先生!「痩せ菌」ってどうやって増やしたらいいんですか?
今回はストレートに質問してきたわね。
教頭先生
なかなか痩せないのは、ボクのせいじゃなくて「デブ菌」のせいなんですよぉ!
あぁ…責任の転化先を見つけて盛り上がってるのね……
教頭先生
図星ですけどぉ(泣)教えてくださいよ~
あなたの腸内環境は「太りにくい」「痩せやすい」「太りやすい」どのタイプ?
太る理由には食べ過ぎや運動不足などがありますが、腸内細菌もその一つではないかと考えられています。
あなたの腸内には1千兆個にも及ぶ莫大な量の細菌が住んでおり、あなたが食べたものの一部をエサにして生きています。この腸内細菌には、いわゆる「痩せ菌」や「デブ菌」があって、それが太りやすさや痩せやすさに関係しているという話はよく知られるようになってきました。
「痩せ菌」が増えると、痩せやすくなる
「痩せ菌」や「デブ菌」が痩せや肥満に関係しているという報告は数多くあります。有名なものをいくつか紹介しましょう。
- ・肥満マウスの腸内細菌を無菌マウスに移植したら太った
- ・痩せマウスの腸内細菌を無菌マウスに移植したら太らなかった
- ・肥満の人がダイエットをすると、痩せた人の腸内細菌の構成に近づいた
- ・肥満の人から腸内細菌の移植を受けたマウスは太り、痩せた人から移植を受けたマウスは痩せた
これらの結果から、腸内細菌と肥満は大きく関係しているだろうと考えられています。ダイエットする際には「痩せた人の腸内環境に近づける」ことを意識したら良さそうです。
日本人の腸内には「痩せ菌」が多い?
どんな腸内細菌がどんな割合で腸内にいるかは人によって違います。どのくらい「痩せ菌」がいるのかは、個別に検査をしてみないと分かりませんが、民族や食生活によって大まかなタイプ分けはされています。
体型への影響に関して、腸内細菌の構成は大きく3つのタイプに分けられています。
- ◆太りにくいタイプ(バクトロイデス属が優位なタイプ)
- バクテロイデス属の一部の細菌は、脂肪の蓄積を抑えたり、筋肉での脂肪燃焼を促進したりする作用があります(≒痩せ菌)。肉や魚を中心として色々な食品を用いた食習慣を反映したタイプと言われており、日本人のほとんどがこのタイプです。
- ◆痩せやすいタイプ(プレボテラ属が優位なタイプ)
- プレボテラ属は食物繊維を分解する作用が強い菌です。農業が盛んで食物繊維(野菜やいも類)の摂取量が多い国(東南アジアなど)に多いタイプです。
- ◆太りやすいタイプ(ルミノコッカス属が優位なタイプ)
- ルミノコッカス属は糖質の吸収とともに脂肪の蓄積を促進するという特徴があります(≒デブ菌)。肥満の人の腸内細菌ではルミノコッカス属が多く、肥満を抑制するバクテロイデス属が少ないことが知られています。
この記事を読んでいる方の多くは日本人でしょうから、おそらくバクトロイデス属が優位な「太りにくいタイプ」がベースになっていると考えられます。腸内に「痩せ菌」はいるけれど、「瘦せやすいタイプ」ほどではない、といったところでしょうか。痩せやすくも、太りやすくもなる中間の立ち位置にいるようです。
ですから、なるべく痩せやすい方向になるように腸内環境を整えられるといいですよね!
その人の腸内細菌の構成がいつ決まるのかというと、実は赤ちゃんの頃です。
胎児の腸内はほぼ無菌状態で、出産時に母親がもつ細菌を引き継ぎます。大まかにどんな細菌がどの割合になるかは、離乳期ごろに決まります。これをベースにして、その後は毎日食べるものが腸内細菌の構成に影響を与えます。つまり食生活によって、赤ちゃんの頃の腸内環境をベースとして少しずつ変わっていくのです。
食事によって「痩せ菌」を働きやすくするポイント
では、「痩せ菌」をダイエットに活かすにはどうしたらいいでしょうか。
お手本となるのは、「痩せやすいタイプ」の腸内環境です。前述したように、「痩せやすいタイプ」は農業が盛んで食物繊維(野菜やいも類)の摂取量が多い国(東南アジアなど)に多いと言われています。
腸内細菌の構成は食べるものに影響を受けますから、彼らの食生活を参考にするのが良さそうです。ズバリ、食物繊維を積極的に摂る食事です。
食物繊維は、腸内細菌にエサとして食べられて(=発酵されて)、その副産物として「短鎖脂肪酸」(酢酸、酪酸、プロピオン酸など)が作られます。この短鎖脂肪酸は人の身体に働きかけ、脂肪細胞が過剰な脂肪を取り込まないようにするとともに、ノルアドレナリンの分泌を促して心拍数や体温を上げ、エネルギー消費を高めると言われています。
まずは腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸を作り出す材料となる食物繊維を多く摂るように心がけましょう。食物繊維のなかでも、水溶性の食物繊維が特におすすめです。きのこ、大麦、ごぼう、オクラ、モロヘイヤ、海藻、納豆などを積極的に食べましょう。
食事によって「痩せ菌」を増やすポイント
食物繊維を多く摂ることで、腸内に住んでいる「痩せ菌」たちを元気にすることができます(プレバイオティクス)。それに加えて、「痩せ菌」の仲間に外から遊びに来てもらうという方法(プロバイオティクス)もあります。
ヨーグルトなどに多く含まれる乳酸菌やビフィズス菌など、腸内環境を整えてくれる生きた善玉菌を取り込むことで、それらも腸内で食物繊維を食べて、短鎖脂肪酸を作り出してくれます。
