そばは健康に良い食材と言われていますが、食べすぎると中性脂肪が増えると聞いて「中性脂肪を減らしたくて食べていたのに」と嘆かれていないでしょうか。
本記事では、そばが中性脂肪を増やす可能性や中性脂肪を増やさない食べ方について解説しています。
そばの食べ方を覚えて、中性脂肪を増やさない食生活を始める参考にしていただければと思います。
そばは食べ方で中性脂肪が増加する可能性がある
そばを食べると中性脂肪が増える可能性があるとは、にわかには信じがたいお話です。
実際にそばをテーマにした文章では、次にあげるようにそばが健康に良いことを裏付ける情報のほうが圧倒的に多いです。
- 健康を意識するならそばを食べると良い
- そばは栄養素が豊富
- そばを食べればダイエット効果がある
では、なぜそばが中性脂肪を増やす食べ物と言われることがあるのか、理由を見ていきましょう。
そばは脂質が高い
そばは健康に良いイメージしかない食品ですが、実は脂質が高いことが明らかになっています。
そばの実には油脂成分であるリノール酸が含まれているため、そばの実を粉にしてから作るそばも総脂質含有量が多いと言われています。
次に示す表は、100gあたりの総脂質含有量の比較です。
食品 | 総脂質含有量(100gあたり) |
そば | 1.9g |
うどん | 0.6g |
そうめん | 0.4g |
そばに含まれる脂質はうどんの約3倍、そうめんだと約5倍です。
そばに含まれている脂質は健康に良いと言われている不飽和脂肪酸の一種ですが、過剰に摂取すると中性脂肪を増加させる可能性があります。
主食がそばの食事では、適量を意識して食べすぎないように注意しましょう。
そばが脂肪肝の原因になる?
まず、脂肪肝とは肝臓に中性脂肪が大量に蓄積している状態を指しています。
脂肪肝になると肝臓が正常に機能しなくなり、生活習慣病のリスクが高くなることが分かっています。
脂質が多い食品を食べすぎて肝臓に負担をかけることが、脂肪肝を引き起こす原因の一つです。
もちろん、そばだけが脂肪肝になるリスクがある食べ物というわけではありません。
とは言え、そば自体の脂質が高く天ぷらなどの揚げ物と一緒に食べる機会が多いので、一食当たりで脂肪の摂取量が増えるのは確かです。
食事以外でも飲みすぎや運動不足なども脂肪肝の原因になると言われているので、適切な食事量と適度な運動を意識すれば脂肪肝のリスクを防げると言えます。
中性脂肪を増やさないそばの食べ方
そばは脂質を多く含んでいて中性脂肪を増やす原因になるかもしれないことがわかりましたが、中性脂肪が増えないようにしながら食べる方法があります。
まず、脂質の摂取量を少なくしたいので天ぷらや鴨(かも)南蛮などの脂っこいものは避けましょう。
そして、なるべく温かいつゆの「山菜そば」や「おろしそば」などできるだけヘルシーなメニューを選ぶようにします。
そばには食物繊維が多く含まれているので、よく噛んでゆっくりと食べれば少量でも満腹感が得られます。
ただし、ヘルシーな食べ方をしているからといって摂取量が過剰になると中性脂肪が増えてしまうので、適量をバランス良く食べるのが中性脂肪を増やさないそばの食べ方です。
そばを食べるメリット
既にご存知の方が多いと思いますが、そばは栄養価が高いので摂取すれば身体に嬉しい効果があると言われています。
そばを食べることで得られるメリットは次にあげる3つです。
- そばには栄養素がたくさん含まれている
- そばを食べるとコレステロール値が下がる
- そばを食べればダイエット効果がある
それぞれがどのようなメリットなのか詳細を解説しますので、参考にしてそばを食生活に取り入れてみてください。
栄養素がたくさん含まれている
そばにはたくさんの栄養素が含まれていることが分かっています。
そばに含まれている代表的な栄養素と、摂取したときの効果を次に示す表で紹介します。
栄養素 | 効果 |
食物繊維 | 整腸作用や糖の吸収を緩やかにする効果がある |
タンパク質 | 筋肉を作ったり修復したりする※そばは白米よりも多くのタンパク質を含んでいる |
ビタミンB群 | ビタミンB1、B2、B6が豊富疲労回復や神経機能改善の効果がある |
ポリフェノール | ルチン:血管強化や美肌効果があるカテキン:食後の血糖値の上昇を抑制する効果があり肥満予防になる |
