MCTオイルってなに?

MCTオイルのMCTとは、“Medium Chain Triglycerides”の頭文字をとったもので、日本語では「中鎖脂肪酸」といいます。この中鎖脂肪酸を100%使用した食用油がMCTオイルです。
私たちが普段の料理に使用しているサラダ油やオリーブオイルに含まれている脂肪酸は「長鎖脂肪酸」といい、脂肪酸を構成している炭素分子の数が14以上のものです。それに対し、中鎖脂肪酸は炭素分子の数が6~12と少なくて分子が小さいので、長鎖脂肪酸に比べて消化・吸収のスピードが速く、エネルギーになりやすいという特徴があります。
中鎖脂肪酸を多く含む油としてはココナッツオイルやヤシ油が広く知られていますが、それぞれの中鎖脂肪酸の含有率はココナッツオイルで約60%、ヤシ油で約14%とそれほど高くはないため、人工的に精製した中鎖脂肪酸100%のMCTオイルが市販されています。

MCTオイルはダイエットにいいの?

疑問

MCTオイルは一般的な油(長鎖脂肪酸)と比べて消化・吸収のスピードが速いため、素早くエネルギーとして燃えてくれます。また、食事から脂質を摂取すると血中の中性脂肪の値が高くなり、その状態が続くと脂肪細胞に蓄えられて体脂肪となってしまうのですが、MCTオイルは食後の中性脂肪の値が高くなりにくい油であるため、体脂肪がつきにくいといわれています。このようなことから、MCTオイルはダイエットに効果的と考えられます。実際に、食事から摂取する油を長鎖脂肪酸からMCTに置き換えたところ(少なくとも5gを4週間)、置き換えなかった人と比べて平均で体重が0.69㎏、体脂肪が0.89㎏減少したという研究結果があります(Nassib B Bueno et al. Review J Am Coll Nutr 2015;34(2):175-83)。

また最近では、ケトジェニックダイエットなどにMCTオイルが活用されています。ケトジェニックダイエットとは、糖質制限ダイエットの一種であり、糖質の摂取量をできる限り少なくして脂肪燃焼しやすい身体にすることを目的としたダイエット法です。
普段、私たちの身体は糖質と脂質を主なエネルギー源としていますが、糖質の摂取量を制限すると、不足したエネルギーを補うために脂肪を分解して作られる「ケトン体」を主要なエネルギー源として使うようになります。この状態を続けることによって、体内の脂肪が燃焼されやすい身体になり、体脂肪の減少が期待できるのです。

具体的なやり方としては、糖質の摂取割合をトータルカロリーの10%以下(目安量としては1日50g以内)になるよう制限し、脂質の割合を60%以上に高めるようにします。脂質まで制限してしまうとエネルギーが不足して筋肉が分解されてしまうので、糖質を制限する代わりに脂質をしっかり摂ることがポイントです。そしてこのときに活用されるのがMCTオイルです。前述したとおり、MCTオイルは一般的な油と比べて消化・吸収のスピードが速くエネルギーになりやすいため、ケトジェニックダイエットにはとても向いている油といえます。ただし、MCTオイルは消化吸収が速い分、一度にたくさん摂ってしまうとお腹が痛くなったり緩くなったりすることがあるので、摂り過ぎには注意が必要です。1日あたり小さじ1杯~大さじ1杯程度を目安にし、体調をみながら摂取するようにすると良いでしょう。

毎日の食生活へMCTオイルを取り入れる方法

MCTオイルはエネルギーになりやすいという特徴はありますが、あくまで油なので、1gあたり約8.6kcalと高いカロリーがあります。そのため、サプリメントのように食事にプラスして摂取するのではなく、普段使っている油(長鎖脂肪酸)から置き換えて使うようにしましょう。あるいは、腹持ちをよくするためにスープや飲み物などにプラスする場合は、その分食事量を減らすようにしましょう。

MCTオイルを使うときの注意点としては、揚げ物や炒め物などの料理には使用しないようにしてください。加熱すると煙が出たり泡だってしまったりして危険です。MCTオイルは基本的に「生で使う油」ということを覚えておきましょう。パスタにオリーブオイルの代わりにかけたり、塩や酢で調味してドレッシングにしたり、スープやスムージーなどの飲み物に加えたり、というようなかたちで摂取するのがおすすめです。

中でもMCTオイルの取り入れ方として人気なのが“バターコーヒー”です。
作り方は、

  • 普段飲んでいるブラックコーヒー
  • グラスフェッドバター
  • MCTオイル

をミキサーやブレンダーなどでしっかり混ぜるだけ。とても簡単で取り入れやすいので、コーヒー好きの方はぜひ試してみてください。
材料が手に入りづらい時は以下で代用することも可能ですし、最近ではもっとお手軽にコーヒーに混ぜるだけでバターコーヒーを作れるパウダー状の物も販売されています。ドラッグストアなどでも購入できますので、まずはこちらで挑戦してみるのもひとつかもしれません。

グラスフェッドバター→ギー、無塩バター
MCTオイル→ココナッツオイル(MCTオイルより少し多めに入れましょう)

また、前述したとおりMCTオイル(中鎖脂肪酸100%のもの)は加熱調理に向きませんが、ココナッツオイルであれば加熱調理も可能です。ココナッツオイルの場合、中鎖脂肪酸の割合は約60%と、MCTオイルに比べると低くなってしまいますが、揚げ物や炒め物のように普段よく作る料理にサラダ油の代わりとして使うことができます。

まずは普段の料理から簡単に中鎖脂肪酸を取り入れたい、という方はココナッツオイルを使ってみるのもおすすめです。

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