は冷やして、冬は暖かくして飲むのもおすすめですよ。
スパイスや薬味(唐辛子・しょうが・わさびなど)
スパイスや薬味は食欲を増進させたり体を冷やしたりする効果があります。
スパイスは非常に刺激が強い調味料ですが、これらの刺激が胃液や胆汁といった消化液の分泌量を増やし、胃腸の蠕動運動を活発にする効果が期待できます。
ただ胃腸に刺激を与えるスパイスや薬味は、胃腸に不調を抱えているときには注意が必要です。刺激が強すぎてかえって不調を増長させてしまう恐れがあるためです。
夏バテになりそうなときにカレーが食べたくなるのは食欲増進効果があるためでしょう。
酸味を感じる食材(レモン・お酢・トマトなど)
食欲不振を感じているときには、味覚にも異常を感じている人もいるでしょう。また口腔内に不快感がある場合もあります。
このような時におすすめなのがレモンやお酢、トマトなどの酸味を感じる食材です。クエン酸が多く含まれ、口の中の雑菌を排除してくれるほか、胃腸にも適度な刺激を与えてくれます。
酸味を感じる食材は、できれば非加熱で食べられるものがおすすめです。特に酸味がある果物は、生食しやすく食物繊維も同時に摂取できるのでおすすめですよ。
粘り気がある食材(おくら・山芋・なめこなど)
おくらや山芋、なめこなどの粘り気がある食材は、のど越しが良いために食欲がない時でも口に入れるとつるんとのどを通ってくれます。
また、粘り気を生み出す成分は胃に入ると消化酵素の分泌を促す効果があるため、食欲増進効果も期待できます。粘り気の正体はムチンやペクチンと呼ばれるもので、ムチンは胃腸を保護する効果が、ペクチンは整腸作用もありますよ。
消化器の調子が良くなれば、食欲も復活しやすくなります。苦手でなければ納豆はネバネバ成分と発酵食品の両方に当てはまるのでおすすめです。
食欲不振時におすすめしたい3つのレシピ
食欲不振を感じているときには食事を用意することも大変ですよね。そこで今回は一般的なスーパーなどで手に入りやすい食材で、さらに手間をかけずに作れるメニューを3つ紹介します。基本のレシピに合わせ、アレンジ方法も合わせて紹介します。
サバ水煮缶の冷や汁
【材料:2人前】
- さば水煮缶 75g(0.5缶)
- 豆腐 150g(0.5丁)
- きゅうり 1本
- 大葉 4枚
- 白ごま 小さじ1
- みそ 大さじ1.5
- 水 300ml
【作り方】
- きゅうりは薄い輪切り、大葉は千切りにする
- さば水煮缶は身と汁を分けておく
- ボウルにさば水煮缶の身と豆腐を入れ、軽くほぐす(A)
- みそと水を合わせ冷たい味噌汁にしておく(B)
- 器にAを盛り、さらにきゅうり、大葉、白ごまを盛りBを注ぐ
火を使わずに作れる冷たい味噌汁です。水煮缶を使うことで手軽に青魚が食べられます。メインの具材、薬味、冷たい汁を別々に冷蔵庫にストックしておき、食べたいときに合わせて食べればいつでも美味しくいただけます。薬味にしょうがやみょうがをプラスするのもおすすめです。
だし
【材料:2人前】
- きゅうり 1本
- なす 1本
- 山芋(自然薯や大和イモでも可) 100g
- 味付けめかぶ 1パック
【作り方】
- きゅうり、なす、山芋は粗みじんに切る
- なすは一度水に晒してアクを抜く
- 切った野菜をボウルに入れ、味付けめかぶを1パック加えよく混ぜる
- 器に盛る
山形の郷土料理の1つで、夏場の食欲不振時や消火器の不調時でも食べやすいメニューです。
ねばねば食材を使うため、胃腸にも負担はかかりにくいでしょう。材料を細かく切れば切るほど粘り気が増しますし、サラサラと食べやすくなります。
ご飯や素麺、豆腐などにかけて食べるのもおすすめです。大葉やみょうが、しょうがなどの薬味をプラスしたり、オクラを混ぜても美味しくいただけます。
ツナマヨカレーディップ
【材料:2人前】
- シーチキン 1缶
- 玉ねぎ 0.5個
- マヨネーズ 大さじ1
- カレー粉 小さじ1
- 白ゴマ 小さじ0.5
【作り方】
- 玉ねぎはみじん切りにし水にさらす(辛みが苦手な場合はレンジで加熱してもOK)
- シーチキンはよく汁気を切っておく
- ボウルに全てを入れ混ぜ合わせれば出来上がり
酸味があるマヨネーズと辛みと香りで食欲をそそるカレー粉の組み合わせがクセになるディップソースです。
きゅうりをディップしたり冷奴にのせたりするのもおすすめですが、パンに乗せて軽くトーストして食べてみてください。
今回は玉ねぎを入れましたが、みょうがやセロリ(茎の部分)でも美味しいですよ。
まとめ
食欲不振をできるだけ早く解消しようと、今回ご紹介した食べ物やメニューをたくさん食べることは避けてください。
食欲不振がすでに続いている場合や、消化器の不調や病気が原因といった場合には、少しずつ食べることが大切ですよ。
また無理に「食べないと」と思うのではなく、食べられるものを少しずつ食べるのが基本です。胃腸の状態を確認しながら、美味しく食欲不振から脱却していきましょう。