糖の吸収を緩やかにしたり、食後の血糖値の上昇を抑制する効果があったりと、そばには健康に良い栄養素が含まれているのが確かです。
どんなに栄養が豊富で身体に良い食べ物でも食べ過ぎてしまったら栄養が偏るので、適量をバランスよく食べることが重要になります。
そばを食べるとコレステロール値が下がる
そばにはコレステロール値を下げる効果があると言われています。
理由としては、コレステロールが増えるのを抑えると言われている「食物繊維」がそばには豊富に含まれているからです。
実際に、厚生労働省が脂質異常症について公表しているe-ヘルスネットでも、コレステロールを下げる方法の一つに食物繊維を積極的に食べることが挙げられています。
しかし、ただそばを食べていればコレステロール値が下がるというわけではなく、バランスの良い食事や適度な運動、アルコール摂取量の制限や禁煙など生活習慣の改善も必要不可欠です。
そばを食べる以外にも健康的な生活習慣が身に付けば、自然とコレステロール値が下がっていくと言えます。
ダイエット効果が期待できる
そばを食べる行為はダイエットにもなります。
そばをしっかりと噛んで食べれば腹持ちが良く、満腹感が長時間続くので間食が必要なくなるのが理由です。
また、そばに含まれている「ルチン」という成分は体脂肪の蓄積を抑制させながら脂肪の燃焼を促進する作用があると言われています。
脂肪が燃焼すれば身体の代謝が促進されてカロリーの消費量が増えるので、痩せやすくなります。
ただ、そばはお米やパンのように炭水化物を多く含んでいるので食べすぎは禁物です。
また、そばつゆには塩分が含まれているため、塩分の摂取量にも注意しましょう。
ダイエット効果を期待してそばを食べる場合は、そばの量を少なめにして、野菜などカロリーが低くて栄養がある副菜を摂取するようにすればダイエット効果が高まります。
そばを食べるデメリット
年越しや引っ越しの時などに食べる風習があるそばは、日本人に親しまれている食べ物の一つです。
しかし、そばにもデメリットが存在します。
そばアレルギーの方は少量でもアナフィラキシーショックを引き起こして命にかかわる場合もありますし、消化器系のトラブルも報告されています。
また、そばを食べると体温が下がりやすいとも言われているので食べる際には注意が必要です。
どのような点がデメリットなのか詳細を見ていきましょう。
消化されるまでの時間が長い
そばは消化されるまでの時間が長く、消化にかかる時間は3~4時間ほどです。
そばを作るときのそば粉の割合にもよりますが、そば粉の割合が少ない場合は2時間程度で、長いと5時間近く消化にかかるケースもあります。
なぜそばの消化に時間がかかるのかというと、そばに豊富に含まれている食物繊維やタンパク質が胃腸に長く滞在するため消化と吸収に時間がかかるからです。
そばを食べすぎると消化器官の負担になって、消化不良や胃もたれの原因になる可能性があります。
体調が悪いときの食事では胃に負担をかけるそばは控えて、消化しやすい食材を選んで食べるようにしましょう。
体温が低下する
そばを食べると体温が低下すると言われていますが、実は、そば自体は温かくても冷たくても体温を上げる食べ物になります。
そばに含まれている「ルチン」という成分には血管を強化させたり脂肪を燃焼させたりする効果があるのが体温を上げる理由です。
では、なぜそばで体温が下がると言われているのかというと、考えられる理由は2つあります。
- そばに含まれている水分が体温を下げる
- 消化吸収に時間がかかるので代謝の低下が原因で体温が下がる
そばを食べた全ての人の体温が下がるわけではなく、体質や食べ方などで個人差があります。
そばを食べた後に冷えが気になるという方は、食後に温かい飲み物を飲むなどして体温が下がらないようにしましょう。
そばの種類
そばにたくさんの種類があることは、ほとんどの方がご存知かと思います。
ここではそばの種類と特徴、ルーツなどを紹介します。
更科そば
更科そばは、日本の三大そばの一つです。
江戸時代に信州出身でそば打ちの得意な布屋が、領主に進められてそば屋を始めたのがルーツと言われています。
一番粉と呼ばれるそば粉を使用した白い麺には高級感があり、ほのかな甘みとのどごしのある食感が特徴です。
栄養素としてはタンパク質や脂質、炭水化物、ナトリウムなどを含んでいます。