ただし、食品から摂取した菌は、そのまま腸内に定着して増えることはなく、腸から排出されてしまいます。遊びには来てくれるけれど、一緒に住んでくれるわけではないのです。ですから、外から善玉菌を取り入れる場合は、継続的に摂り入れ続ける必要があります。
また、善玉菌の中でも非常に多くの種類があり、あなたの腸内に先住している菌たちと気が合う/合わないがあったりします。ですから、ヨーグルトを続けて食べるとしても、2週間くらいでお腹の調子などを見直して、あなたに合う菌種を見つけてみてください。
「瘦せ菌」を増やすおすすめ食材や簡単レシピ
では、「瘦せ菌」を増やす基本的なポイントを押さえたところで、具体的にどのような食事がいいのかを解説します。
①キャベツの酢漬け「ザワークラウト」
巷では、ドイツ料理のザワークラウトのような、キャベツを発酵させて作った酢漬けが注目されているようです。この料理は「瘦せ菌」を増やすのに理にかなったものであり、オススメです。
なぜかというと、発酵食品には善玉菌である乳酸菌が多く含まれており、キャベツは食物繊維が多い食品であるからです。エサ付きで多くの善玉菌を腸に送れるわけですから、効率がいいですよね。
キャベツを発酵させて作るザワークラウトのレシピを紹介します。
- ザワークラウトのレシピ
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- キャベツと塩(キャベツの重さの2~3%)、漬け込むための容器と重しを用意します
- キャベツを少し太め(5mmくらい)の千切りにします
- キャベツに塩を振り、もみ込んで水分が出てくるまで待ちます(15分ほど)
- 水分を含め、キャベツを保存容器(除菌済)に入れます
- なるべく空気に触れないように蓋をして、重しをのせます
- 常温もしくは冷蔵庫で数日間発酵させます
- キャベツの色が黄色く変化し、酸味を感じる香りが出たら食べごろです
- ※カビが生えて粘りが出たり、腐敗臭がある場合は食べられません
②手軽に手に入る「キムチ」
ザワークラウトは手作りするのに時間がかかるし、市販品を手に入れにくいかもしれません。その場合は、白菜などの野菜と唐辛子を発酵させて作る本格的なキムチもオススメです。これも善玉菌が含まれる発酵食品で、食物繊維も摂れるからです。
ただし、キムチについた乳酸菌は、加熱してしまうと死んでしまいます。死んだ菌でも身体の抵抗力(免疫力)を高めてくれる働きをしますが、腸の中で生きたまま届き、そこでエサを食べて短鎖脂肪酸を作ってもらうということを考えると、生で食べた方が良さそうです。
そこで、生のままのキムチを使った食物繊維たっぷりのレシピをご紹介します。
- きゅうりとキムチのピリ辛もやしのレシピ:1~2人分
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- もやし(1/2袋)を硬めにゆでて、水気をよく切ります
- きゅうり(1本)を小口切りにして、塩をして水を切ります
- ゴマ油(大さじ1/2)と麺つゆ(小さじ1/2)をボウルの中に入れて混ぜます
- ボウルの中に、白菜キムチ(100g)、もやし、きゅうりを入れて混ぜます
- 盛り付けた後に白ゴマをひねりながらかけます
善玉菌と食物繊維を同時に摂る「シンバイオティクス」を意識しよう!
上記で紹介したキャベツもキムチも、食品から生きた善玉菌を取り入れるとともに、そのエサとなる食物繊維も一緒に送り込めるというものでした。このような食事の仕方を「シンバイオティクス」と言います。
ただし、キムチは塩分が強くて一度にたくさんは食べられませんし、辛いのが苦手な方もいらっしゃいますよね。発酵食品が苦手という人もいるでしょう。
同じ食品でなくても、例えばヨーグルトと野菜サラダのある献立にすれば、お腹の中で結果的にシンバイオティクスの状態になるので大丈夫です。要は乳酸菌などの生きた善玉菌と、食物繊維の多い食品を一緒に食べればいいということですから、数多くの組み合わせが考えられますよね。サプリメントで摂るという選択肢もあり得ます。
いずれにせよ、外から取り入れた善玉菌は腸内に定着はしないので、取り入れ続ける(食べ続ける)ことが大事です。まずは2週間、シンバイオティクスを意識した食事を続けてみてください。おそらく体重変化よりも前にお腹の調子が改善してくるはずですが、そうなったらしめたものです。その状態を続けることで、ダイエットにも良い効果が出てきますよ!
まずは2週間、シンバイオティクスを意識した食事を!
多くの日本人は「太りにくいタイプ」の腸内環境になっています。太りやすくはないですが、痩せやすくもないという中庸のタイプなので、その人の食生活によってどちら側に傾くかが決まりやすいタイプと言えるかもしれません。
いわゆる「痩せ菌」を増やすには、エサとなる食物繊維をたくさん腸に送り込んであげること。そして「痩せ菌」の仲間である善玉菌も取り入れることが重要です。
善玉菌と食物繊維を一緒に摂る「シンバイオティクス」の考え方を、毎日の献立に取り入れていくと、自然に「瘦せ菌」の多い腸内環境がつくれるはずです。自分の腸に合った食材や食べ方を見つけるためにも、まずは2週間続けてみてくださいね!
ザワークラウト、大好きです!作って常備しておこうっと!
素敵ね!彼女へのいいアピールにもなりそうじゃない
教頭先生
かかか、彼女ではなくてですね…まだ……(モジモジ)
このピュアさ…。磨けば光るのかも、ね?
教頭先生