先生、MCTオイルってダイエットに良いんですか?

ふとし君

いきなりどうしたの?

ダイエット小学校
教頭先生

僕と同じような体型の芸人さんがバターコーヒーでダイエット成功したから…

ふとし君

ああ、だからMCTオイルに注目したのね。何が知りたいのかしら?

ダイエット小学校
教頭先生
MCTオイルに関する4つの相談
  1. ①MCTオイルの特徴とは?ココナッツオイルを買えばいいの?
  2. ②MCTオイルのMCTって何?他の油とどう違うの?
  3. ③MCTオイルのダイエット効果ってどれくらい?
  4. ④MCTオイルはどう使えばいいの?使い方や注意点を教えて

①MCTオイルの特徴とは?ココナッツオイルを買えばいいの?

MCTオイルの特徴を一言でいうと「普通の油よりも早く消化・吸収できて、すぐにエネルギーになり、身体につきにくい油」です。いつもの食事で摂っている普通の油をMCTオイルに置き換えるだけで、ダイエット効果が期待できます。

MCTオイルを多く含む食品

MCTオイルを多く含む食品として有名なのは、ココナッツオイルです。ダイエットに良い食品として注目されていますよね。実際にココナッツオイルの約60%はMCTオイルであると言われています。また、ヤシ油(約14%)、パーム核油(約7%)にも多めに含まれています。

MCTオイルを多く含む食品
  • ココナッツオイル(約60%)
  • ヤシ油(約14%)
  • パーム核油(約7%)

「ココナッツオイルでもMCTオイルは6割しか含まれていないの?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。天然の食品を絞って取れる油では、MCTオイルだけでなく普通の油(長鎖脂肪酸)も混在していることが普通です。

「どうせ摂るならMCTオイル100%のものが欲しい!」と思う人もいるかもしれませんね。そんな人のために、現在では人工的に精製したMCTオイル100%の商品も購入できます。

ちなみに、人間の母乳に含まれる脂肪分のうち2~3%ほどはMCTオイルです。何となくMCTオイルというと「目新しいもの」「珍しいもの」「食べ慣れていないもの」というイメージがありますが、実は赤ちゃんのときから食べ(飲み)慣れている成分なのです。

ふとし君の相談リスト①への回答

MCTオイルの特徴とは?ココナッツオイルを買えばいいの?
MCTオイルの特徴は「普通の油よりも早く消化・吸収できて、すぐにエネルギーになり、身体につきにくい」ことです。MCTオイルを約60%含むココナッツオイルでもいいですし、MCTオイル100%の商品を選ぶこともできます。

②MCTオイルのMCTって何?他の油とどう違うの?

では、MCTオイルは他の油とどう違うのでしょうか? その理由を知ると、なぜMCTオイルがダイエットに良いのか理解できるようになりますよ。

MCTオイルとは「中鎖脂肪酸」のこと

では、MCTオイルについて詳しく解説していきます。まず「MCT」とは、“Medium Chain Triglycerides”の頭文字をとった用語で、日本語では「中鎖脂肪酸」といいます。

中鎖脂肪酸とは「中くらいの長さの脂肪酸」という意味です。脂肪酸※は、炭素分子(C)が紐のようにつながってできており、短いものや長いものなど、色々な種類があります。この炭素分子の数が4以下なら短鎖脂肪酸、14以上なら長鎖脂肪酸です。そして、この中間の炭素数6~12のものを中鎖脂肪酸、すなわちMCTオイルと呼んでいます。

※私たちの身体にある脂質や食事から摂る脂質のほとんどは中性脂肪(トリアシルグリセロール)です。中性脂肪はグリセリンに脂肪酸が3つくっついた形をしています(トリ=3つの、アシル=脂肪酸、グリセロール=グリセリンという意味)。

MCTオイルはエネルギーとして燃えやすい油

MCTオイルは、私たちが普段から食べている油(長鎖脂肪酸)よりも消化するスピードが速く、すぐにエネルギーとして燃えてくれます。

消化するというのは、食べた物を腸から身体に取り込めるような大きさになるまで細かくする行為です。そう考えると、長い(分子量が大きい)ものを消化するより、より短い(分子量が小さい)ものの方が消化しやすいというのは、イメージがつきますよね。

