健康診断で中性脂肪を気にする人は多いのではないでしょうか。中性脂肪値が高いと動脈硬化や心臓病などのリスクが高くなります。

中性脂肪を減らすには、食生活の見直しが欠かせません。人間の体は食べるものからできているのですから、毎日の食事に大きな影響を受けているのです。

食生活の改善は大変、と思っていませんか。ゆっくり食事をする時間が取れない人や外食が多い人でも大丈夫。実は中性脂肪を減らす効果がある食事は難しいことではないのです。

ここではいつもの食事に少し工夫を加える、無理なく続けられるレシピを紹介します。
今日から取り入れられるものもありますので、ぜひ参考にしてください。

中性脂肪とは?

中性脂肪は身体にある脂質の1つです。
健康診断では、LDLコレステロール、HDLコレステロールとともに、中性脂肪の数値は脂質異常症のチェック項目になっています。
血液中に中性脂肪が多く含まれていると脂質異常症となり、動脈硬化や心臓病などのリスクを高めます。

中性脂肪の働きは、糖質が不足した際エネルギー源として使われるほか、クッションとなり外的刺激から内蔵を守ることです。衝撃や温度変化によって内臓が傷つくのを防いでいます。

食事で摂取された脂質は、肝臓で中性脂肪となった後血液を流れ、必要な組織に運ばれます。すぐに使われない脂質は「皮下脂肪」や「内臓脂肪」となり、皮下組織や内臓に蓄えられています。

「体脂肪」とは皮下脂肪と内臓脂肪の総称であり、使われずに蓄えられた中性脂肪を指します。

中性脂肪はなぜ増える?

身体に必要不可欠な中性脂肪ですが、増えすぎてしまうと健康に支障ときたす原因になります。中性脂肪が必要以上に増えてしまうのは、なぜなのでしょうか。

生活の中に潜んでいる中性脂肪が増える主な原因を紹介します。

脂質や糖質の摂りすぎ

中性脂肪が増える一番大きな原因は脂質の摂りすぎです。体が必要とする以上の脂質を摂取し続けると、中性脂肪はどんどん蓄えられていきます。

脂質を多く摂取しても、活動で消費できれば中性脂肪が増えることはありません。エネルギーとして使いきれない量を食べてしまったり、活動した後に多く食べてしまったりすると、皮下組織や内臓に蓄積されやすくなるのです。

また、気をつけるべきは脂質だけではありません。糖質の摂取量も中性脂肪に大きく関わっています。

体内で中性脂肪が合成されるときには糖質が材料として使用されるため、糖質が体内に多くあると、どんどん中性脂肪は合成されるのです。脂質を控えてもなかなか中性脂肪が減らない人は、糖質の摂取量もチェックしてみましょう。

脂質も糖質も身体には必要なエネルギー源ですが、適切な摂取量を守らないと中性脂肪が増え、生活習慣病のリスクを高めるのです。

運動不足

人間の体は、糖質や脂質をエネルギーとして活動しています。体を動かすときはもちろん、脳が働くときにも糖質などがエネルギー源です。全身の筋肉が活発に活動していれば、食事で摂取した脂質や糖質は消費され、蓄積されません。

しかし、運動不足により筋肉量が減ってしまうと基礎代謝量が少なくなり、エネルギーとして消費できる量が減ってしまうのです。筋肉量が減っても今までと同じ食事を続けてしまうと、中性脂肪は蓄積されるようになります。

またデスクワーク中心の生活をしていると、歩いたりしゃがんだりすることが減り、血液の循環が悪くなりがちです。中性脂肪は血液により体内の組織に運ばれるため、血液の循環が悪いと中性脂肪が蓄積されやすくなってしまいます。

不規則な生活習慣

不規則な生活も中性脂肪を増やす原因になります。
体の調子を整えるためには食生活と睡眠は重要なポイントです。体の調子が良ければ、脂質や糖質が効率よくエネルギーとして消費されるので、中性脂肪は増えていきません。

