「年に1度の健康診断で中性脂肪が高いと言われた」

健康診断の結果を見て、焦ってしまう人もいますよね。
体重に問題がないやせ型の場合、中性脂肪だけが高い「隠れ肥満」のようになっている人もいて、生活習慣の改善が必要です。

とはいえ、太っていないのに中性脂肪が高くなった場合に、どのような対策をすればいいのかがわからないとの声は多いです。

そこで今回は、太っていないのに中性脂肪が高くなる3つの原因や、基準値に戻す対策を紹介します。
ぜひ最後までチェックしていただいて、中性脂肪数値を適正値に戻しましょう。

中性脂肪とは

中性脂肪は体に必要なエネルギーです。

中性脂肪には、食事から摂り入れられる「外因性トリグリセリド」と、一度は肝臓に摂り込まれた脂肪が再び血液中に分泌される「内因性トリグリセリド」の2つがあります。

中性脂肪値が高いと聞くと「脂肪をとらなければいいのでは?」との声もありますが、中性脂肪はブドウ糖が不足した場合に、代用として使われる大切なエネルギーです。
体にとって、重要なエネルギー源ではありますが、エネルギーとして使われなかった中性脂肪の多くが皮下脂肪となってしまいます。

中性脂肪が高い場合のリスクと症状

中性脂肪の数値が高いと、動脈硬化のリスクが高まります。摂りすぎた中性脂肪が皮下脂肪となった場合は肥満になりますが、必ずしも皮下脂肪に増えるわけではありません。
皮下脂肪ではなく、内臓脂肪になった場合は太っていなくても中性脂肪値が高くなります。

  • すい炎
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • ネフローゼ症候群
  • 甲状腺機能低下症

上記のような症状があると、やせていても中性脂肪が高くなります。
中性脂肪が高くなるのは食事だけではありません。食事から摂取した脂肪が血液中にたまりやすい体質の人もいますし、ストレスをためてしまっても中性脂肪値を上昇させてしまうのです。

もし血液の中性脂肪を増やしてしまうと、血液がドロドロになり美容や健康面に多大なる影響を与え、さまざまな健康リスクがあるでしょう。

中性脂肪が低い場合のリスクと症状

中性脂肪値が低すぎると、体内に栄養が少ない状態になっていて、下記のような症状が出ます。

  • 低体温
  • 疲れやすい
  • 末端冷え性
  • 休んでも回復しない

その理由にあげられるのが、中性脂肪が体の体温調節に関係していることです。まず中性脂肪値が低い状態は、エネルギー不足であると考えられます。

そのためとても疲れやすかったり、休んでも休んでも回復できなかったりします。

また中性脂肪が少ないことで、体温をうまく調節できなくなる可能性があるのです。中性脂肪値が低いと、脂溶性ビタミン(ビタミンAやビタミンEなど)がうまく吸収されなくなるので、免疫力低下や肌荒れなどを引き起こしてしまいます。

太っていないのに中性脂肪が高い3つの原因

中性脂肪値が高くなる原因は、食生活の乱れ・運動不足・飲酒と喫煙の3つが考えられます。
食生活の乱れや運動不足は、肥満でなければあまり自覚がない人もいます。

中性脂肪は見た目に表れないことも多く、中性脂肪値が高いのであれば生活を見直しましょう。

食生活が乱れている

中性脂肪値が高くなる原因に、食生活の乱れが考えられます。

  • 甘いものの摂りすぎ
  • 脂質・糖質の摂りすぎ
  • 高カロリー食の摂りすぎ

上記のような食生活をしていると、太っていなくても中性脂肪が増えてしまいます。

見落とされがちなのが、清涼飲料水です。甘いドリンクには大量の砂糖が添加されていて、自覚がないままカロリーや糖を摂りすぎてしまうのです。
「たくさん食べても太らない」から健康上何も問題ないわけではありません。バランスのいい食生活ができているかを考えてみてください。

運動不足

運動不足が続くと、摂取した中性脂肪が余ってしまい数値を高めてしまいます。運動不足が続くと、筋力が低下します。
筋肉量が減ってしまうと「基礎代謝量」が低下するので、食事から摂取したエネルギーをうまく使えません。

基礎代謝量とは「寝ていても消費するエネルギー量」のことです。筋肉量が多い人と少ない人では、そもそものエネルギー使用量が異なります。
その結果、エネルギー過剰となり中性脂肪値が高くなってしまいます。

喫煙と飲酒

飲酒と喫煙の習慣がある人も、中性脂肪が高くなってしまいます。

  • 飲酒…飲みすぎると中性脂肪の分解に重要な酵素が働けなくなる
  • 喫煙…食事で摂取した脂質や糖質の代謝に悪影響を与える

さらにたばこに含まれるニコチンを摂取すると、カテコールアミンというホルモンを分泌させます。
カテコールアミンは、中性脂肪を作りやすくするので、喫煙していると太ってなくても中性脂肪が高くなるのです。

中性脂肪の基準値

中性脂肪の基準値は、30〜149mg/dlとされています。かなり幅がありますが、この基準値値よりも多くても少なくても体に悪い影響を与えます。

これまでは、中性脂肪値に男女差はないと考えられていましたが、近年男女で影響が出る数値が違うと考えられるようになりました。
そのため、男女別に中性脂肪の数値がどうなっているのかを紹介します。