しかもMCTオイルは消化が簡単なだけでなく、吸収する経路としても「近道」できます。

長鎖脂肪酸の場合は、腸から取り込まれてリンパ管を通って鎖骨の近くにある大動脈まで輸送されてはじめて血管中に入るのに対し、MCTオイルは腸からすぐに血管(門脈)に入り、肝臓に直接運ばれます(糖やアミノ酸と同じ経路です)。肝臓ではβ酸化という処理を行い、油(脂質)をエネルギー源として使えるようにします。

MCTオイルと長鎖脂肪酸の消化経路
  • 長鎖脂肪酸(普通の油):腸⇒リンパ管⇒鎖骨下動脈⇒肝臓【遠回り】
  • 中鎖脂肪酸(MCTオイル):腸⇒門脈⇒肝臓【近道】

このように、MCTオイルは近道を通って素早くエネルギーとして使うことができる特殊な油なのです。このため、病気などで消化管の機能が低下している人へのよいエネルギー補給源として使われてきました。また、赤ちゃん用のミルクの成分としても使われています。

短鎖脂肪酸(炭素数が4個以下)
MCTオイル:中鎖脂肪酸(炭素数が6~12個)
長鎖脂肪酸(炭素数が14個以上)

ふとし君の相談リスト②への回答

MCTオイルのMCTって何?他の油とどう違うの?
「MCT」とは“Medium Chain Triglycerides”の意で、「中鎖脂肪酸」とも言います。MCTオイルは一般的な油より形が短いために、消化スピードが速く、素早くエネルギーとして使う(燃やす)ことができる油です。

③MCTオイルのダイエット効果ってどれくらい?

MCTオイルは普通の油と比較して、迅速に消化・吸収されて肝臓に送られ、エネルギー源になります(運動で燃えてくれます)。このことがダイエットに効果的であると考えられています。

MCTオイルがダイエットに良い理由は2つあります。以下で説明していきますね。

MCTオイルがダイエットに良い理由①体脂肪がつきにくい

1つ目の理由は、MCTオイルは食後の中性脂肪の値が高くなりにくいからです。

健康診断で血液検査をすると、脂質の項目に「中性脂肪」とか「TG」とか書いてありますよね。これが高いと、血管内に脂肪がたくさん流れているということです。必要以上に多い中性脂肪が結局どうなるかというと…そう、脂肪細胞に蓄えられることになります。つまり体脂肪として溜められてしまうのです。

しかし、MCTオイルは中性脂肪が高くなりにくい油なので、このような働きが起こりにくくなります。つまり、体脂肪がつきにくくなるのです!

MCTオイルがダイエットに良い理由
①食後に血中の中性脂肪(トリグリセリド)を上げない
⇒中性脂肪が高いと、体脂肪がつきやすい
⇒MCTオイルでは中性脂肪が高くなりにくい
⇒体脂肪がつきにくい

MCTオイルがダイエットに良い理由②食事誘発性体熱産生が高い

2つ目の理由は、食事誘発性体熱産生(食べるだけで消費できるカロリー)が高いからです。

私たちはあまり意識しませんが、飲食した後は胃腸などの消化器官がたくさん動いています。動くということは、エネルギーを消費するということでもあります。つまり「食べる」という行為自体で消費できるカロリーがあるんです。それを「食事誘発性体熱産生」と言います。ダイエッターにとっては何だかお得に感じますよね。

脂質(油)はタンパク質や糖質と比較して、この食事誘発性体熱産生が少ないことが知られています。つまり油はあまりお得感がないのです。しかし、MCTオイルは普通の油と比較すれば、食事誘発性体熱産生が高いです。同じ油を摂るなら、MCTオイルにした方がダイエットには有利と言えそうです。

MCTオイルがダイエットに良い理由
②食事誘発性体熱産生(食べるだけで消費できるカロリー)が高い
⇒食後に栄養素が分解され、その一部が体熱として自然に消費される
⇒タンパク質や糖質と比較して脂質は食事誘発性体熱産生が少ない
⇒MCTオイルは普通の油より食事誘発性体熱産生が高い

MCTオイルにすると体重はどのくらい減る?