例えば朝ごはんを食べないと、空腹の時間が長くなることから、昼食の量が多くなりがちです。脂質や糖質を多く含む食事を選ぶことも多いでしょう。消費できる量以上の脂質や糖質を摂ることとなり、中性脂肪は増えてしまいます。

また睡眠不足も食事に影響を及ぼします。同じ食事を食べても睡眠不足の状態では、満足感が低くなり、つい食べ過ぎてしまうのです。就寝前に食事をすると、消化活動が活発化するために睡眠の質が下がり、脳も体もゆっくり休めません。体がリセットされることなく、次の日を迎えてしまうことで、食欲にも影響が出てしまうのです。

飲酒や喫煙

飲酒や喫煙も中性脂肪を増やす原因となります。体内に取り込まれたアルコールは肝臓で分解されますが、その際、肝臓では次々と中性脂肪が合成されているのです。糖質を多く含むお酒を飲めば、中性脂肪の合成はさらに促進されます。

飲酒は適量であれば血液循環を促進させる効果が期待できますが、中性脂肪が気になる人はアルコール摂取量を抑える必要があるでしょう。

また喫煙は脂質や糖質の代謝に影響を及ぼします。タバコに含まれるニコチンの働きにより中性脂肪が合成されやすくなってしまうのです。

喫煙により中性脂肪やLDLコレステロールが増え、一方でHDLコレステロールが減ってしまうので、脂質異常症のリスクが高まります。

中性脂肪を下げる食品

中性脂肪を下げるには、毎日の食事を見直すのが最善の方法です。ここでは中性脂肪値を下げる効果のある代表的な食品を紹介します。

魚、特に青魚はDHA、EPAを多く含む食品の代表的なものです。
DHA、EPAはともに不飽和脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸には、血液中や肝臓の中性脂肪を減らす役割や肝臓から血液中に中性脂肪が出て行かないようにする効果があります。

不飽和脂肪酸は体内では合成されないので、食事で積極的に摂取しましょう。補助的にサプリメントで摂取することもできます。

海藻、きのこ、野菜

海藻類やきのこ、野菜といった食品は、食物繊維を多く含んでいます。食物繊維は腸内で脂質が吸収されるのを抑える働きがあります。

特に水溶性食物繊維は吸着性があり、中性脂肪やコレステロールを吸収して体外へ排出してくれます。

また食物繊維は食べ過ぎを抑制する効果もあります。食物繊維を食べるにはよく噛む必要があり、消化にも時間がかかるために、満腹感が得られやすい食材なのです。
食事のはじめに、まずはサラダや副菜の野菜をゆっくり食べるのがおすすめです。

大豆

大豆は中性脂肪が気になる人にはおすすめの食品です。

大豆に含まれる大豆タンパク質には小腸で脂質が吸収されるのを抑制する働きがあり、中性脂肪を減少させます。

大豆にはポリフェノールやαリノレン酸なども含まれています。ポリフェノールの一種である大豆イソフラボンは脂質の分解を抑制する働きで、吸収が抑制されます。

αリノレン酸は不飽和脂肪酸のひとつで中性脂肪を減少させる効果のある成分です。

大豆には中性脂肪を減らすさまざまな成分が含まれているので、中性脂肪が気になる人は積極的に食べるようにしましょう。

アマニ油・エゴマ油

アマニ油やエゴマ油に含まれるαリノレン酸は不飽和脂肪酸のひとつで、DHAやEPAと同じように中性脂肪を下げる働きがあります。

αリノレン酸は食用油のほか、くるみや大豆製品にも含まれています。油を用いた食事は、洋食でも和食でもたくさんありますね。

同じ料理でも使われる油の種類によっては中性脂肪が増えやすくなってしまうので、中性脂肪が気になる人は中性脂肪を下げる効果のある油を選ぶようにすると良いでしょう。

ポリフェノール

中性脂肪を下げる成分にはポリフェノールもあります。ポリフェノールは抗酸化作用があることで有名ですが、脂質の分解を抑制する働きがあるのです。ポリフェノールによって脂質は小さな粒子まで分解されず、吸収されにくくなります。