女性の基準値

日本人間ドック学会と、健康保険組合連合会が導きだした基準値によると、女性は32〜134mg/dlとされています。
参照:AERA

女性では閉経後に中性脂肪値が高くなる人が多く、基準値をオーバーしていてもあまり心配はないという医師もいます。
200以上になると脂質異常症が疑われますが、この脂質異常症は遺伝が関与している病気です。

もし、家族に心筋梗塞や動脈硬化にかかったことがあるなら、食事や運動に気を付けましょう。
中性脂肪値が200以上や300以上になると、どうなるのか?を心配する人が多くいますが、200~600までの間は有効薬があるため、今すぐ重大な病気になる可能性は低いと言えます。

男性の基準値

日本人間ドック学会と、健康保険組合連合会が導きだした基準値によると、男性は39〜198mg/dlとされています。
参照:AERA

基本的には150mg/dlだとされているのですが、病気のリスクが高くなる数値は200以上からです。女性では600以上になる人は少数派ですが、男性ではしばしば中性脂肪値が1000mg/dlを超える人も見受けられます。

  • 1000mg/dl……急性すい炎のリスクが8%程度。
  • 2000mg/dl……急性すい炎のリスクが10-20%程度。重症化リスクあり

上記のように中性脂肪が1000mg/dlを超えると、病気のリスクが高まるため注意が必要です。
また若年や中年ですい炎を発症すると、重症化リスクが71.5%とハイリスクとなるため、中性脂肪が高くなりすぎないようにしてください。

中性脂肪を基準値にする対策

中性脂肪を基準内に抑える対策を紹介します。中性脂肪値を抑えるには、食事・運動・適度な飲酒と禁煙しかありません。食事や運動習慣のためにやるべきことを紹介します。

脂質と糖質を控えた食生活

中性脂肪値を基準値に抑えるためには、脂質と糖質を抑えた食生活を心がけましょう。中性脂肪を増加させる食品は下記の通りです。

  • バター
  • 生クリーム
  • 牛バラ
  • 豚バラ
  • 果物
  • 洋菓子

このように、脂と糖が多い食べ物を摂りすぎると、中性脂肪値が高くなります。特に動物性の脂は、悪玉コレステロールを増やす原因の一因です。
脂を取る場合には、植物性の中でもオリーブ油やごま油のような、不飽和脂肪酸を増やすものを選んでください。

中性脂肪値を基準値に抑えるためには、洋食よりも和食を心がけましょう。脂質・糖質・たんぱく質をバランスよく摂取し、暴飲暴食を控えるのがポイントです。

適度な運動

適度な運動を行うのも、中性脂肪値を基準値に抑えるために重要です。仕事で体を動かす場合を除いて、運動不足になってしまっている人はとても多いと言われています。

運動不足の基準としては、歩行またはそれ以上の身体活動(自転車に乗ったり掃除機をかけたり)を毎日1時間行っているかどうかです。
運動不足だなと感じる場合は、適度な運動の機会を設けましょう。

運動する時間が思うように取れない人は、エスカレーターを止める・電車で座らない・早歩きを心がける、この程度の心がけで運動不足は解消されます。
日常的に少しでも体を動かすのを心がけると、中性脂肪値を下げられます。

適度な飲酒と禁煙

飲酒は適量であれば問題ありませんが、喫煙は中性脂肪値に悪影響でしかないので、できるなら禁煙しましょう。飲酒の適量とはビールならロング缶1本、日本酒なら1合が目安です。
参照:サントリー 

その一方で、たばこには適量はなく禁煙が推奨されています
喫煙は中性脂肪以外にも、コレステロール値や糖や脂の代謝にも悪影響を及ぼします。その結果、LDH(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉コレステロール)を減らしてしまうことが分かっています。

電子たばこならいいのでは? と考える人もいますが、電子たばこにも有害な化学物質が多く含まれていて、健康にいいとは言えません。健康のためには、飲酒を適量に抑えて、禁煙をするのがおすすめです。

中性脂肪対策にサプリや薬は有効?

中性脂肪対策に有効な薬はさまざまあります。薬に関しては市販もありますが、中性脂肪値が150mg/dl以上300mg/dl未満でなければ服用不可能です。
そのため、販売指定薬剤師のいる薬局で服薬指導を受けなければ購入できません。

一方のサプリメントはあくまで食品ですので、服用規定はありませんし誰でも飲めます。
中性脂肪値に効果があるとされているのは、EPAやDHAなどのサプリメントです。

ただし、EPAには血液をサラサラにする作用があるため、1日3g以下にしてください。薬との飲み合わせもあるので、医師から薬を処方されている人は、サプリメントの服用を始める前に医師に相談しましょう。

まとめ

中性脂肪値は太っていない場合でも、数値が高くなります。皮下組織ではなく内臓にたまった場合は、見た目に表れないので、中性脂肪値が以上になっていることに気づきません。そのため、すい炎を起こしてしまうなどのリスクが隠れています。

中性脂肪値が高くなると、すい炎だけでなく糖尿病や高脂血症などの病が隠れている可能性が指摘されています。
中性脂肪の基準値は30mg/dL〜149mg/dLが一般的な基準になっているため、健康診断で引っ掛かった場合は食生活や運動習慣を改めましょう。

そして、生活を改めているのに数値が変わらない場合、必ず医師の診察を受けるようにしてください。太っていないから大丈夫ではなく、中性脂肪値は体形に関わらず適切な管理を行ってください。

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