このように、理論的にはMCTオイルは体脂肪になりにくいはずなのですが、実際のところどうなのでしょうか。そのことを調べた研究がたくさん出ています。ここでは、これらの知見をまとめて調べた研究(メタアナリシス)結果をご紹介します。

食事から摂取する長鎖脂肪酸をMCTに置き換える(少なくとも5gを4週間)と、どのくらいダイエットに効くかを調べたところ、置き換えなかった人と比較して、平均で体重は0.69kg、体脂肪は0.89kg、腹囲は1.78 cm減ることがわかりました。

もちろん個人差はありますが、全体で見たときには少しですがダイエットに良い効果が表れていることが証明できています。とはいえ1kg弱の差ですので、ダイエット効果への期待しすぎは禁物かもしれません。

すぐにエネルギーになるMCTオイルは、スポーツ時のエネルギー補給にもGood!

MCTオイルはダイエット効果だけでなく、スポーツ時の栄養補給でも有利であることが知られています。どうしてMCTオイルがいいのかというと、エネルギー源としての脂質の弱点を克服しているからです。

まずは、エネルギー源となる三大栄養素とその特徴を確認してみましょう。

運動時の栄養補給と三大栄養素
  • 糖質(炭水化物):素早くエネルギー源になるが、1gで約4kcalのエネルギーしか生み出せない
  • タンパク質:1gで約4kcalのエネルギーになるが、筋肉などを作るための材料として温存しておきたい
  • 脂質:1gで約9kcalのエネルギーとなる効率が良い栄養素だが、消化・吸収が遅いので糖質のように食べてすぐに使えるエネルギー源ではない

脂質は少しの量で多くのエネルギーを生み出せる燃費の良い栄養素ですが、食べた後すぐに燃やせるわけではないのです。でも、これは一般的な長鎖脂肪酸の話です。MCTは糖質やタンパク質と同じ経路で吸収されて肝臓に運ばれますので、すぐにエネルギーとして使えます。

つまり、MCTオイルは燃費が良くてすぐに使えるエネルギーなのです。ちなみに長鎖脂肪酸は1g当たり9kcalを、中鎖脂肪酸は約8.6kcalを生み出します。

スポーツの前にエネルギー補給をしたいけど、お腹にたまるものは食べたくないというときに、MCTオイルは役立つのではないでしょうか。

MCTオイルは認知症予防にも役立つ?

MCTオイルは認知機能を改善するかもしれないと言われています。

調べてみると、MCTオイルの認知機能への良い影響が報告されている研究はあるのですが、認知症予防として他の栄養素も合わせて比較してみると、そんなに明確に効果があるとはいえないという報告も見つかりました。認知症の予防効果があると本当に言えるのかどうか、まだ議論があるようです。

ふとし君の相談リスト③への回答

MCTオイルのダイエット効果ってどれくらい?
MCTオイルはダイエット(体重、体脂肪、腹囲)に少し効果があります。早く消化できてエネルギーとして燃えやすいので、スポーツ前の栄養補給にも活用できます。

④MCTオイルはどう使えばいいの?使い方や注意点を教えて

それでは最後に、MCTオイルをダイエット目的で取り入れる際の使い方や注意点についてアドバイスします。

MCTオイルの正しい使い方

MCTオイルをダイエットの補助目的で取り入れるときには「摂り過ぎ」に注意が必要です。

MCTオイルは普通の油とは異なる特徴を持ちますが、あくまで油です。1gあたり約8.6kcalのカロリーがありますから、大さじ1杯で約129kcalになってしまいます。MCTオイルはサプリメントのように普段の食事にプラスして摂るのではなく、普段使っている油(長鎖脂肪酸)をMCTオイルに置き換えて使うのが正しい方法です。

例えば、家にあるサラダ油が切れたら、次にMCTオイルを買う…といった形が取り入れやすいのではないでしょうか。そうすれば、これまでと同じように油を使っていても、知らないうちにちょっぴりダイエット効果が得られそうです。

ダイエット中のMCTオイルの使い方の例
  • いつものサラダドレッシングの代わりに、塩や酢で調味したMCTオイルをかける
  • お皿に盛りつけたパスタに、オリーブオイルの代わりにかける
  • 朝食のスープや味噌汁にプラスして、満足感をアップ(そのぶん食事量を減らす)
  • ヨーグルトやスムージーにプラスして、腹持ちをアップ(そのぶん食事量を減らす)
  • 運動する前の栄養補給として、飲み物にスプーン1杯入れて飲む
  • 運動前のプロテインと一緒に、スプーン1杯混ぜて飲む

大事なのは、「MCTオイルを使っているからたくさん摂っても大丈夫」と考えるのではなく、「MCTオイルを使っているのはダイエット中だからだ、だから食事全体のカロリーを無理のない範囲で減らすようにしないといけない」という意識を持つことです。