ポリフェノールにはたくさんの種類があり、赤ワイン以外にもさまざまな飲み物に含まれています。カカオやカテキンなどもポリフェノールの一種なので、緑茶やココア、コーヒーなども中性脂肪を下げる効果が期待できます。

中性脂肪を下げる簡単レシピ

中性脂肪を下げようと張り切っても、食事の準備に手間や時間がかかっては、続けられませんね。中性脂肪が下がる効果は、中長期的な視点でわかるものなので、少なくとも3週間以上は続けられる対応が必要です。

ここでは忙しい毎日でも簡単に取り入れられるレシピを紹介します。自分のライフスタイルに合わせて少しずつ取り入れてみてください。

サバ缶みそ汁

中性脂肪を下げる効果が期待できるDHA・DPAは、青魚に多く含まれています。
手軽に食べられる缶詰やレトルト食品を活用しましょう。

【材料】

  • サバ缶(水煮)
  • 出汁入り味噌

【作り方】

  1. 鍋にサバ缶を汁ごと入れ、水を加えて加熱する。
  2. 出汁入り味噌をといて、できあがり。

これは朝におすすめのみそ汁です。豆腐を入れたり、大根や白菜などの野菜を一緒に煮たりしてもよいですね。
時間や手間を惜しむ人は、具はサバ缶だけでもOK。塩分が強くなりすぎないよう、水で調節してください。

チャンプルー

チャンプルーは豆腐と色々な食材を炒めた料理のことです。ゴーヤーを使わなくても、もやしやキャベツ、ピーマンやニラなどさまざまな野菜を美味しく食べられるのでおすすめです。

【材料】

  • 豆腐
  • 野菜(ゴーヤー、もやし、ニラなどなんでも)
  • 豚肉(鶏肉、牛肉、ツナ缶などでも)

【作り方】

  1. 肉や野菜を炒め、豆腐も一緒に炒める。(豆腐は切っても混ぜながら崩してもOK)
  2. 好みで味付けをしたら、溶き卵をまわしかける。
  3. 好みの硬さに卵が固まったら、仕上げにごま油を垂らして出来上がり。

豆腐と一緒に炒める具材や量はその日の気分で決めましょう。豆腐がたくさん食べられるメニューなので、一緒に炒める具材が豆腐より多くならない方がよいですね。
シンプルに醤油と塩コショウで食べても美味しいですが、めんつゆや砂糖で少し甘めのチャンプルーも食欲をそそります。

温野菜

温野菜は野菜が手軽に食べられるのでおすすめです。
冷凍野菜と電子レンジを使えば後片付けも簡単。出かける支度をしている間にレンチンするだけで、朝ごはんが完成します。

【材料】

  • 冷凍野菜ミックス

【作り方】

  1. 冷凍野菜ミックスを皿に広げて電子レンジで加熱。
  2. お好みのディップをつけて出来上がり。

軽く塩コショウをしたうえにオリーブオイルやアマニ油をかけて食べると、野菜の味が楽しめます。味噌とマヨネーズを1:3の割合で混ぜたディップソースもおすすめです。

きのこと野菜の炒めもの

【材料】

  • 冷凍野菜ミックス
  • 冷凍きのこミックス

【作り方】

  1. 冷凍野菜ミックスときのこミックスをフライパンで炒める。
  2. 塩コショウで味付けて出来上がり。

冷凍野菜ミックスはレンチンだけでなく、フライパンで炒めても美味しく食べられます。冷凍のきのこミックスも合わせて炒めれば、食物繊維も取れてGood。炒める際はテフロン加工のフライパンを活用して、使用する油の量を減らすとよいでしょう。

ホットトマトジュース

【材料】

  • トマトジュース(食塩無添加もの)
  • オリーブオイル

【作り方】

  1. トマトジュースを温める。(レンチンする場合は突沸しないよう、加熱しすぎに注意)
  2. 熱いうちにオリーブオイルを加え、よく混ぜてできあがり。

トマトジュースに含まれるリコピン、オリーブオイルに含まれるオレイン酸の働きで脂質の代謝が高まり、中性脂肪を下げる効果が期待できる飲み物です。
温めることで吸収力が上がり、腸の働きも活発化されます。食前に飲むと満腹感が得られるため、食べ過ぎを防止することもできます。