藪そば
藪(やぶ)そばも日本の三大そばの一つです。
幕末の頃に東京の根津にあったそば屋が藪そばのルーツと言われています。
そばの実の外側の殻も一緒に挽(ひ)いたそば粉を使用しているため、麺は緑がかっており、少しえぐみがあります。
しょうゆ味が濃いそばつゆで食べるのが特徴です。
栄養素としては、タンパク質、脂質、炭水化物、カリウムなどが含まれています。
砂場そば
砂場そばは更科そば、藪そばと並ぶ三大そばの一つです。
大阪発祥で、日本のそばの中で歴史が一番長いと言われています。
天正11年から慶長3年の15年に渡って豊臣秀吉が築いた大阪城の築城中に、砂場と言われる資材置き場で蒸しそばを提供していたのが砂場そばのルーツです。
お店によっては「もりそば」と「ざるそば」でそばを打ち分けています。
田舎そば
田舎そばは、殻がついたままのそばの実を製粉したそば粉で作るため、麺が黒めの色になるのが特徴です。
そばの香りが強く、そばつゆも濃い味付けになっています。
田舎そばには、たんぱく質、脂質、炭水化物などの栄養素が含まれています。
十割そば
十割そばは、つなぎと言われる小麦粉を混ぜずにそば粉100%で作られています。
十割そばは、そば本来の味や香りを楽しめる点が人気です。
そば粉のみで作られている十割そばは、ほかの種類のそばと比べると食物繊維を多く含んでいます。
食物繊維は中性脂肪を増やさない働きをする栄養素のため、中性脂肪が気になる方には十割そばを積極的に食べることをおすすめします。
二八そば
二八そばは、小麦粉とそば粉の割合が2:8で作られているそばです。
小麦粉を含んでいるので時間が経ってもそばが切れにくいのが特徴です。
元々、そばはそば粉のみで作られていましたが、江戸時代につなぎとして小麦粉を混ぜる製法が広まったと言われています。
現在お店で売られているそばのほとんどが二八そばになります。
効率の良いそばの食べ方
そばは脂質が高い食材ですが、食べ方を工夫すれば健康によく、ダイエット効果もあることが分かりました。
ここからは、そばの選び方や一緒に食べたい食材など、そばの栄養を効率よく摂取できる食べ方について説明します。
是非効率の良いそばの食べ方を覚えて、健康的な食生活を始めるための参考にしてみてください。
そば粉の割合が多いそばを選ぶ
健康を意識してそばを選ぶときは、そば粉の割合が多いそばを選びましょう。
十割そばや二八そばはそば粉の割合が多いそばになります。
ほかには、麺の色で黒さが濃いものもそば粉を多く含んでいるそばです。
そば粉の割合が多いとそばの風味や香りを楽しめるだけではなく、栄養価が高いので健康に良い効果があるとされています。
ただし、天ぷらそばや鴨南蛮などの脂質が高いメニューは、健康に気を遣ったりダイエットを意識していたりする場合は控えるようにしましょう。
ビタミンCと一緒に食べる
そばにはビタミンB群が含まれていますが、ビタミンCは含まれていません。
そばとビタミンCを一緒に摂取すれば、体内での栄養素の吸収率が上がると言われています。
例えば、大根おろしやネギ、海苔(のり)などはビタミンCを含んでいて、そば屋でも選びやすい食材です。
ビタミンCはレモンやポン酢などにも含まれています。
家庭でそばを食べる場合は、野菜と合わせてレモンやポン酢で味付けするサラダそばもおすすめです。
そば湯を飲む
そばに含まれている栄養素の中で、ビタミンB1、B2、ルチンなどは水に溶けやすい性質があります。
このため、そばをゆでている時にそばの栄養素がそば湯に溶けだしています。
ただそばを食べるだけでなく、そば湯も合わせて飲んでそばの栄養分を残らず摂取するのがおすすめです。
食後のタイミングを見計らってそば湯を出してくれるお店もありますが、自動的に出てこなくても頼めばそば湯は提供してもらえますのでそば湯を飲むようにしましょう。
まとめ
ここまで、中性脂肪とそばについて解説してきました。
そばは栄養素が豊富ですが脂質も多く含まれていて、過剰に摂取すると肝臓に中性脂肪がたまって脂肪肝になる可能性があります。
ですが、食べる量や食べ合わせを工夫すれば健康に良く、ダイエット効果も期待できる食べ物です。
食事を変えて健康に生活したいとお考えの方は、そばを食事に取り入れた食生活を始めてみてはいかがでしょうか。