MCTオイルを使うときの注意点

MCTオイルは揚げ物や炒め料理には使わないようにしてください。煙が出たり泡立ってしまったりして危険です。基本的に「生で使う油」だと覚えておきましょう。

健康面においては、MCTオイルは基本的に安全な食品ですが、1日100gを超えるような多量を摂取すると腹痛や下痢が起こることがあります。

また、エネルギー源として消費される際につくられるケトン体の血中濃度が上昇することが分かっていますが、これは一過性なので普通の人では問題ありません。ただし、糖尿病がある人ではケトン体の急上昇により体調を崩す恐れがあるので、おすすめできません(どうしても試したいときは主治医に相談してください)。

ふとし君の相談リスト④への回答

MCTオイルはどう使えばいいの?使い方や注意点を教えて
MCTオイルは摂り過ぎに気を付けましょう。普段使っている油をMCTオイルに置き換えるのがおすすめです。

MCTオイルでさりげなくダイエットしやすい環境づくりを

MCTオイルは、いつも食べている・使っている油とは異なり、消化・吸収しやすく、すぐにエネルギーとして使える油です。この特徴はダイエットやスポーツ時の栄養補給に適しています。

しかし、あくまで油なので、食べ過ぎてしまうと体脂肪に変換されて体重増加につながります。いま使っている油と置き換える形で取り入れ、MCTだからといって安心せずに、食事全体のカロリーに気を配るようにしましょう

どう?MCTオイルの正しい使い方が分かったかしら?

ダイエット小学校
教頭先生

はい!今の油がなくなってきたら、次はMCTオイルを買ってみます!

ふとし君

参考までに、今回のアドバイスをざっくりまとめておくわね!

ダイエット小学校
教頭先生

ふとし君の相談への回答まとめ

MCTオイル(中鎖脂肪酸)は、消化スピードが速く、素早くエネルギーとして使う(燃やす)ことができる油です。

普段使っている油をMCTと置き換えることで、ダイエット(体重、体脂肪、腹囲)に少し良い効果があることが研究で分かっています。また、ダイエット中は運動も大事なので、そのときの栄養補給にも活用できます。

ただし、あくまで油の一種なので、基本的にカロリーが高い食品です。摂り過ぎるとやはり体脂肪として蓄積されてしまうので、注意してください。

MCTオイルの特徴とは?ココナッツオイルを買えばいいの?
MCTオイルの特徴は「普通の油よりも早く消化・吸収できて、すぐにエネルギーになり、身体につきにくい」ことです。MCTオイルを約60%含むココナッツオイルでもいいですし、MCTオイル100%の商品を選ぶこともできます。
MCTオイルのMCTって何?他の油とどう違うの?
「MCT」とは“Medium Chain Triglycerides”の意で、「中鎖脂肪酸」とも言います。MCTオイルは一般的な油より形が短いために、消化スピードが速く、素早くエネルギーとして使う(燃やす)ことができる油です。
MCTオイルのダイエット効果ってどれくらい?
MCTオイルはダイエット(体重、体脂肪、腹囲)に少し効果があります。早く消化できてエネルギーとして燃えやすいので、スポーツ前の栄養補給にも活用できます。
MCTオイルはどう使えばいいの?使い方や注意点を教えて
MCTオイルは摂り過ぎに気を付けましょう。普段使っている油をMCTオイルに置き換えるのがおすすめです。

<参考文献>
・青山敏明:中鎖脂肪酸の栄養学的研究一最近の研究を中心に一 オレオサイエンス 2003; 3(8): 403
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/3/8/3_403/_pdf
・Nassib B Bueno et al. Dietary medium-chain triacylglycerols versus long-chain triacylglycerols for body composition in adults: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Review J Am Coll Nutr 2015;34(2):175-83.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25651239/
・Konstantinos I et al. Medium Chain Triglycerides induce mild ketosis and may improve cognition in Alzheimer’s disease. A systematic review and meta-analysis of human studies. Ageing Res Rev. 2020 Mar; 58: 101001.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7050425/
・Shirley Steffany Muñoz Fernández et al. Nutritional Strategies in the Management of Alzheimer Disease: Systematic Review With Network Meta-Analysis. J Am Med Dir Assoc 2017;18(10):897.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28807434/