中性脂肪を下げる食生活とは

せっかく体内に取り入れた有効な成分ですから効率よく使いたいですよね。中性脂肪をさらに効果的に下げるには、有効な食品を選ぶと同時に日々の食生活の見直しも大切です。

朝ごはんが大切

朝ごはんは欠かさず食べるようにしましょう。忙しくてゆっくり食べる時間が取れない人でも、スープやみそ汁だけは食べる時間を作りましょう。朝ごはんを食べることで、昼食までの空腹状態が収まり、昼食での食べ過ぎを防ぎます。

食事をすると血糖値が上がりますが、その時体内では、急激な血糖値の上昇を防ぐためにインスリンが大量に分泌されます。このインスリンには脂質を蓄積する作用があるので、中性脂肪が気になる人にとっては厄介な成分です。
朝ごはんを食べれば、血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの量を減らすことができます。

また朝ごはんは活動前の食事ですから、ガッツリ食べても余分な脂質になりにくく安心です。バランスよく食べれば、効率的にエネルギーとして使われ、午前中から元気よく活動できるでしょう。

朝に野菜のたっぷり入ったみそ汁を飲めば食物繊維で満腹感があり、さらに大豆により中性脂肪を下げる効果も期待できます。

洋食より和食

洋食には動物性の脂質が使われることが多く、脂質の摂取量が増えてしまいます。

唐揚げやポークソテーなどの洋食は脂質を多く摂取してしまうので、中性脂肪が気になる人にはおすすめできません。
揚げ物より焼き物、焼き物より蒸し物と油の使用が抑えられている食事を選ぶと、中性脂肪が下がっていきます。

一方、和食は魚料理も多く、野菜もたくさん取れるのでおすすめです。
また和食には豆腐や味噌、醤油など大豆製品も多く使われているので、中性脂肪を抑える成分を効率よく摂取できます。

1週間のうち5回以上の食事で、魚メインにすることを心がけましょう。
またサラダや温野菜、冷奴などの副菜を一品加えることもおすすめです。みそ汁やスープは海藻やきのこなどの食物繊維が取りやすいメニューなので、積極的に取り入れましょう。

活動量とのバランスを考えて

脂質や糖質は使われないと皮下組織や内臓に蓄積されてしまいます。活動量が少なくなる前の食事の種類や量には気をつけましょう。

1日の活動が始まる前の食事は、主食・主菜・副菜とバランスよく食べるのが理想です。野菜や海藻など食物繊維が豊富な食材を取り入れることで、脳が活性化され、生産性の高い活動に繋がります。

また活動量が少なくなる夜や就寝前は特に食事の種類に気をつけましょう。アルコールや脂質を多く摂取すると、蓄積されやすくなるだけでなく、睡眠の質にも影響が出ます。

一日どのくらいの脂質や糖質を食べてよいのかについては、基礎代謝量を参考にするとよいでしょう。身長や体重から平均的な基礎代謝量は算出されますが、筋肉量によっても異なります。

中性脂肪を蓄積されないようにするには、摂取と活動量とのバランスが大切です。生活に運動を取り入れ、筋肉が落ちないようにするとさらに脂質が消費されやすくなるでしょう。

まとめ

人の体は食べたものから作られているので、中性脂肪を減らすには食事を見直すのが最善の方法です。しかし、効果がなかなか見られず、継続が難しいと感じる人も多いでしょう。

この記事では中性脂肪が気になる人を対象に、毎日の生活に簡単に取り入れられる食事のレシピを紹介しました。今回紹介したような、無理なく続けられるレシピであれば3週間以上の継続は可能です。

食生活を整えていくと、中性脂肪の数値の変化はもちろんのこと、朝の目覚めや毎日の気分にも変化が出てきます。自律神経のバランスが整い、ポジティブ思考になっていくのです。

無理なく、食事を楽しんで、中性脂肪を下げていきましょう。

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